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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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月夜ブリッジでの質疑応答と勇者

議事堂で意見を戦わせていても埒が明かないと思い、タマヨさまにここにいる全員を連れて月夜へ移動する事を提案した。


船内の不活性ガスは呼吸可能な気体に置き換わり、スペーススーツなしでも滞在可能となっている。


すぐさま移動用の乗り物が複数準備され、各セクションの代表が乗り込む。


こちらの世界の乗り物は基本的に空を飛ぶものであり、科学庁が不正に占拠していた場所へは10分たらずで到着。


昨日までは放棄された工業地帯と言った感じの巨大なスペースに全長1kmの月夜が鎮座している所を見た代表たちは息をのむ。


先日、僕と戦ったカブトムシでさえ100mという大きさだったがその10倍。


完全に真空中を移動する事だけに特化したごつごつとした外観はまるでコンテナを積み上げてつくられたブロックの船にも見える。


くすんだ灰色だった外装はまる一日かけてメンテナンスロボが磨き上げ、灰色のボディが日の光を浴びて輝いている。


深宇宙を飛ぶような船であればもっと暗い色をした艤装になるのかなと思ったのですが、月夜に尋ねたところ艦載機を飛ばした際に目視で戻ってこられるようあえてこの色になっているとの回答が返ってきた。


つまるところ船が見えなくなる距離まで飛ぶなという事らしい。


例のオケラ…星喰いはあらゆる電磁波に反応して飛んでくるというので船からビーコンを出すなど自殺行為だと聞いたような記憶もある。


明るい灰色であれば背景の恒星に紛れて見えないということかな?謎ですけれど。


外側は十分に堪能したので今度は内部のブリッジへみなさんをご案内することに。


---


やはり目を引くのは物理窓。


普通の船であれば艦橋すらなく、船体内部にコントロール室があるだけという設計が多い中、月夜はまさしく艦橋と呼べる巨大な突起が鎮座しており、船体のコントロールはそこからほぼ自動で行われる。


ブリッジにならぶコンソールのほとんどは機器のモニタ類で、異常値を示した場合のみ人が介在してセントラルコンピュータに指示を出すしくみとなっている。


ちなみにブリッジは非常に広く、連れてきた200人あまりの人間が入ってなお空きがある。


まぁ、船が大きいですから監視対象もその分増えるということだと思いますが。


月夜によれば通常航行に大体20人程度の監視で充分らしく、この広さは有事の際の発令所として機能させるためのものらしい。


星喰いと対峙した際の作戦指令室にも使えるような設計だったと。


そんなわけでご本人からも操船に関しての説明がなされたわけですが、まさかこの船に人工人格が載っていただなんて知らなかった人たちからは驚きの声しか聞こえなかった。


例のカブトムシにも自立航行システムは備わっていましたが、あくまでプログラムとして稼働するだけで対話機能など無かったですし。


あれ?船体の説明をする際に星美の事も紹介したと思っていたのですが、勘違いだったかな…。


「このような明確な意思を持った船が存在したとは…」


「祖先はこの船でここに…」


月夜には移民船団に所属していたかと尋ねたことがありますが、そのデータすら残っていないと。


前のオーナーはそこまでして情報を隠蔽する必要があったのか。


ならば船が二度と起動しないようロックを掛けるか、そもそも船自体を残した理由も謎。


仮説ではあるが、月夜は有事の際の緊急脱出用に準備されていたと考えるのが妥当ではないか?


実際、貨物室の大半がコールドスリープカプセルらしいと月夜から報告を受けてますし。


多分数万人くらいを載せ、後は何処かの星に降り立った際に住む場所を作るための資材などを積み込む予定だったのでは。


あくまで予想でしかありませんが。


僕が物思いにふけっている間に各セクションの代表が我先にと空いているコンソールに張り付き、月夜に質問しまくっている。


高性能なAIなので200人同時に会話するのも全く苦ではなさそう。というか本領発揮と言った感じか。


出てきた質問に関して情報が集積され、中央スクリーンにQ&Aが次々と出来上がっていく。


議会で揉める前に最初からここに連れて来ればよかったのかもしれない。


まぁ、揉めていたのを見て判断したので仕方ないと言えばそれまでですが。


質疑応答は1時間あまり続いた。


これを一度まとめて持ってきてなんて話をしていたらどれだけ時間のロスになっていたことやら。


---


「サブロー様、話が前に進みそうです。この船の潜在能力は我々の認識のはるか上。このまま星海に出てもなんら問題は無いでしょう」


疑念を抱いていたセクションの代表は一度話を持ち帰るとしながらも、当初の反応よりはずいぶんとやわらかい態度になっていた。


月夜がそれぞれのセクション代表の端末に今回の質疑応答内容をまとめた資料、セクションごとの質問と回答をまとめたものをダウンロードさせていた。


元となった文明の基礎が同じなので端末も互換性があるのだろう。


気が付けばお昼前である。


議会で話を聞いていた時間も合わせると滞在時間は3時間くらいか。


それぞれのセクションの代表は議事堂には戻らず、自分の部署へ直行するという。


早く話が進んで月夜が星海に出られれば良いのですが。


午後は15時ごろ、星美のところへ行く予定だ。


今日は宇宙船の日ですね。

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