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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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カズラヤへの制裁について考える勇者

「益田よ、また迷宮への挑戦を行いたいのだが…」


妙に目の座った佐々木社長が一升瓶片手に僕の前に現れた。


見るからにアルコール度数の高そうなお酒なんですが大丈夫なんでしょうか?


「明日、何も無ければ1時間くらいは行けそうですけれど」


ミドリの件、そして違法借金奴隷として囚われていた5人についての調査を進めるつもりだ。


カルロス雑貨店についての調査は商業ギルドと国軍へ完全にお任せとなっているが、何かあれば連絡をもらえるよう通信機材をお渡ししてある。


明日は20か所ほど下級貴族の邸宅を回るとの事で非番の兵士も駆り出されるという。


違法奴隷は売買を固く禁じられ、破った物にはそれ相応の罰が課せられるという。売主はもちろんだが買主にも責めが及ぶことが。


奴隷証文は真贋判定をすればすぐに偽物かどうかの判断がつくため、借金奴隷を買い取った貴族はその奴隷の登録と共に証文の判定を商業ギルドで行うことになっていると。


これをやっていないということは違法奴隷と分かっていて買い入れている事と同じであり、場合によってはその身分の剥奪もありえる。


昨日回った下級貴族も奴隷の買い付けに関して商業ギルドへの届け出がされておらず、多忙を理由に届が滞っていたとほぼ全ての人間が答えているらしいが証文には受け渡しの日時も記されており、ひと月以上も届け出が無いのはさすがに許容できないとの事で。


下級貴族からも大量の捕縛者が出ると思われるが、違法奴隷の何が利点なのかさっぱりわからない。


ココナに関してはそういった届け出の書類の存在すらなく、いったいどういった経緯でカズラヤに在席することになったのかはっきりしたことは分かってない。


そのカズラヤはシロさんが裏で手を回して店の経営権をはく奪し、信頼のおける第三者によって存続させるかあるいはカズラヤのみで扱う商品についての取り決めを見直し、複数の業者に委託するか…。


あの店の従業員はココナが違法奴隷と知っていて黙っていたことが判明しており、言い逃れは出来ない状態。


この件に関しては穏便に済ませるつもりはなく、できうる限りの事をやるつもりだがオパール王妃からはすこし頭を冷やすようにと言われている。


あの店を取り潰せば従業員の再就職先も無いだろうし、おそらくは百人以上の人間を路頭に迷わせることになる。


見て見ぬふりをした人間にそれ相応の償いをさせたいのだが、良い方法が思いつかない。


いっそのこと全員借金奴隷として僕の目の届くところでしばらく働いてもらうのもありかなと思っているのですが、勇者としてそれは許されるのかという疑問も残る。


「益田、何を考えておる」


佐々木社長の声にふと我に返った僕。


「すこし迷っていることがありまして…手を下すべきかどうか」


「それは益田一人が背負う必要があるのか?任せられるべきことは他を頼ればよい」


ココナを冷遇していた人間をどう処罰すべきか、それは僕一人で決める問題ではないだろう。


「すこし考えすぎていたようです。迷宮の件、明日…もう今日ですが朝になったら連絡を入れます」


地球時間で午前2時過ぎとなっている。


僕が考え事をしている間にみなさんはお風呂へ向かったようだ。


「益田、水風呂に入ってすこし頭を冷やすとよい」


水と言ってもそこまで水温は低くないのですが、ちょっと入ってみますか。


「あるじさま!」


「マスター!」


もえと黒竜が僕をまっていてくれたようだ。


二人を抱きかかえ、佐々木社長と共に露天風呂へと移動を。


---


「勇者さま、つめたい温泉というのも良いものですね!」


ななや旅館の露天風呂にはいくつか種類があり、冷泉も湧いている。


主にサウナ利用者の為のものとなるが、そこに浸かっていたら姫さまが何か珍しい事をしている僕を見つけて隣に入ってきた。


「姫さま、あまり体を冷やさないよう…」


「勇者さまもお気を付けください。このまま熱い湯に入ると体がびっくりしそうです!」


自律神経がどうにかなりそうだけど、境界の地でも起こるのだろうか?


「「およぐならここがいちばんなの」です」


温泉で泳ぐとのぼせるので特にルティリナには注意をしているのだが、その本人も水風呂にはいって犬かきの最中だ。


双子は仰向けになったまま水流に身を任せてぷかぷかと浮いている。


二人のイカ腹がまぶしい。


割と広い水風呂がなぜかみっちりとしてきた。


みなさんどうしてこちらに来るんですか?


水風呂には興味無さそうだったのに誰かが入っていると気になるのか。


何のために水風呂に入ったのか当初の目的を忘れそうになる。


「益田よ、頭が冷えたようだな」


おーがすれいやーという赤い文字で書かれた紙パック酒を吸いながら佐々木社長が現れた。


温泉でおさけは飲まないようお願いしているのですが、どうも守ってもらえず。


一升瓶の持ち込みは割れると危険なので禁止させてもらっているがパック酒なら良いだろうという謎理論が働いているようで。


「サブロー、このお酒もっと種類は無いのかにゃ?」


「後で自販機のアイテムリストを確認しますけれど…期待はしないでくださいね」


紙パック酒はいまのところ一種類しか無いらしい。


お子様の教育にもよろしくないので大人の方は自重していただきたいと思うのですが。


うちの子達は紙パックのフルーツ牛乳やコーヒー牛乳を召し上がっている。


ここにもいちごましまし牛乳が置いてあり、サバンナさんが主に飲んでいるらしい。


よい時間になったので温泉を出てななや旅館からログアウトすることにした。

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