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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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炭の村へと足を運ぶ勇者

「アポなしで来たけれど肝心の村長さんは居るのだろうか…」


この世界でアポイントを取るのは至難のわざなので仕方ないと言えばそれまでですが。


割高なはとぶさ便を使うにしても基本的に冒険者ギルド間のやりとりとなり、エンドユーザーへは冒険者が届けることになるのでタイムラグが激しい。


一応冒険者ギルドには部署間をつなぐ同報無線のようなものがあるが緊急時にしか使えないという話でしたので。


あひるちゃんワンボックスは村に入る数分前にひっこめており、村の入り口までは徒歩でやってきた。


「炭の村」と読める看板があるだけで門も柵も存在しない。


周囲に魔獣が発生しない村は特に対策はしていないと思われる。


炭の村周辺は草原が広がる見通しの良い場所でどうして炭が特産品になるのかが謎なのですが。


「すみません。すこしお尋ねしたいのですが…」


通りすがりの野良着姿の男性に声を掛けたら飛び上がらんばかりに驚かれ、そのまま走り去ってしまった。


「シロさん、僕に何か驚くような要素ってあります?」


「さっぱりわからないにゃ。しいて言えば赤いアロハシャツじゃないかにゃ?」


この世界にも極彩色の織物が存在しているので派手な色合いの服を着ていても特に問題になるとは思えないのですが。


その極彩色の織物はムニーレの住んでいる村の特産品らしく、迷宮転送罠にかかった冒険者が自分の所持品と引き換えに持ち帰ることが多いようで。


気を取り直し、村の中へと入ることに。門番もいないですし。


---


「この家が村長さんの家っぽいけれど」


さすがにレプレさんも村長の家までは把握しておらず、それっぽい大きな家を突撃訪問することにした。


村の中心付近にあって見るからに格が高そうな感じがするので。


ちなみに集会場は別に存在し、割と適当に作られた平屋の大きな小屋とでもいうべきか。


集会場って書かれていたので間違いないだろう。


「ごめんください。どなたかいらっしゃいますか?」


ややあって家の奥から誰かが走ってくる音が聞こえる。


板張りなので足音が良く響くようで。


やがて現れたのは猫人族と思われる藍色の野良着姿をした少女だった。


「あの…家主は不在で留守を預かっているヨネと申します」


「サブローと申します。商業ギルドから調査依頼を受けて炭の村におじゃましております。村長さんはどちらに?というかこちらが村長宅で合っていますか?」


「はい。炭の村長、グラスさんの家で間違いありません。それで調査とは?」


「村の借金についてお尋ねをしたいと思いまして。ああ、商業ギルドからも職員の方がお見えですので詳しい話はこちらのレプレさんに」


「申し訳ございません。グラスさんは隣村に出かけていて3日はもどらない予定だと」


「そうでしたか…他に村の借金に関してご存じの方がいればお話を伺いたいと」


「その…村のお金の事はグラスさんしか分からないので…」


「でしたら3日後に再度お邪魔します」


「あの!村の宿泊所なら空いていますのでお泊りいただければ」


「実は村の外に馬車を待たせているので」


「そうでしたか…それではお気をつけて」


隣村に行ったほうが早いかな?


「ちなみに隣村への行き方を教えていただくことは?」


「申し訳ありません…私は村から出たことが無く隣村が何処にあるのか…今は分かる者が炭焼きに使うたいまつの木を取りに出かけていていつ戻るか…」


「それでしたら構いません。では3日後に」


隣村には名前が無く、調べようが無いので出直すことにした。


まぁ、片っ端から村を回ろうとも思ったが炭の村の村長が誰なのか分からない以上無駄な時間を費やすことになりそうで。


留守を預かっている少女に同行してもらおうとも思ったが何のための留守番なのかわからなくなってしまいますし。


---


「レプレさん、道案内ありがとうございました。また3日後に同行をお願いできればと思いますが」


帰りはものの数分といったところ。


村の場所は判明したので地点登録を行い、直線移動ならば5分と掛らない。


「はい。3日後ですね。予定をあけておきます」


これも業務といえば業務なのだが、レプレさんほどの方を長時間拘束するのも申し訳ないという感じで。


他の仕事が止まらないよう、十分気を付けているつもりですが。


往復を含めて大体1時間くらいか。


しかし、あそこの第一村人に避けられた理由が分からない。


留守番の少女は普通に接してくれたのに…。


「あの男、何か後ろめたい事でもしてたんじゃないのかにゃ?」とシロさんが。


百合の騎士でもあるシロさんは人の行動を見抜く力を持っており、先程の男性が何かよからぬことをしていたのでは?と。


「戻って調べるのも…置いてきたドローンに探らせますか…」


お邪魔した場所にはドローンの親機を最低でも3機は残すことにしている。


1つの村をカバーするには十分すぎる物量で、既に炭の村全体の地図も完成している。


立ち寄った際には覗きに行かなかったが村はずれに炭焼きのための小高い丘のようなものが作られているのを発見。


炭焼き窯は複数存在するらしく、いくつかの釜と思われる場所から細く煙が上がっているのが確認できた。


レプレさんを商業ギルドにお返しして、次はミドリの村へ向かうことにした。

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