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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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紛糾するサブロニア議会と勇者

「勇者さま、なにかおこまりでしょうか?」


「いえ、特に困っているわけではないのですが」


難しい顔をしていたらしく姫さまから心配されてしまった。


佐々木社長からサブロニアとファンタジー世界へも同行したい。今日でなくても構わないがという昨晩懸念していた内容が届いた。


社長の好奇心はいったいどこから湧いてくるのだろうか。


まぁ、それでなければクロツキテクノロジーなどというモンスターコーポレーションを引っ張っていけないのかもしれないですが。


そういえば社長業をしている佐々木社長って見たことないんですよね。


暇さえあれば境界の地のラボに籠り、分析を進めているようで。


あのクラスの会社ともなれば各界の要人が商談なり相談事なりを持ち込んで一日中面談でつぶれてもおかしくないと思うのですけれど。


もしかしてその辺は有能な部下に丸投げして自分は結果だけ聞いているとか?


僕がまだ地球にいた頃、クロツキテクノロジーの社長の顔を見る機会はなかった。


会社のサイトの代表取締役のページには名前しか載っておらず、写真等は無かったですし。


大きな会社なので新聞や雑誌に名前がしょっちゅう出ていたがそういった記事の中でも社長の写真を見たことが無かったんですよね。


謎多き人物としてその人物像に迫る特集記事を読んだ記憶もあるのですが、乗っていたイラストは60代の男性だったような気が。


そもそも表立って行動する事が無かったのかもしれないですけれど。


サイトの会社案内に添えられたイラストが佐々木社長によく似ていたのは覚えているのですが。


そういえば今度の記者会見、社長が出るんだろうか…。まぁ出ないだろうなぁ。


画期的なVR機器の発表についてひなちゃんから話を聞いたときにも社長は顔を出していなかったと思いますので。


うちの会社がクロツキに吸収され、VR部門として再スタートしたと聞かされた時、僕は非常に残念に思いすぐに地球へ帰りたい気持ちに。


僕がこっちに来た後でそんな最先端の仕事が降ってくるだなんてあんまりだと嘆いた物ですが。


今は何と出向社員という名目でそのVRシステムに携わっているという。


運命とはどう転ぶのか分かった物ではない。


ただ、ここは地球の法が及ばない世界なのでなんというか扱いは割と雑なんですけれど。


ほぼ佐々木社長の秘書として働いている感じなんですよね。


むしろ双子の方が社員としてきちんと働いているような…。


ヘルメット型のダイブシステムについて双子が解析を行い、接続深度(シアー)を数倍から数十倍に引き上げることに成功。


ヘルメットでは満足にダイブ出来なかった課長が安定してゲームの検証ができるようになったのと、後は製造コストを1/10に抑え、歩留まりの向上も。


ヘルメット型のデバイスは比較的安価に安定供給出来る見通しが立ち、ベータ版では一千台を貸与するという話になっている。


カプセル型は富裕層向け、ヘルメット型は一般利用者向けと棲み分けを考えているという。


ちなみにこちらの世界では成功しているゴーグル型のデバイス、地球ではロジッククオーツの小型化に制限があって実現していないと。


クオーツの製造プロセスを一から見直す必要があるとの事で。もしこれに成功すればさらに安価なデバイスを普及させることも可能だ。


しかし何と言うか…佐々木社長の頭の中にしかないはずの設計図を何故双子が解析できたのか?


基本的にリバースエンジニアリング出来ないよう強固なプロテクトが備わっているとも聞いていたんですが。


その辺は時間のある時に双子に聞くとして、まずはサブロニアへと移動する事に。


お屋敷からでも移動可能なのですが、姫さま的には直接サブロニアが見える日の出荘のペントハウスを使ってもらいたいという話でしたのでまずは移動を。


---


事前にタマヨさまに連絡を取り、本日は議会のほうへ顔を出すことになった。


転移するとちょうど議論の真っ最中。


突如として出現した祖先の遺した船の扱いについてやり合っているとの事前情報を得ていたが…。


議員の中からもう少し様子を見るべきという声もちらほらと聞こえてくる。


大部分はすぐにでも星海に出てもし存在しているのであれば母星とコンタクトを取りたいという意見なのだが。


問題となるのが母星の位置。


サブロニアには母星の正確な座標を記した情報は無く、おおよその方角のみ文献に記されている程度らしい。


これも星喰い対策ということで。


ちなみに月夜で母星に向かった場合、何か月いや何年かかるかの試算もまだだという。


そもそもエンジンの諸元もこれから調査するという話でしたし。


サイズ的には恒星間を飛行可能な大型船という認識なのですが、まず行先を確認する事とどうやって移動するかの問題が残っている。


一刻も早く星海に出て月夜を使って調査すべきという意見。それとは別に伴星を使ってまずは母星の位置を割り出すのが先という意見。


ならば同時進行でも良いのではと思ったのですが、一隻しかない貴重な船をただ調査の為に危険にさらすのはというのが反対派の言い分らしく。


星喰い亡き今、何を恐れるのか。


もしかして僕が知らないだけで宇宙空間にも魔獣が出るとか?


ああ、乗員の訓練もなしに空へ上がるのは危険ということですね。その辺は船体コンピューターが全部肩代わりしてくれるのですが。


一度船内を見てもらったほうが良いのだろうか?

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