↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2695/2740

辺鄙な村に大教会の影を見る勇者

「そういえばミドリさん、野草を摘みに村の外に出るって…おとといくらい?」


道案内をしてくれた猫耳少女がぽつりと。


「あ、ゴンゾーさん!ちょうどいいところに!ミドリさんを最後に見たのいつ?」


村長宅前を通りかかった村の男性を猫耳少女が呼び止め、ミドリさんの消息を聞く。


「ミドリか?いつだったかな…そういえば昨日あたりから姿を見ていないような」


呼び止めた男性にそのミドリさんが誘拐され、王都で預かっていると伝えるとたいそう驚かれた。


「誘拐だって?こんな辺鄙な村にそんな悪党が…」


自分の村を辺鄙だなんて言うくらいここはさびれているのか。


そういえばミドリもこの村の活性化のために他の村から呼ばれたと聞いているけれど。


「彼女が誘拐される原因になった村の借金についてもお尋ねしたいのですが…」


女中さんが申し訳なさそうな顔で答える。


「借金をしているのは事実です。村長が不在なのはその借金をいくらかでも返すために隣村に相談に…」


聞けば隣村もアコーギ商会から借金をしているとか。


隣村の方がここよりも規模が大きく、利息程度のお金を融通してもらえるようにと陳情に出たままだと。


その隣村まで徒歩で往復4日くらいかかるというのでそろそろ帰ってくるのではという感じで。


ちなみに一人での移動は危険な為村の若い衆を数人ともなっているのだとか。


この借金、聞けば大教会が行っていた漁船押し戻しに端を発するものらしく、僕らに無関係ではなかった。


魚が取れないために予定していた魚粉由来の肥料が手に入らず、例年に比べて作物の収量が大幅に減少。


管理貴族に掛け合っても減税措置はされず、作物を納める代わりに金銭で支払ったという。


こういった場合、村の誰かが借金奴隷として管理貴族の下へ奉公に出るか、王都へ出稼ぎに出るという方法が取られるのだが、この村は人口も少なく、村から人が出ると運営自体が成り立たなくなるという。


そこに何処で嗅ぎつけたのか村長の家にアコーギ商会が現れ、目の前に金のはいった革袋をちらつかされて仕方なく契約したと。


その様子は女中さんも見ていたので鮮明に覚えているらしい。


「裏に大教会がいるような気が…」


あのアコーギ商会は単独で動いていると思い込んでいたが、困窮した村の情報を何処かで手に入れているはずだ。


調べることがまた増えたのでこれもまた全体共有を掛けておく。


この様子ならミドリを村に戻しても良さそうな気がするのだが、何故か胸騒ぎがするというか。


2日も姿を見ていないのに特に気にされた様子もない。


彼女は他所の村から人員補填という形で移籍をしてきてまだ日が浅いらしく、村とのつながりも希薄なのでは?と勝手な想像をするのだが。


「この誘拐事件が片付くまでミドリさんは王都でお預かりをさせていただきます。村長さんにもそうお伝えください」


まぁ、一度事情を聞くために村へ来る必要があるのでその時に再度説明をすればよいか。


ミドリは誘拐されたばかりでPTSDを発症するかもしれないのでしばらく様子を見ようと思う。


ユークレスさんもたぶん手放すようなことはしないのでは。


僕がいない留守に多分もふもふしていると思われますが。


ちなみにココナは完全にガード体制に入ってしまい、ユークレスさんはお風呂上りにココナのしっぽの水滴を頂くだけとなっている。


あのねちっこさをもう少し柔らかくしてもらえればと思うのですが。


---


ミドリの村を辞去し、王都のお屋敷へ戻るととっぷりと日が暮れた後だった。


今捕まっている借金取りと闇奴隷商に関して、今日聞き込みに回った下級貴族10件から十数人の違法借金奴隷を救出した件が一番の大手柄だったらしい。


借金取りの方は誘拐に関しては認めておらず、借金奴隷として正式に身柄を譲り受けたと主張。


ならばどうして迷宮内にミドリを放置したのかという問いかけには口を閉ざしたままと。


そもそもが正式な奴隷商を経由せずに村人を移動させるのは違法とされており、証文のありかを尋ねても返事が返ってこないのだとか。


今夜あたりちょっと脅してこようかな?と僕の中の誰かが囁くのですが。


もしかして存在Nが僕の精神をコントロールしているのでは?という疑いも。


たまにノイズのように他者の思考が入り込んでくるんですけれど、それをあたりまえのように受け止めている自分自身がどうかしているなと。


いつだったかメイドに関して本当に熱く語ったことがあり、あの時は多分意識を乗っ取られていたんだと思う。


それを聞いていたメイド課長に任命したナタリアが感極まって抱き着いてきたりしましたけれど。


僕自身はメイドといえば行きそびれてしまったメイド喫茶くらいの知識しかないのに、何故ああんなに語ることがあったのか。それも一字一句記憶に刻まれていて鮮明に思い出せるのでおまえはいったい誰なんだと自問自答もしたくなる。


そんなこともあってうちにはメイドさんしかいないというとんでも屋敷になっていますけれど。


「おかえりなさいませ勇者さま!」


僕の後ろを執拗に確認する姫さま。


僕が出かけると高確率で誰かを連れ帰るのでその確認だろう。


「姫さま、今日はだれも連れ帰っていませんのでご安心を」


ユークレスさんが見たら多分「おもちかえりじゃ!」と叫んだかもしれない猫耳少女とはちょっと話をしましたけれど。


村に入る時には深緑の慈悲を身に着けていなかったので、あそこでの出来事は直接は流れていない。


上空に放ったドローンの映像はありますが、遠距離からの俯瞰なので大丈夫だろう。


ミドリの失踪届は僕が代理で出すことにした。今から村の人を呼んで詰所へ来てもらうのもどうかと思い。


彼女を保護している件は各所に通達しているので、事後報告となりますが。


ひとまず本人に村へ報告に言った件を伝えることに。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
本作品を気に入っていただけましたら是非クリックをお願いします
(そのまま投票となります。一日一回有効)
↓
小説家になろう 勝手にランキング

ツギクルバナー
評価、リアクションを頂けると作者が喜びます!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。