おにくのかおり漂う露天風呂と勇者
全員が焼き肉の煙でいぶされたので、お風呂へ突入することに。
薫先生のご両親はそのままお帰りになるという話で地球側のインスタンスまでお見送りをすることに。
できればななや旅館の露天風呂を満喫していただきたかったのですが、いろいろな意味でおなかいっぱいになってしまったようで。
そういえばうちの子達の紹介もほとんどしてなかったんですよね。
特にけもみみさんに関してはなんら事前情報も無く、初見でおきつねさまをご覧になられた心境はどうだったのかちょっと感想をお尋ねしたいところですが。
ちなみに温泉に入ることで得られる美容効果については情報解禁前なので口にしていない。
その件に関して社長がDSOVRのベータ版抽選発表後に割と大き目な記者会見を開くという話でしたので。
ちなみにダイブマシン自体はマッサージ機としての認可を受けていると聞いている。
ヘルメットも同じく、眼精疲労を低減させるマッサージ機に分類されるという話でした。
一応医療機器としての認可を受けているので今回の発表で販売の差し止めなどは起こらないとは思うのですが。
後は仮想世界での入浴が何故美容につながるのか。その辺の裏付けが一切ない状態なのであくまでも個人差のある効能として発表するいわば研究の中間報告みたいな形になるようで。
「薫さんはどうされます?」
「二人をログアウトさせたら戻るつもりよ」
「でしたら乗り物を置いていきますので」
境界の地とななや旅館は歩くとちょっと距離があるんですよね。
アヒルちゃんゴルフカートをお出しして足として使ってもらうことに。
オートドライブの乗り物に飲酒状態で乗ると何かしら不都合はあるのだろうか。
タクシーとは違いますし。
その前にここは何の法律も適用されない謎の空間ですけれど。
おそらく地球側のインスタンスに戻って親子で何かしらの話をすると思われるので僕は薫さんを残してななや旅館へと戻ることに。
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「お風呂場が何故か焼き肉の香りに満ちている件について」
まさかここでBBQを?と思ったがそうでもないらしい。
油煙を大量に浴びた皆さんが一度に集まったので焼肉のかおりが充満しているのだろうか。
おしっぽさま、特におきつね様はご自身のしっぽを丹念に洗っていらっしゃる。
リアル側でもお屋敷でお肉の炭火焼きを考えていたのですが、後始末が大変だよなと思い一旦やりたいリストから外すことにした。
ちなみにお屋敷の庭でならBBQをやることは可能。
ご近所様はいらっしゃらないので…旧バラドクがありましたね。
さすがに道を挟んであちらまで煙が流れる心配は無いと思いますけれど。
今回のお肉パーティ、旧バラドクに住んでいるアイリス達も呼んでいる。
「ゆうしゃー何してたのー?」
なんというかまた育ったんじゃないですかね。アイリスのご立派山脈。
水着になると特にそう思うのですが。
「薫さんのご両親を送ってもどってきたところ!」
ちなみに地球からのお客さまだと説明はしていますが、珍しく男の人が来たくらいの感想しかなかったようで。
というか地球からのお客さまも女性ばかりなんですよね。
「おにいちゃん!」
アイリスの妹、リーナに手を引かれて洗い場へと連行された僕。
そこで頭からお湯をざばーっと掛けられ、よってたかって洗われることに。
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「アイリスはいいの?」
「もう洗った。リーナも大丈夫」
誰か洗ってあげようと思ったら全員済ませた後らしく、残るはまだ戻ってきていない薫さんくらいだ。
ご両親との話が長引いているのかなかなか顔を出さないですね。
多分今晩の事で質問攻めに合っているのだと思いますけれど。
今のところヘルプ要請は来ていないので静観するしかないのですが。
僕の膝の上はようじよ数人が入れ替わり立ち替わり状態。
今はもえが座っている。大体10分くらいで交代となり、次はリーナが控えて…。
「リーナよ、おとなしくもふっと」
「ひゃああああ」
ユークレスさんに捕まっているリーナを助けに行かないと…大丈夫かな。
一応過度なスキンシップは控えるように言ってますが。
ココナはユークレスさんの魔手が苦手なようで僕の影に隠れている。
もふもふさまを構い倒すユークレスさん。夫であるラシーマスさんから受ける過度のスキンシップを嫌ってサンダッティアからライスリッチフィールドへ来ているのに自分のやることは棚上げしているんですよね。
何度か注意したんですがどうも本能には逆らえないらしく。
のんびり温泉に浸かっていたら、女子更衣室側のドアが開いて薫さんが顔を出す。
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「益田くん。今度一緒にうちの親の話を聞いてほしいんだけど…」
「何かありました?」
「お父さんが異世界に興味を持ったみたいで…私もそれほど知っている訳じゃないし」
多分今夜のおにくパーティーが決定打だったのかもしれない。
薫さんのダイブシステムに展開しているインスタンスで話す分には何ら問題は無いので。
異世界側に顕現してもらうにはまだ接続深度が不足している。
何度か境界の地を訪れてもらい、接続深度を強化してもらわないと。
僕の深度は測定不能、姫さまがおそらく一千万から三千万くらい。ひなちゃんは測定不能レベルに限りなく近づいている。妹さまもよくわからない数値を叩き出していたと思う。
大体三千あれば一般のVRコンテンツを利用可能。
一万から三万あれば境界の地へと顔を出すことが可能で、異世界顕現は百万が最低ラインと思われる。
うちの両親は最近のデータを取っていないが大体数千レベル。課長も似たようなものだ。
この深度が低いと異世界で撮影した写真や動画を見ることも出来ず、僕の無事を知らせることが出来ない理由となっている。
あと、二人の立ち位置が不明瞭というのもあって、積極的に知らせようとしていないのもあるんですが。
予想でしかないがうちの両親は政府直轄の何かしらを請け負っている可能性があり、そんな組織に異世界への連絡手段があると知られたら何が起こるか分からないので。
考えすぎかもしれないですが用心に越したことは無いので。
「益田君?」
「ああ、薫さんごめんなさい。ちょっとうちの両親の事を考えていて…」
二人にはコロの生まれ変わりの件も話さないとならないのでいろいろと大変だ。




