佐々木社長の冒険者登録と勇者
メディカルセクションの調査は一旦終了。
全員分の検査データをダウンロード、とりあえず問題のある人はいなかった。
のんべい組の肝臓が心配だったが、正常範囲内、それもかなり良好な数値となっている。
一日にジョッキ一杯程度のビールでは数値に影響が無いのか、それとも体が頑丈なのか。
シロさんは猫人族だし、精霊女王は精霊だし…若干人とは異なる存在だったりしますが。
健康診断と言えば大黒屋さんはそれはもう非の打ち所の無い健康体となっていた。
双子の作った診断装置で問題が無い事は分かっていたが、他の文明が作った検査装置でも似たような数値が出ており、以前のような魔力枯渇で苦しむこともないだろうと。
ちなみに宇宙船の検査装置には魔力に関する測定データは含まれておらず。
もしかするとそういった力のない場所の文明だったのかもしれませんが。
社長も結構お酒を飲まれるのですが至って健康なようで。ちなみに社長の診断結果も僕のところに転送されて来ているが見ていいものかどうかわからないので開封せずに置いてある。
「会社の健康診断もこのくらい簡単ならいいのに」
「同感でござる。バリウムは拷問に等しいでござるよ」
カモネギコンビが何か言っている。またバリウムの話が出てきた。
みなさん、並々ならぬ敵意を抱いているようでして。確かに検査中も検査後も随分と苦しめられるんですよね。
あの検査方法の確立までには試行錯誤があったと思うのですが…。
あと何年経てばこんな簡単な検診になるのやら。
ここのセクションだけでも地球の数百年後くらいを行っているのではという感じで。
そもそも空間拡張だなんてどんなブレイクスルーをすれば得られる技術なのか。
そこからなんですけれど。
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「増田。冒険者ギルドという場所を覗いてみたいのだが…」
宇宙船で判明している部分の見学を終えてメイン格納庫へとバスで移動中、社長から唐突にギルドへ行きたいと依頼が。
「特に来るもの拒まずな場所ですが、なにか気になりますか?」
「わしも冒険者になれるのかとすこし興味が湧いてな」
仮初の体で冒険者登録をした場合、何か不都合はあるんだろうか?
着替えなどをすると仮初の体が消えた後で服などがそのまま残ったりしますけれど。
冒険者カードなどもこちらの世界に置いていくことになるが、うちで預かればよいだろうか。
ちなみに滞在時間については接続深度が増大したことで多分半日程度なら問題ないと思われる。
それ以上は試したことが無いので謎ですが。
「では行先を冒険者ギルド裏手に」
いつものように裏口から入って窓口へ向かえばよいだろう。
宝箱フィーバーはまだ続いているのだろうか。
2日ほどお休みしてますけれど、何か異変があればそのまま覗きに行くのも良いかもしれない。
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「預言書の勇者様、新人教育をお任せしてもよろしいでしょうか?」
「はい、特に問題はありませんので、このまま南の平原迷宮へ向かいます」
無事に冒険者登録をした社長とかもねぎコンビ、そしてひなちゃん。
F級の仮証を受取った4人をそのまま迷宮探索につれていくことに。
妹さまもいるので5人ですね。
「姫さま、今日は別行動となってしまいますが」
久々にうちのこ全員での散策をすることにした。
いつもなら現場チームと発令所チームに別れて効率よく魔獣を倒して回るのだが、今日は全員で行き当たりばったりな探索をしようという話になった。
今までは宝箱の件もあって最大効率を求めていたが箱が出すぎて預けている箱が多分200箱以上となり、これ以上はギルドへも負担がかかるだろうと思って普通の探索に切り替えた。
とはいえ全員アヒルちゃんを身にまとっての突入となり、全員でマップ共有をすれば索敵結果を互いに融通し合っていつもと変わらない布陣が組めるのではという感じで。
ギルド裏からアヒルちゃん連接バスで飛ぶこと数分、目的地が眼下に広がる。
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「出来れば生身でやりたかったが…」
「仮初の体ですが何が起こるか分かりませんので。それにヤマさんがはらはらしているのであまり無茶なことは…」
全員にパワード・ザ・アヒルちゃんを身にまとってもらった。
社長達の精神はどういう理屈かは分からないが、4500光年離れていると思われる地球からここライスリッチフィールドへと飛ばされてきている。
そもそもの発端はうちの妹さまがすまほーちゃんを媒介としてこちら側に来られることを偶然発見、単体でも飛べるようになった。
もしかしたら地球側に残してきた体に精神が戻れないという事故も起こりかねないのだが、妹さまがそんな心配は不要だとせいれいさんが言っているから大丈夫だと。
そのせいれいさんと直接お話をしたいのですが、僕の前には姿を見せてくれないんですよね。
「おにいちゃん、わたしもぼうけんしゃになりたかったのに!」
「ギルド長がいれば特例で作れたかもしれないけれど、また今度ね…」
ユースィアさんは未だ大森林の洞窟前に陣取って宝箱の発見を見守っている。
たぶん箱フィーバーが終わるまでは王都へ戻るつもりは無いのだろうけれど。
彼女がいれば妹さまを特例措置で冒険者登録出来たかもしれない。
ちなみに預かり所や孤児院の子供たちは特別なギルド証を持っており、薬草取りや町中の清掃などで功績を貯めて置き、成人してからの本登録時にその功績を使ってEランクあたりからの出発が可能となっている。
これは身寄りのない駆け出し冒険者への特例措置であり、後ろ盾のほぼない子供にも昇進の機会を与えるというものらしく。
神社で奉公している子供達にもその功績は蓄積され、いずれ外に出る際の保険となるのだ。
ちなみに何もない状態でのスタートはFと決まっており、僕ももう一枚のギルド証はFランクのままなのですが。
そもそもギルド証2枚持ちというのがおかしいのですけれど。
「あ、魔獣が現れたようですね。お渡しした女児ワンドを構えてください。あとはこちらでやりますので」
薄暗い迷宮を進んでいたら、前方より見覚えの有りすぎる小さな黒っぽいシルエットが3体分近づいてくる。




