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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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サブロニアで宇宙船のリフトアップをする勇者

僕と姫さまは一旦境界の地へと移動。


そこでログアウトして現実世界に戻ってきたのだが、様子を見守っていたみなさんの様子がいつもと違う。


薫先生…薫さんが正式にうちの家族となったことでよろこんでいらっしゃるようで。


「勇者さま!今夜は境界の地でお祝いをしましょう!」


何度も言うが毎晩歓迎会やお祝い続きのような気がして仕方ないのですけれど。


「ななや旅館で船盛パーティーでもやりますか?それともお肉に?」


宴会コースは複数選べ、この前は船盛尽くしという海鮮メインだったがおにく中心のがっつりしたメニューも選べるようになっていた。


後は各国のコースメニューがあるが僕はマナーなど知らないので多分選ぶことは無いと思う。


ちょっと見てみたいという気はしますけれど。フランス料理レストランなんて行ったことは無いですし。


「お魚はいただいたばかりですので今夜はお肉にしようと思います」


昨晩タングラートで宴会やったばかりですし。


ちなみに僕の膝枕担当はルナール先生に変わっていた。


うちの家族、先生が二人もいらっしゃるんですよね。自称先生を入れると三人か。


ユークレスさんも考古学の部門では先生を名乗るエキスパートですし。


そういえばルナール先生のご両親にもご挨拶に行かないとならないんでしたね。


ルナール先生の出身地、リンダール村はいろいろと思い出深い場所ですけれど。


名つきの村はそれなりに功績があった証拠で、炭鉱で栄えた村だからという話。


今でも収入は炭鉱から算出される石炭がメイン。


鉄を打つための燃料として欠かせないのだという。


ルナール先生のご両親はご健在という話でしたので、はとぶさ便で先ぶれを出しておいてから向かうことにしますか。


いつも行き当たりばったりのご訪問をしているのでたまにはまともに話を進めてみようかと。


「おてがみとどける!」と様子を伺っていた干物精霊が息まいていますが、君らが姿を見せると騒ぎが大きくなるので。


「姫さま、ちょっとサブロニアを覗いてきます」


これで行って帰ってくれば丁度御夕飯時となるだろう。


サブロニアへは僕一人で向かうことに。


---


今日の作業は宇宙船を地上へ暴露させること。


既にドッグ内の空気は入れ替えが済んでおり、不活性ガスをまき散らす心配は無い。


便宜上「基地」と呼んでいる場所は月夜の制御下にあり、地下1階に存在する科学庁の作り出したガラクタ置き場は中央から二つに割れて巨大な空間に収容されていた。


僕が顔を出す前にリフトアップの準備は整っていたようで「リフトアップ開始!」の号令と共に月夜の乗った巨大な台座が地上に向けてせり上がる。


上昇スピードは非常に早く、全長1kmの船体が乗った台座は分速50mほどで地上へと向かう。


地上まで1kmほどなので20分もすれば到着するだろう。


そんな様子を船体ブリッジ内にあるキャプテンシートで見守る僕。


タマヨさまには恐れ多くも僕の膝に座っていただいている。


僕は月夜にキャプテンとして指名されたが、いちおうこの国の最高責任者であるタマヨさまが座るべき場所と思い…。


ちょっとした押し問答をしたのですがならば一緒に座ろうという話になりまして。


タマヨさま、実年齢が分からないんですよね。


見た目は中学生くらいなんですが、絶対実年齢じゃないよなという感じで。


『キャプテンサブロー。船体セルフチェックオールグリーン。メインエンジン点火準備完了しています』


「月夜、メインエンジン点火。出力は最小限に」


『復唱、メインエンジン点火、出力最小限』


中央スクリーンに表示された補助機関10基の出力が110%まで上昇。


『サブリアクター全力運転。メインエンジン炉内に特異点検出。エネルギー抽出連続起動モードへ移行』


月夜に搭載されたメインエンジンはほかのどの文明とも異なる仕組みでうごいているらしい。


星美のエンジンはヴォイドと呼ばれる一種の亜空間を炉内に展開し、エネルギー勾配を人為的に作り出して出力を得るらしい。


対して月夜のエンジンは炉内に特異点と呼ばれる穴を空け、そこからエネルギーを得るらしい。


本当に「らしい」としか説明が出来ない。物理学の常識とは?という感じですし。


例えるならガソリンなしでエンジンをフル回転させるようなものだ。


どちらも大元のエネルギーがどこから来るのか、それすら謎となっていますが。


そんなわけで中央のスクリーンには入力した量をはるかに超えるエネルギーが湧き出すメインエンジンのステータスが映し出された。


補助機関はほぼ無負荷運転となり、メインエンジンの点火プラグへエネルギーを注いでいるだけだ。


「タマヨさま。月夜はこのまま試運転に入れますが…星海にも出られますけれど」


船を縛るものな何もない。このままメインエンジンの出力を上げればいつでも重力圏を脱出できる。


僕の膝の上でモニタを注視していたタマヨさまが振り返る。


「星海に出るには議会の承認が必要だ。すこし待ってほしい」


「分かりました。では地上に出た段階で各機関のセルフチェックだけ行います」


ブリッジの物理窓の外に青空が広がり、サブロニアの首都が一望できる状態となった。


---


とりあえずエンジンはかけっぱなしで様子を見ることになった。


大気圏内、宇宙空間用の推進機は正常。これらの推進機の燃料もメインエンジンから供給されるというのだから驚きである。


永久機関なのかと思ったがそうでもないらしく。


月夜にもこのエンジンの詳しい情報は残っておらず、整備マニュアルだけが存在するブラックボックスとなっている。


まぁ、基本的にエンジン自体はメンテフリーで動くようですが。


とりあえず諸元をまとめて社長へ報告しておく。こういうの大好きですから。


「とりあえずメンテナンスロボを放っておきますか…」


何千年かはわからないが放置されていた外装にはずいぶんと汚れが目立つので自動メンテナンスを実行することに。

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