温泉ホテルでのプロポーズと勇者
薫先生のご両親に今の僕の立ち位置などを説明。
家族が40人もいることはどう説明しようかと悩んだが、そこは姫さまから説明がありお二人とも驚いている様子。
そんな話を前提にして本題に入るわけですが、どう反応されるか未知数なんですよね。
「お父さん、お母さん。私は益田君と結婚しようと思ってるの」
「「薫!」」とお二人の声がハモった。
「私の事を理解してくれる男性は全くいなかったわけじゃないけれど、益田君ほど親身になって話を聞いてくれた人はいなかったわ」
学生時代も何かと接点がありましたし。主にシロさんの護衛をするにあたって毎日のように報告をさせられていましたから。
その殆どが不審者との遭遇で僕がアトーリア語でまくしたて、その間に待機していた国から派遣されたエージェントが対象を確保するという流れがテンプレ化してましたし。
ちなみに捕まった連中がどうなったかはつい聞けなかった。
良くて普通に国外退去、もしかすると一生地下牢に入れっぱなしというパターンもあったかもしれない。
あの時にお世話になったおねえさま方とはその後一切の接点が無く。
僕を目の敵にしていたおねえさんは今何をしているのだろう。
そんなわけで学生時代からの付き合いのあった薫先生とは高校卒業後も何かと接点があり、たまにショッピングモールのイートインでお茶をしばいたりもしてましたが。
大体妹さま同伴でしたけれど。
まぁ、田舎なので行く場所も限られてましたが。
ちなみに薫先生のご両親と会うのは今回初だと思う。もしかすると何処かですれ違っていた可能性も微レ存ではあるが。
「益田様、本当にうちの娘を…」
お父様が涙ぐんでいらっしゃる。
「はい。地球に戻ったら正式にご挨拶へ伺いますが、いまはこのような形でしか…」
「薫の事、よろしくお願いいたします」とお母様が。
反対されるかと思いきや、ご両親も乗り気という。
「薫先生のすてーたすを更新しておきます!」と姫さまが。
例の家族リストだろうか…。多分今まで仮になっていたものを変更したのだろう。
ちなみに僕にはアプリ版家族リストの閲覧権限はない。何故かは不明だ。
紙に書かれた方を見ればよいのですが。あちらは何度もつぎはぎされて床を這うような事態になっていますけれど。
てっきり嫁にはやらん!と全面対決になるかと思われたが肩透かしを食らった感じだ。
そういえば呼び方が君から様になっているのは何故。
「薫から増田様のことを何度も聞かされ、薫がこんなにも心を寄せる男性がいるとは」
薫先生にとって男という存在は怖くて仕方のないものだと聞いたことがある。
見た目が小学生の薫先生にしてみれば見下ろされながら声を掛けられるのは恐怖でしかなかっただろう。
多分僕ともシロさんが関わらなければ話すことも無かったと思うのですが。
学生時代、その特異な体質については本人から聞かされており、日本はおろか世界でも報告例のない奇病についてすこし調べたこともあった。
当時はネットなど無い時代で図書館に行くくらいしか調べる伝手は無かったが…。
他の生徒はどうかわからないが僕やシロさんは薫先生を尊敬していたし、困りごとがあれば率先して対応…主に資料の運搬などですが…。
「益田君…」
「薫先生…」
「先生はやめて。薫って呼んでほしい」
ちょっと恥ずかしいですね。ご両親の前ですし。
「薫…さん?」
「…いまはそれでもいいわ。ずっと待っているからね。必ず帰ってきて!」
「はい。あちらの世界の異変を収束させたらすぐに帰りますので」
そもそも世界の異変とは何ぞやという根本的なところが謎なのですが。
目の前にぶら下がるのは大教会という謎の巨大組織。そして迷宮からあふれる魔獣の数々。
対症療法でよいのか。それとも元から絶ってしまっても良いのか。
薫先生が僕の手を取って自分の方へと引き寄せる。
「私のこの体質、もしかすると益田君を待つためのものじゃないかって気がするの。でも出来るだけ早く帰ってきてほしいな。両親に花嫁姿を見せたいし」
いつまでも衰えることを知らない薫先生の特異体質。
僕を待つためだけにそんな体質を与えたのは誰なんだ…。一生不自由な生活を強いられるというのに。
僕の異世界への転移はいったいどれだけの人に影響を与えているか。
それがあらかじめ仕組まれていたのなら、何故僕がその責務を負うことになったのか。
その問いかけに応える存在はいない。
多分存在Nあたりが何かしらの情報をつかんでいると思われるが、こちらからの質問には一切返事がない。
インベントリに入れた手紙も読まれた形跡は無いし…。
薫先生のご両親を見ると何故か固まっていらっしゃる。
その視線の先を追うと、ひれビンタさんの姿が!
さっき見えた干物精霊、やっぱり気のせいじゃなかったのか…。
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「彼女達は精霊という存在で、あちらの世界でも非常に珍しいのですが」
ひれビンタさんを筆頭に10人ほどの干物精霊が来ていたので薫先生のご両親に紹介を。
どう見ても人魚にしか見えないんですけれどね。
元々1/6ドールサイズだったみなさん、今では1/3ドールサイズとなり存在力も増している。
境界の地を飛び越え、地球にあるインスタンスまでどうやって侵入したのかと尋ねるとおおえだちゃんのおうちに干物精霊専用のダイブマシンがあると発覚。
双子がいつのまにか設置したようで、彼女達は境界の地まで自由に来られるようになったと。
僕が温泉ホテルのスタッフドアに入るのを見て、興味本位で付いてきたらしい。
接続深度さえ足りてればいつでも地球側に来られることが分かっただけでも良いか。
後は地球側に魔素さえ満ちていれば顕現可能となるのですが、さすがにそこまで都合よく進まないのが実情でして。
薫先生のご両親には時間のある時に境界の地へ足を運んでもらうことにした。
なんなら今夜にでも。
誤字報告いつもありがとうございます!




