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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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情報の金銭的価値を考える勇者

投稿が遅くなり申し訳ありません。

少女は割と新しめの耐火ローブを身にまとい、少し長めの茶色い布の袋を大事そうに抱えている。


おそらくは魔導発動体が入った保護袋なのだろう。


王都内ではむき身の武器を持つことを禁じられ、剣であれば鞘に納めた状態で布を巻き、魔導発動体は竹刀袋のようなものに入れるのが常識となっている。


それは移動中も同じことで乗り合わせている冒険者は皆、武器をすぐに使えない状態に。


「突然声を掛けてしまって申し訳ありません。サンドラと申します。とても気の合うご様子なのに臨時のグループなのですか?」


「ええっと、臨時のグループなんですが」


「拙者は殿の家族にござる」


「わたくしも家族の一員ですわ」


サンドラさんには家族という言葉がどう伝わったのだろう。


「なるほど、御兄妹だったのですね!」


違う方向に勘違いされた。まぁいいか。多分行きの荷馬車で顔を合わせるだけの関係になるだろうし。


「すいません。南の平原迷宮はひさしぶりなので最近の様子をもしご存じでしたら代金をお支払いするので教えていただければと。ギルドで聞いた話がどうにも信じられなくて」


その話というのが例の箱ドロップの件だ。


「箱でしたら魔獣を倒すとかなりの確率で落ちるようです。自分はF級なので実際に箱を手にしたわけでは無く…あ、料金は不要ですよ。南の平原迷宮に出入りする人間なら大体知ってますし」


ござる侍やテスラには箱の話をしないようすまほーちゃんの画面を見せて話を合わせてもらうことに。


なにしろ僕は何の実績もない低ランク冒険者という立場で荷物を受け取りに行くだけの存在なのであまり目立つわけにはいかないのだ。


たった今も昨日入手したバケツヘルムを被ったまま。双子の魔改造で視界は確保されているが割と息苦しかったりする。喋るのも一苦労なのだが今日だけがまんすれば良いので。


「そうですか…今日は特に箱を求めて潜るわけでは無いのでもし出たら光の女神様に感謝を捧げようと思います」


ちなみに話をしているのは僕とサンドラさんだけ。


周囲の冒険者は無関心を装ってはいるがやはり箱の話題ともなると聞き耳を立てるようで。


実際、おみみさまがぴくついていらっしゃるもふもふさまも。


まぁ、うかつに虹箱連続ゲットだぜみたいな事は口には出しませんけれど。


「お客さんたち、そろそろ着くから降りる準備してねー」


御者のおねえさんが振り向いて声を掛けてくれた。


---


「どうもありがとうございました!何も話さずにあそこに座っているのがとても辛くて!」


冒険者は基本的に他人同士で話すことはないらしい。


情報は金銭であり、話す言葉にどれだけの価値があるのか自分で理解出来なければ口を閉じているのが正解だと。


雄弁は銀、沈黙は金と誰が言ったのかは忘れたが、冒険者はまさにそれが当てはまるのだろう。


僕もあえて本当のことをしゃべらずお茶を濁したのですが。


先程のサンドラさん。僕たちから離れると迷宮前広場で手を振っていた戦士と盾持ちの少女2人と合流し、サンドラさんだけが入坑手続きの列へと並んだ。


多分彼女達がサンドラさんのグループなのだろう。現地集合、現地解散なのかな?


「手続きしてくるから二人は…何か食べたい?」


「今は大丈夫でござる」


「わたくしも大丈夫ですわ」


迷宮前広場にはいつにも増して屋台が多く出店しており、そこにも冒険者の列が出来ている。


箱特需を狙って集まった冒険者目当ての屋台。中には屋台村で見かける常連の姿も。


もしかして日中はこっちに出稼ぎに来ているのだろうか?


さすがにびっくらーけん焼きは無いようですが。


2人から冒険者カードを預かり、入坑手続きの列へと並んだ。


---


「迷宮改変まではまだ余裕があるし、このままだとお昼前に目的地へついてしまうから…」


余裕をもって出てきたは良いが、辻馬車が思ったよりも早く到着したのと、荷受けの場所が入口から1時間も歩かずに到着する場所なのでどう考えても荷物より先に自分たちが現地入りしてしまうことに。


闇奴隷の仲介業者からは直接の荷物の受け渡しはしないようにとメモで渡されており、どこかで時間をつぶす必要が出てきた。


とはいえ迷宮でやる事と言ったら魔獣退治くらいしかないわけで。


「そのつもりはなくて刃こぼれしたショートソードしか持ってきてないんだよな」


冒険者ギルドの廃材置き場から失敬してきたいつものショートソード。


武器には使えないけれど素振りをする程度には役立つもので、廃材置き場にあるものは誰が持ち帰っても何も言われない。


ちなみにさび付いたバケツヘルムとつぎはぎの皮鎧はギルドからの貸与品。


初心冒険者ならば無料で借りられるものでずっとF級のエイトならば借りっぱなしでも文句は言われない。


インベントリから何か出そうかなとは思ったがどう考えてもオーバースペックな武器しか無いので。


「戦闘は二人に任せようかな」


「殿!まかされたでござる」


「わたくしもまかされましたわ!」


そういえばテスラは初対面の際にずいぶんとかわいそうなもてなしをしてしまったんだよな。


テイルズオブドラグーンは自分の物だと言って乗り込んできた彼女に短剣状態にしたテイルズオブドラグーンを渡し、元に戻せたら所有権を認めると言って何時間もやらせたのを思い出した。


ちなみに今の彼女の武器は宝物庫にあった不壊のレイピア。


メイドドレスアーマーと合わせると姫騎士のようにも見えるのだが、今は普通の冒険者スタイルなのでレイピアが浮いて見える。


ござる侍も腰に佩いたニホントーがちょっと豪華すぎますね。


彼女には迷宮から出た謎のカタナを振るってもらう予定ですが、鑑定がまだ先に延びたらしく。


『勇者さま。お気をつけください!至近距離に魔獣反応です!現在地から50歩前!』


イヤホンから姫さまの声が。

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