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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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異世界ツアーを先導する姫さまと勇者

ミドリともふもふさまの計6人が境界の地の真ん中あたりに立ってあちこち見回しているところに遭遇。


「勇者さま。いつものお迎えの儀式は済ませてあります!」


境界の地へ始めてきた人には口上を述べることになっており、毎回すこしずつ文言が変わる。


今日はどんな内容だったのか気になるところですが、それよりも右往左往するみなさんに説明を。


「突然こんな場所に連れてこられて困惑されていると思いますが、ここは夢の中だと思ってもらって構いません。ただ、起きても鮮明に覚えている点が異なりますが」


精神だけがこの場所に飛ばされてくると思われる…実際のところ原理は不明だ。


そもそも精神とは?という所から話がスタートすると思われるので、この場所に初めてやってくる方々には夢の世界という説明で通している。


他のゲストルームで寝ていたはずのみなさんがこちらに来たのは多分精神転移の範囲がまた広がったためと思われますが。


影響範囲がお屋敷内だけに留まってくれれば良いのですが、これ以上転送範囲が広がると無関係な人も巻き込みかねませんので。


ちなみに僕の住んでいるお屋敷周辺は完全に王家が取り仕切っており、周囲に建つ他のお屋敷はガワだけで中身はない。


見張りの兵が常駐するくらいになっている。


ここに来たばかりのころ、深夜のスクランブル発進で赤竜王が爆音で離陸するのを大変申し訳なく思っていたのですが、夜中は基本的に不寝番が交代で立つ程度だと聞かされて先に聞いておけばよかったと後悔したものですが。


もし出来るのであれば転移に範囲指定をしたいところですけれど、この精神転移のしくみもよく分かっていないんですよね。


ひとまず新入りの皆さんをななや旅館にお連れして詳しい説明などを。


---


「海?どうしてここに?」


サンセットビーチへ出ると当然だが波打ち際を歩くことに。


雑然としたものが並ぶ洞窟を出たら突然海が広がっていたりしたら驚くのも無理は無いだろう。


海もそうだが、砂浜に建つ巨大なビルにも気付いた皆さんの足が止まる。


最近利用していないんですよね、アミューズメントビルとその隣に立つ温泉ホテル。


ななや旅館だけで滞在時間使い切っちゃいますし。


「ここは地球と呼ばれる異世界の情景を切り抜いて再現しています」と僕から説明を。


再現と言えばうちの実家と張りぼての神社がそのまま砂浜に残っているんですよね。


「左手をご覧ください。勇者さまのご実家とその近くに立つツクヨミ神社がご覧いただけます」


姫さまがどこからか四葉のクローバーをあしらった小旗を取り出し、完全に観光ツアームーブをかましている。


情報過多になって余計混乱するだけだと思いますので、あまり詰め込み過ぎないよう…。


姫さまは家の中も案内したい様子ですが、本当に混乱するだけですのでこの次にしていただくようお願いを。


---


開けた森の中に建つ巨大な和風建築のななや旅館。


ここも初見の人に驚かれる場所の一つになっている。


おみやげ物はスルーで良いかな…ふかしたての温泉饅頭がとても良いかおりを放っており、何人かは釘付けになっていますけれど。


スルーが出来そうにないので全員に温泉饅頭を1つずつ配ることに。


ここは何故か決済が必要なので僕の口座からまとめて支払うことにした。


「ななや旅館へようこそ!」といつものように七夜さんが出迎えを。


ここで七夜さんが人ではないという説明をするとさらにややこしくなりそうなのであえて黙っておく。


「本日もお風呂を先になさいますか?」


「はい、よろしくお願いします」


「お風呂の準備が出来ましたらお声がけさせていただきます」


宴会場に一度集まり、露天風呂の準備が出来るまで待つことに。


そのまま温泉へなだれ込んでも良いのですが一応お作法みたいなものに乗っ取って、まずはお茶とおせんべいを味わうのが習わしとなっている。


---


当たり障りのないセパレートの水着姿となっていただいた本日の新入りの方々は姫さま達が世話をしているので僕の入り込む余地はない。


「益田君、彼女達はどういういきさつで保護を?」


薫先生はご自宅にある温泉ホテルのインスタンスから直接境界の地へとやってきて、そのままななや旅館へとなだれ込んでいる。


お迎えに行かなくても良くなったのだが、DSOVRへのログインがまた遠のいてしまうことに。


2日に1回は顔を出さないとまたシベリア転勤を疑われてしまうので気をつけないと。


今日の捕り物に関して地球への連絡は社長にしか取っておらず、薫先生に改めて説明をすることに。


隣でひなちゃんも聞いていらっしゃる。


今いる世界、女神の教えが生活の基盤となっているのだが、どうにもがばがば過ぎて違う解釈がいかようにも出来てしまうのが問題となっている。


六法全書のようなものは無く、他人のものを奪わないというのが基本理念となっており、勝手な解釈がまかり通っている。


ひどい目に逢っていたと言えばココナの例がそうだろうか。


奴隷を飢えさせなければ神の教えに反しないというカズラヤの認識について、当人たちを給弾したいところだが管理貴族の間にもそのような考え方があるようで。


今日ここに来た新入りの方も多分ろくなものを与えられていなかっただろう。


「勇者さま!」


姫さまが僕を呼んでいるが何かあったのだろうか?

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