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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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メインブリッジの再起動に立ち会う勇者

「ここがメインブリッジのようですね」


縦横3メートルほどの扉を潜った先にこの形の船にしては珍しく物理的な窓が3方向についたいかにもブリッジという感じの縦横が50メートルほど、高さ20メートルあまりの部屋に到着。


物理的な窓はシャッターが降ろされ外を直接見ることは出来ない状態となっている。


部屋はひな壇のようになっており、今入ってきた場所がもっとも高い場所となり、おそらくキャプテンシートと思われる場所がすぐそばに。


モニタの類は沈黙しているが計器類の一部には火が入っており、船の何かしらは生きている状態と思われる。


ふと、キャプテンシートを見るといかにも触ってくださいという感じのスイッチが明滅しており、タマヨさまに断ってからそれに触れると一瞬船体が振動。


『アドミニストレータ―権限を確認。メインブリッジの再起動を実施。補助パワー1番から12番まで順次起動。船内凍結セクションの解凍指示発令』


女性の声。それも音声合成感の強いものがブリッジに響く。


ずごごごごご…という感じの揺れが徐々に大きくなり、それまで薄暗かったブリッジの各所に配置されたモニタが次々に点灯。


『本船は12クロックにて完全解凍され、各種セルフチェックの後星海への復帰が可能です。メインブリッジ再起動まで1クロックの予定』


キャプテンシートの前にあるモニタには各セクションの状況が表示され、それぞれ解凍まで12クロックと示されている。


通常のクロックだと12クロックで大体1日くらいか。


今日は下見のつもりが船を起こしてしまうとは。まぁ、いつもの事なのですが。


聞き間違いでなければたった1日で星海に出られるというのだから驚きだ。


この船をここに遺したいつの時代のサブロニア人かは分からないが、そうとうなせっかちさんだったとおもわれる。


普通、船のメンテといえば半年ほどを掛けて行うものだという認識があるのですが。


もしかするとこの船は何かしらの危機が迫った際の緊急脱出用として準備されていた可能性もある。


あくまで推測ですけれど。


ブリッジからはそれきり声は聞こえなくなり、船体の揺れは割と落ち着いてきた。


今は低く唸るような地響きっぽい振動がする程度で最初のうちはうろたえていたサブロニアのみなさんがようやく周囲の様子を気に出来る程度には復活した。


「サブロー様、これはいったい…」


「予期せず船を起こしてしまったようで。危険は無いと思われますが」


変化はそれだけにとどまらなかった。


船内に満たされている不活性ガスが抜き取られているようで、気圧がものすごい勢いで低下。


皆さんスペーススーツ着用なので問題ないと思うがちょっと不安になったのでキャプテンシートに座って状況を確認することに。


「船体保存パッケージの解凍中?」


船の外に満たされている不活性ガスも置換が始まったようでキャプテンシートの前にあるモニタに表示された船外気圧が低下中だ。


いったい何処へ吸い出されているのか?大気中へそのまま拡散する事は無いと思われるのですが。


「どこかに船体と通信するようなしくみは…」


キャプテンシートには何故か電話機のようなものが生えており、受話器を取って話しかけてみることに。


『アドミニストレータ―。現在は船体コンピュータが再起動中の為限定的な回答のみ可能となっています。ご質問をどうぞ』


「船内と船外に満たされているガスはどこへ?大気中へ放出を?」


『マテリアル保護ガスですね。ガスは再利用するため専用タンクにて保管いたします。全てのガスが回収された時点でこの星にある大気をろ過した上で充填いたします』


インベントリに入れようと思っていたガスはちゃんと保存されるようでよかった。


これだけの容積のガスを大気中にまき散らしたら大惨事になるだろうし。


船内はほぼ真空に。船の外もかなり気圧が低くなってきた。


『船内のマテリアル保護ガス回収完了。呼吸可能な気体に置換いたします。半クロックほどで作業完了の予定』


ちなみに現在船内は真空に近いのでタマヨさんたちと直接話は出来ず、ヘルメットに付いた通信機を使っている。


真空中だと音が全く響かないので独特の感覚が襲ってくるんですよね。自分の心音がやけにうるさく感じるとか。この仮初の体、ちゃんと内臓が備わっているのが凄いんですが。


ごく一部、現場にほとんど出たことのない方々が焦りまくっているようですが。


サブロニアの昇進システムは現場からのたたき上げでは無く官僚とかが幅を利かせているのだろうか。


上層部が現場を知らないというのはちょっとどうかと思いますけれど。


『船内気圧上昇。呼吸可能になるまであと0.1クロック』


すこし不安が残るのでスペーススーツはしばらく着たままにしていただこうかと。


---


船内の空気は完全に入れ替わり、ヘルメットなしでも大丈夫になったが全員スペーススーツ着用のまま。


船外の空気の入替が終わっておらず、これが終わらないとどのみち外へは出られないのですが。


一応エアロックはあるのですが30人全員を収容できるほどの広さが無く、何度かにわけて外に出るより一度に出たいという話になりましたので。


「タマヨさま、メインブリッジが再起動したようです」


正面にある大型モニタにREBOOTの文字が表示され、プログレスバーが左右に伸びていく。


それと同時に今まで閉じていた船のシャッターが巻き上げられ、壁の3方向に設けられた巨大な窓から外が見える状態に。


やや曇っていた窓は一瞬で洗浄され、視界がクリアとなる。


ブリッジから前方を見るとはるか彼方に船首らしきものがぼんやりと見える。


このブリッジは船体の中央よりやや後ろに配置されているようで、先端までは700メートルほどあるのか。


たった今は外は真空に近い状態で、おそらく気体に含まれた水分が霧となっているのだろう。


その霧すらも多分ポンプで吸い出されて徐々に視界がひらけてきていますけれど。


『はじめましてアドミニストレータ―。当船は保管状態となる前にデータを完全初期化されております。まずはアドミニストレータ―の個人情報を入力してください』


これは星美と似たような状況か?

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