薫先生のご両親と面談する勇者
「お兄さま、お帰りなさい」
膝枕担当はエリオさんに変わっていた。
思わずねこみみに手が伸びそうになったがなんとか自制するもエリオさんに手を取られ、結局おみみさまをわしわしすることに。
「勇者さま、ハルミルさんとロスミアさんですが今夜境界の地にお呼びするのですね!」
「一応その予定です。何か問題が無ければですが」
夜中に劣獣が湧いてハルミルさんが駆り出されたりしたら大変ですけれど、基本アヒルちゃんたちが対応することになっているのでよほどの事が無い限りは。
「引き続き、薫先生のところに顔を出してきます」
「勇者さま、私もご一緒してもよろしいですか?」
「姫さまお一人でしたら…あまり大勢で押しかけると薫先生のご両親が驚かれると思いますので」
今日、あちらは日曜日で薫先生とご両親が御在宅という情報は得ている。
ご両親の接続深度は1万前後出ている様子でちょっと心もとないかなという感じ。
地球側のダイブシステムにこちらから顔を出せばもしかしたら顔合わせできるかなという期待をしているのですが。
姫さまがゴーグルをつけるのを見届けてから僕もダイブを。
まず向かうのは境界の地である。
一応十六夜さんには連絡済みだ。
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「早い時間に失礼します」
「日に一度とはいえ、小僧もその体勢は大変だろう」
境界の地へ飛んだ際、十六夜さんの股下ログインは1日1回必ず起きる現象。
これがログインボーナスなのかと言われると微妙ではありますが。
本日のおぱんてぃらさまは版権モノらしいが詳細は語れない。
今話題の映画らしいが…不老不死がテーマだとか聞いたような記憶もある。
不老不死といえば僕の魔力量は測定不能なレベルで増大しており、このまま老化することなく数千年は生きられるのではないかと不穏な事を言われたのを思い出した。
薫先生もある種の不老体質で小学校高学年の児童くらいの容姿のまま、体も衰えることなく…。
その為男女のお付き合いなどもしたことが無く、両親から勧められるままに何度も見合いをしては玉砕するというパターンを繰り返していたと。
まぁ、ご両親からしてみれば年頃の娘がずっとひとり身のまま過ごすのは気の毒に思うのかもしれないですが。
本日はその問題に終止符を打つべく、僕が名乗りを上げることになっているのですがうまくいくのでしょうか。
「勇者さま!」
姫さまに声を掛けられ、十六夜さんのスカート下から這い出した僕。
この前作った薫先生のお宅にあるインスタンスへの入口へ向かうことに。
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「勇者さま。こちらにも温泉ほてるがあるんですね!」
「汎用性が高いので使いまわしですけれど」
一番無難なインスタンスといえば温泉ホテルとなる。
他にもゲームセンター、キャンプや渓流釣りが出来るゾーン。世界中の名所をぎゅっと集めたワールドなども存在するがどれも落ち着かないと思われますので。
赤いじゅうたんの引かれたとてつもなく広いロビー。
境界の地と異なるのは出入口が無く、ロビーの外へは出られない点くらいか。
後の施設はほぼコンパチとなっており、施設類はそのまま利用できる。
「益田くん!」
後ろから声がかかったので振り返ると普段着姿の薫先生、そして初老にさしかかったくらいの男女の姿が。
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「谷崎岩男です」
「妻の幸恵と申します」
早速ロビーの一角にあるソファーに陣取り、薫先生のご両親とご対面となった。
「益田衛登と申します」
「シルフィール・サファイヤ・ライスリッチフィールド。ライスリッチフィールド国第一王女です!」
僕の名前を聞いて何か思い当たることがあったのか、お二人の表情が変わった。
「もしかしてあの益田君?行方不明になっている…」
岩男さんと幸恵さんの顔色が一気に悪くなった。
まぁ、幽霊でも見たような顔になって当然ですよね。
「はい、国道に出来た大穴に落ち、行方不明になっているという話は聞いています」
僕自身、穴に落ちたという認識はないのだ。
マイカーで国道のアンダーパスを通る際に不可思議な現象に巻き込まれ、気が付いたら王城の目の前にいただけですので。
ひとまず僕がいる世界について説明をすることに。
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「4500光年離れた星、それも異なる文明を持つ知的生命体が…」
距離に関しては今のところ推測に過ぎない。重要なのは同じ時間軸上に存在する別の惑星にいるという事。
ちなみに薫先生のお父様は大学で教鞭を振るっていたようで、今は定年退職して非常勤講師を務めていると。
なのでこの辺の話の理解は非常に早い。
まずは僕が生きていること自体が奇跡に近い事。そしてこの空間は一体なんだという話にも。
「精神境界面接合と呼ばれる方法を使い、超長距離の通信ラグをほぼゼロにする技術が用いられているとの事です」
薫先生が当選したDSOVRのVRカプセルにも同じ技術が使われていると説明するとお二人とも非常に驚いていた。
「いくらVR技術が進歩したとはいえ、五感を完全に置換するなど半信半疑でしたが…」
前もって温泉ホテルのインスタンスに触れてもらい、ただ覗き見るだけのVRではなく、実体験として五感を刺激するシステムに慣れるのに数時間を要したとの事。
岩男さんはいつの間にか用意されていたお茶に手を伸ばし、のどを潤す。
今ちらっと干物精霊の姿が見えた気がしたけれどもしかして付いてきた?
「そちらのお嬢様は…」
「僕がお世話になっている国の王女、シルフィールさまです」
あまりの衝撃に姫さまのことなど眼中になかったのか、ようやく二人の意識に姫さまが認識されたようだ。
「王女様…」
まぁ、こんな場に出てくるのはおかしいですよね。一国の王女様が。
僕の両親はこの事を知っているのかとも尋ねられたが、今のところ伝える術が無いと答える。
接続深度が課長並で多分僕がこんな形で地球側のインスタンスに赴いても認識すらされないのではという感じですが。
薫先生の苗字、谷崎とメモに残っていたのですが
違っていたら申し訳なく




