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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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伝説のサ・ブロ一族と勇者

「ロスミアさん、お体の方は大丈夫ですか?」


「はい、ちょっとふわっとした感じはありますが~」


問題なく温泉ホテルのインスタンスに入れたようだ。


接続深度(シアー)は7万に達し、徐々に増えている模様。


10万程度まで上昇すれば境界の地でも問題なく過ごせると思うのですが。


「ここはどこなんでしょう~」


「ちょっと説明が難しいのですが、人為的に作り出された仮想世界ですね。そこに意識だけが飛ばされている状態です。念の為に一度ログアウト…接続を切ってみますか?」


初回ログインで安定した接続深度(シアー)を確認できたので一度ログアウトして細かい説明をしようと思う。


ロスミアさんをまずログアウトさせ、自分はファンタジー世界側に残してきた仮初の体へと移動。


一瞬視界が暗転してロスミアさんのお店…の奥にあるバックヤードへと戻ってきた。


目の前にはひじ掛けの付いた椅子に座り、ゴーグルをしたままのロスミアさんの姿が。


本来ならばベッドなどに横たわってダイブしてもらったほうが良かったのですが、来客があった際にすぐ対応したいという話でしたので。


ちなみに買取所には作業補助と警護役をするアヒルちゃんコンシェルジュを2体投入しており、魔泉の買い取りや消耗品の販売と言った軽作業はこなせるようになっている。


レジ操作が必要な商品の補充などはロスミアさんがやらないとなりませんが。


幸い、僕達がダイブ中に来客は無かったという話をアヒルちゃんから聞いた。


アヒルちゃんたち、何故か僕に対しては「ぐえ」「ぐわ」としか喋らないのですがそれで意味が分かってしまうというのも何と言いますか。


ロスミアさん、ハルミルさん、一般のお客さんには普通に接しているのに。


「夜寝る前にゴーグルをつけていただければこちらからお呼びいたしますので」


この手のアイテムがこちらの世界にも存在していれば説明が早かったのだが、どういうわけかレジに掲載された商品を検索してもVRシステムといった項目が存在しない。


暗視ゴーグルの類は出てくるのですけれど。


探し方が悪いのかもしれないので時間がある時に商品検索をしようと思いますが、数千億という途方もないアイテム数が登録されているにも関わらず、検索システムがチープという。


せめて商品カテゴリだけでも分かればと思ったのですが、それすらも無いんですよね。


このレジを開発した部署に仕様変更を求めたいところですが、こちらから何かしらの情報を発信すれば星間連合(ユニオン)にこの星の事がバレる恐れがあるので。


お魚婦人によれば星間連合からは人の住める星はいまのところ存在しないという見解が出ていると聞いていますので。


文明が栄えた場所はすべて星喰いによって滅亡させられ、大気すらない灰色の星が浮かぶだけというありさまだと。


それらの星を再び居住可能な星にする試みもあったようだが、星喰いを招きかねないとして自粛されていたようで。


あの忌まわしき星喰い亡き今、各地でテラフォーミングの気運が高まっている様子。


やはりステーション住まいよりも大地に根を張って生きたいという願望があるようで。


ちなみにレジの使用に関しては何らログを取られている様子もなく。


売上の日次報告や魔泉の買い取り通知などは単にシステムが処理しているだけで、人が介在している様子は無い。


このレジ端末が星間連合(ユニオン)の中にどれだけ存在するのかは謎ですが、それこそ星の数ほどある端末の1台がおかしな動きをしていても気が付かないだろう。


気になっているのは農機具などの購入をかなりの頻度で行っており、普通のステーションで売れるモノじゃないよなぁ…とは思っているのですが。


ロスミアさんにVRゴーグルとすまほーちゃんを渡し、簡単な説明をしてから買取所を後にする。


すまほーちゃんは境界の地に来てもらった時に姫さまが説明するだろうし。


---


「ハルミルさん、ちょっとお時間いただけますか?」


森の中で畑の世話をしていたハルミルさんを見つけ、話が出来ないか尋ねることに。


「丁度今日の作業が終わりましたので大丈夫ですよ」


まだ日は高いが村まではちょっと距離があるので本日はもう上がるという。


リアカーに農機具を積み込み、村へ向けて移動を。


アヒルちゃんたちもぞろぞろとついてくる。今日は5体がお供を。


日によって10体くらいまで増えるんですよね。


「あれ?村の人たちは?」


「別の場所で作業を。私はアヒルさま達と一緒にこの場所を任されましたので」


ぶっとい森の木が切り倒され、農地と呼べるのかはわからないが耕された土地が大体50m四方くらいには広がっている。


ちなみに森の木はアヒルちゃんでなければ倒せないだろう。幹のまわりが20mを超えるような大木がにょきにょき生えてますし。


何故ハルミルさんだけここに割り当てられたのか。またあの村長が関わっているのかと思うと…。


「ハルミルさんにお渡ししたいものがありまして。ロスミアさんにはお渡し済みなんですが」


村に帰るまでの道中、VRゴーグルとすまほーちゃんについて簡単に説明を。


歩きながらでは詳しい説明が出来ないのでハルミルさんのお住まいにお邪魔することにした。


アヒルちゃんたちは今から劣獣湧きポイントへ見回りに行くという。


---


「狭いところで申し訳ありませんが…」


村はずれの小さな平屋がハルミルさんに割り当てられた家だった。


他の家の半分くらいの大きさで、一人住まいならなんとかという感じ。


深緑の慈悲を纏ったままでは床を踏み抜きそうなのでパージすることに。


「サブローさま、そのお姿は…」


「これが本来の僕の姿です」


いつものアロハとジーンズといういで立ちとなった僕。


姫さまからは外の世界に出る際は深緑の慈悲を決して脱がないよう釘をさされていますが、劣獣の気配もないしあれなら素手でもなんとか倒せそうなので大丈夫だろう。


「言い伝えにあるサ・ブロ族にそっくりです!」


サ・ブロ族?ファンタジー世界にもサブローが幅を利かせているのか!


その昔、全員が黒目黒髪、失われた秘伝を操る不思議な一族が住む村があり、劣獣を狩るためにあちこちへ人を送り込んでいたと。


その名残が今の狩人のしくみらしい。


また一つ、ファンタジー世界の謎が増えたところでハルミルさんにVRゴーグルの説明をすることに。

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