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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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想像もしなかった背嚢の中身と勇者

「益田!どうしてそんなところに子供が!」


背嚢の中には手足を縛られ、さるぐつわをかまされたもふもふ少女の姿が。


服装は粗末な麻のワンピースとかぼぱん。


少女に見えるだけで実年齢は不明ですが。


迷宮に捨てられた人はこれで二人目か…。ここまで飛ばされてくるのは初ですが。


「いま拘束を解きますのでおとなしくして…ああ、怖いですよね。ちょっと待っていてください」


深緑の慈悲を身に着けたままでしたのでよっこらせとパージを。


縛られた少女は中から出てきたラフな格好の僕を見てさらに驚いている感じですが。


「口の拘束を解きますが大きな声は控えてください」


うなずく彼女を見て口に押し込められたぼろ布をほどくとげほげほとせき込む。


続いて後ろ手に縛られたロープを切断、足に食い込む木製の足枷を破壊。


足枷にはご丁寧に鍵までついているのですけれど、姫さまの加護が掛った状態の僕なら容易に破壊可能。


以前は姫さまから離れて時間が経つと加護も消えてしまったのだが、今は何故かかかりっぱなし。


オンオフも自在無いのでTPOに合わせて加護が発動可能となっている。


「どこか痛むところは無いですか?」


「…いたくはない…おなかすいた…」


かすれた喉から絞り出すように話す少女。


とりあえず栄養バーと飲み物をお出ししようかと悩みましたが、どれだけの期間食べていないのか分からないので麦がゆとスポーツドリンクを出すことに。


これもバイオプラントで作られたお弁当の一つですけれど。


---


おかゆというか重湯のような麦がゆをすすり、スポドリを一気に飲み干した少女。


まだ食べたり無さそうだがこれ以上食べると体を壊しそうなので我慢してもらうことに。


「社長、この子の件を冒険者ギルドに報告しないとならないのでいったん外に出ようと思いますが」


「ああ、かまわぬ。その子供を優先してやってくれ」


「姫さま、僕達は先に迷宮を出ます」


『勇者さま、私共も上がります』


姫さま達だけで充分に戦えるのだが、彼女達はこの少女の事が心配らしい。


しかし何故背嚢に閉じ込められた状態でこんな場所に。


ギルド長にも報告しておくことに。


---


深緑の慈悲は脱いで少女を抱え、証拠物件の背嚢を担いで最短距離で出口を目指すことに。


アヒルちゃんATVを出そうと思いましたが他の冒険者を巻き込む恐れがあり自粛を。


安心したのか少女は先程から寝息を立てている。


道案内はナビゲーションピクシーに任せ、途中で湧く魔獣は女児ワンドのオートエイムによって殲滅を。


『サブロー!わしにももふもふさまを!』


事態を察知したユークレスさんから直電が入ったが、彼女は出口から一番遠いセクションにいて合流するのは1時間後くらいとなっている。


本来なら社長達の初心冒険者講習の終了を報告しなければならないが、こちらの案件の方が重要ですのでしばらく待ってもらうことに。


顕現のリミットまではまだ余裕がありそうなので大丈夫だとは思うのですが。


歩く事30分あまり、ようやく出口が見えてきた。


迷宮の出入口にあるスペースで姫さま達が待機していたので合流を。


---


「預言書の勇者です。初心冒険者引率中に異変がありましたので報告いたします」


ギルドの出張所にはあらかじめ連絡をしており、すぐさま個室へと案内された。


受付で人を拾ったなどと言えば少女を放置したであろう犯人に情報が漏れる恐れがあったのでその辺はぼかしてある。


「そちらの子ですが、なにか身分を証明するようなものは?」


受付で対応してくれたギルド職員がそのまま話を聞いてくれることに。


「それが無さそうなんですよね。本人は疲れて眠ってしまったので余り話も聞けていないのですが」


まだ名前も聞いていない。食べるのに夢中でしたし。


ちなみにおせんたく魔導の発動が必要な事態には至っていない。もしかして放置されてからそれほど時間が経っていないのかもしれないですが。


ちなみに監視カメラの画像を解析中で不審な人物がいなかったか割り出しの最中だ。


物的証拠は何の特徴もない店売りの背嚢1つなので、割と時間がかかりそうですけれど。


管理迷宮に背嚢ごと不要物を捨てる冒険者が割と多いのだ。


背嚢自体それほど高価なものでは無く、汚れものを積めて不法投棄するのは当たり前の世界。


迷宮に物を置くと自然に無くなるという現象は古くから知られており、ゴミ捨て場のように扱われている面も。


実際はMPTが回収分別し、ゴミは燃やすか埋め立てるかしているようなのですが。


ほぼごぶりんの腰布も元をただせば冒険者が捨てて行った布切れのリサイクルだったりするようで。


今回もそういったごみを放置するケースが散見され、だれがこの背嚢を放置したのか特定には至っていない。


一つ手掛かりがあるとすれば重量だろうか。


MPTにこの背嚢を転送した時の記録が無いか同時進行で確認をしている。


「こちらの少女は救護室でお預かりする事も出来ますが…」


「一旦連れ帰ってうちで面倒を見ようと思います。隣国の王妃さまから是非お世話をさせてほしいと…」


ユークレスさんが泣きわめくところが目に浮かぶので一旦連れ帰ることに。


しかし何と言うかおきつねさまに縁があるんですよね。僕。

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