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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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干物精霊のメイド服と勇者

「益田くん、これって本当だったら食べ放題で出るようなお肉じゃないよね?」


「どうでしょう。特に等級は書かれてなかったですが」


薫さんの目の前には和牛らしきものが山と積まれた大皿が置かれ、干物精霊がコンロに陣取ってお肉を育てている。


彼女達は自分が食べるのではなく、サーブに回ってくれたようで。


ほどよく焼けたお肉が網の端に寄せられ、僕達はそこからおにくさまを頂いている。


「薫さん、これどうです?」


綺麗に差しの入ったおにくさまがほどよく焼けた状態となっており、薫さんに勧めることに。


「昨日は海鮮、今夜は特上のお肉…明日から何を食べたらいいの?」


普段の食生活に戻るのが怖いらしい。僕は特に問題ないのですが。


明日の朝食がグランディオーラで作られた栄養バーでも文句は言わないので。


あれ、おいしいですし。ぶるーぶる味がお気に入りなんですけれど。


普通、一度肥えてしまった人の舌は元には戻らないのだろうか。


「カルビはいりまーす!」


別の干物精霊が今度はカルビを運んできてくれた。至れり尽くせりですね。


ちなみにここでどれだけ食べようと現実の体が太ることは無い。


精神的には満腹なのに体の方が空腹を覚えるという矛盾が生じるのが難点ですが。


「お父さんたち大丈夫かしら…こんな事なら夕食を控えるように言っとけばよかった…」


薫さんのご両親は別の席で接待を受けている。


ハルミルさんとロスミアさんも別席でおにくを提供されているがそもそも焼肉が大丈夫か聞いてなかったんですよね。


「薫さん、ちょっと他の席の様子を見てきますので。あ、ビールお代わりします?」


「ビールはもう飲めないわ…さすがに両親の前で酔いつぶれるわけには行かないし」


お酒で失敗する人多いですからね。特に薫さんとひなちゃんは要注意となっていますが。


だったら炭酸水でいいかな?飲み物を取りに行きつつハルミルさんの所へ。


---


「ご挨拶が遅くなりました。お肉は大丈夫でしたか?」


「サブロー様!このようにやわらかいお肉は初めて食べました!それに独特の甘みがあって気が付くとお皿に何も無くて…」


ハルミルさんの所でお肉を入手する方法は2つ。森にいる小動物を狩るかレジのおとりよせで塊となったものを買うか。


お取り寄せはそれなりに値が張るのでよほどの事が無い限りは注文しないのだとか。


冬場に獲物が取れない時に村から必要経費を徴収し、塊で買った物を出した金額の分だけ切り分けるという。


何の肉なのかは詳細は不明だが、畜養されたものらしい。


もしかするとバイオプラントのようなもので積層印刷された合成肉かもしれないですが。


「このタレというのも初めて口にしました。肉と言えばおなかをこわさない程度に焼いて塩とわずかな香辛料で食べるのが普通でしたので」とロスミアさんが。


あちらの世界、焼き肉のたれはないのだろうか。


ちょっとレジの取扱商品を精査してみようかな。


調味料が見つかれば食卓に色どりが出ますし。


「もしかしたら焼き肉のたれが見つかるかもしれないので、今度買取所にお邪魔した際に調べてみますね」


この前バックアップを取った商品一覧を見ても良いが、実際にレジの画面を見ながらの方が分かりやすいだろう。


商品写真までは取り込んでいないので。データ抽出は僕が直接行わないとダメっぽい。


深緑の慈悲もまさかレジデータのバックアップに使われるとは想定外だろうなぁ…。


データはレジ自体が保持しているようなのでダウンロードしても多分中央には検知されないと思われる。


何度も言うが星の数ほどある端末の一つが誤作動したところでそれを突き止める為にわざわざ出向いてくるような事は無いと思ってますので。


星間連合(ユニオン)の構造自体が既に誰の手にも負えないほど巨大化しているらしく、どのまとまりにどれだけの文明が紐づいているかすら把握していない様子で。


言い方は悪いがねずみ講のようなツリー構造になっていて、末端がどこまで伸びているのか誰にも分からないらしく。


一斉送信メールだけは何故か確実に届くという謎の技術があるのにもかかわらず。


メールは各端末に送るのではなく、無数に中継されたハブにデータを取りに行く仕組みになっているのかなと勝手に想像していますけれど。


話がそれた。


ハルミルさん、ロスミアさんは問題無いと思われるので薫先生のご両親を見にいくことに。


---


「益田様、本日はお招きいただきありがとうございます」


「仮想世界の催しで申し訳ありません。地球に戻りましたら良いお店へご案内しますので」


お二人とも少しアルコールが入っているようで、干物精霊の接待にも慣れた様子。


良いおにくが食べられる所ってうちの近くにあったかな…お魚は夕べの温泉ホテルが良さげでしたけれど。


地元で有名な高級和牛も食べられるんだろうか?後でホテルのサイトを確認してみますか。


そういえば干物精霊達、そろいのメイド服を纏っているのですけれど何処から出てきたんだ?


これもソネッタさんの仕込みなのだろうか?それにしては手際が良すぎる気が。


境界の地にあるショップ、試着室で服を選んでボタンを押すだけで着替えられるシステムが入っている。


もちろん吊るしの衣装を持ち込んでも着替えられるのですが。


雰囲気を楽しみたければ服を持ち込んでとっかえひっかえも可能。


「サブローさま。衣装はシルフィールさまがご用意してくださいました」


ひれビンタさんが空中でスカートをふわっと翻しながら説明を。


ロングメイドに魚のひれってなかなか良いものですね。


多分うちにいる間はメイド服がメインになるのではという勢いで。

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