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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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雑貨商の裏の顔と勇者

流れで商業ギルドに連行されたカルロスの事情聴取に顔を出すことになった僕。


中身のない深緑の慈悲なので一度入れ替わろうと思っていたのだがそのまま打合せ用の小会議室へとなだれ込んでしまった。


お屋敷からだれか呼ぼうかな。シロさんくらいは居てもらわないと落ち着かない。


『まかせるにゃ』と耳元で声が聞こえた気がするが今のは?


深緑の慈悲と精神融合中は生身の方の五感は遮断されているはずなのだが、だれか僕の耳元で何か囁いていったような。


小会議室には連行されてきたカルロスと彼の身柄を押さえる衛兵が3人、今回の陣頭指揮を執ったギルド職員と商業ギルド長が同席。


「カルロス雑貨店代表、カルロスで間違いないな」と尋ねる商業ギルド長。


しぶしぶといった感じでうなずくカルロス。


何処にでもいそうな茶髪の中年男性だが、オーラはどんよりとした黒い波動を放っている。


どうしたらここまで不気味なオーラを放てるのだろう?


「雑貨店としての届け出はあるがここ何年にもわたって収支報告がされたことはない。今日の視察でも本来あるべき在庫など一切なかったがどういうことだ」


「それは丁度在庫が売れて…」


「ならば売れたことを裏付ける帳簿を見せてもらおう。ちなみに今雑貨店の家探しをしている最中だがそれらしい帳簿は何処にも無いと報告が来ている」


「帳簿は人に見られないよう隠し金庫に…」


「なぜそのような必要が?届け出によればカルロス個人での経営とあるが、他に誰か雇っているのか?雇い入れた店員についての登録が無い場合、処分は重いものになるぞ」


商会の場合、従業員の登録が義務付けられている。ややこしいのだが数十人規模の大きな商会になると別途税を納める義務が発生するのだとか。


口を開けばぼろが出るという状態になり、このカルロスは何かもっと重要な事を隠しているという雰囲気が。


「店の地下に囚われていた5人について何か申し開きは?彼女達は奴隷商のカルロスに買われたと証言しているが」


保護した5人は商業ギルドの別室で休んでもらっている。


なんとなく流れ的にうちでお預かりする事になりそうなので姫さまには前もってお知らせを。


「失礼します!ギルド長、カルロス雑貨店から奴隷証文が見つかりました。それも大量に」


ガサ入れ中のカルロス雑貨店、肝心の雑貨や収支報告は何一つなく、代わりに奴隷証文が出てきたというのだから驚きである。


「真贋判定ではクロ。偽造されたものと判明しました」


それも正規の奴隷証文ではなく、違法奴隷に使う偽造証文が出てきたと。


「カルロス、もしや闇奴隷商か!」


---


残されていた奴隷証文の写しは数十枚。探せばもっと出てくるのかもしれないが。


カルロスは先ほどから一言も発しておらず、闇奴隷商と呼ばれた際にちょっとだけ顔を上げたがすぐに視線をそらした。


サンダッティアでも問題になっていた闇奴隷商。


借金奴隷にしても犯罪奴隷にしても国から発行される証文と腕輪が必要となるのだが、闇奴隷商はそれらを偽造し、あたかも正式な奴隷として見えるように細工を施すのだという。


以前問題になっていたグランディオーラでの借金奴隷を違法に働かせていた件。


あれは事情を知らなかった鈴が白紙の奴隷証文を大量に作らされ、フーリー大臣が合法奴隷を大量に買い込んでいたのだが…。


本来歯止め役となる大臣の中身が暴走しかけた古代遺物のAIだったせいで国を巻き込んだ大事件となっていたのですが。


その張本人であるフーリー大臣というAIのガワは二度とこの世に現れることは無い。


彼には責任を取るために失踪したことにしてもらい、双子が修復したAIには別のガワを提供してある。


以前のおっさん型とは程遠い、美少女型のスキンを被せた素体ですが。


近いうちにそのAIの様子を見に行かなくてはならないのですが、いろいろと事件がありすぎて。


「あなたが冒険者に出した迷宮内での荷物捜索依頼、もしかして奴隷の引き渡しのために?」


返事は無いが、オーラが一瞬揺らいだので間違いないだろう。


ミドリの入った背嚢を迷宮内に置いたアコーギ達にも確認を取らないとならないが、取り調べが出来るだろうか。


何しろ2週間は色の落ちない特殊染料を使ったペイントボムを使いましたので。


一応塗料を落とすリムーバーも用意しているので支障が出るようなら使おうかと。


「今すぐ偽造された証文の裏を取ろう。転売されていなければ取引先にまだいるかもしれない」


商業ギルド長が届けられた証文の束をもって事務所へと向かった。


証文には売り先の情報も記録されている。


多分非合法な組織に売られていったと思われるが…。


一旦部屋の外に出たギルド長が戻ってきた。


「カルロスは詰所の地下牢へ。警備は3倍に」


一度は免れた地下牢行きが決定し、「話が違う!」と叫ぶカルロス。


闇奴隷商ともなれば他に仲間がいてもおかしくない。


カルロスを取り返しに来るかもしれないので警備が強化された。


そういえばいつの間にかシロさんと隠密メイドさん数人が会議室に。いつ入ってきたのか?


---


「いろいろありまして、この5人はしばらくお屋敷で匿うことになりました」


「勇者さま、私共が責任をもってお預かりしたします!」


姫さまがガッツポーズを。この世界にガッツポーズは無いのだが、地球のサブカルに触れる機会の多い姫さまは自然と覚えてしまった。


商業ギルドの宿舎に預けようとも思いましたが怯えっぷりがひどく、僕が身柄を預かることにした。


そのまま日の出荘にお預けしてもよかったのですが、割と長い間あの地下に閉じ込められていたようで、やや衰弱も見られたので必然的にお屋敷預かりという形に。


「もふもふさまじゃ!」とユークレスさんが喜んでいますが、みなさんお疲れですので過度のもふもふはご遠慮いただきたく。


そういえばまだ名前も聞いてなかったですね。


まずは体を清めてもらってから少しずつ話を聞くことにしますか。

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