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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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船に残された初代キャプテンの情報と勇者

『個人情報を入力してください』


翻訳がバグっているのかもしれないが、多分生体認証を求められていると思う。


この船に何人の管理者を設定できるのか分からないのでタマヨさまを登録したほうが良いと思い、ちょっと惚けているタマヨさまに声を掛けた。


「船そのものに管理者を登録するように催促されているのですが、タマヨさまを登録したほうが良いと思うのですが」


「…サブローさまに。この船のしくみなど全く分からぬ者より理解が出来る者が適任であろう」


深緑の慈悲のアシストがあれば大抵の管理コンソールは突破できる。


タマヨさまにそれを求めるのはちょっと難しいと言いますか。


「分かりました。複数人登録できるようでしたらタマヨさまを次に登録しようとおもいます」


キャプテンシートへ座り直し、例によってコンソールから生えてきたケーブルを深緑の慈悲の左腕にあるコネクタに接続。


『サブローを本船のキャプテンとして登録。生体認証…完了。キャプテンサブロー次の指示を』


「副管理者の設定は可能か?」


『3名までの登録が可能です』


「ではここにいるタマヨ・サブロニアの登録を」


『生体認証が必要です。ナーバルスーツの登録情報、あるいはコンソールのセンサー部分に生身で触れていただく必要があります』


タマヨさまは何のためらいもなくスペーススーツのヘルメットを外し、スーツのジッパーをおろしてから上半身を抜き取る。


このスペーススーツ、ツナギのような構造をしており、上下が一体化しているのだ。


一人で着脱できるよう工夫されており、両足をスーツに押し込んでからフロントジッパーを首元まで引き上げ、ヘルメットは首のところにある留め金に自動ロックされる。


焦ったのはお付きの方々だ。


先ほどまで呼吸可能な気体が存在していなかった船内でいきなりスーツを脱いだタマヨさまを制止しようと数名が動いたが時すでにおすし。いや遅し。


タマヨさまだけがスーツを脱ぐのはどうかと思い、僕もヘルメットを後ろに跳ね上げて顔だけ露出させると意外なところから反応があった。


『キャプテンサブロー。初代キャプテンと瓜二つなのはどうしてですか?』


船体のデータベースを初期化され、最低限の学習データしか持ち合わせていない船体コンピューターから妙なセリフが。


「その初代キャプテンとは?」


『本船の就航時に立ち会ったクルーの一人、何故か彼のデータだけは残っていました』


ブリッジの真ん中にある大型ディスプレイに表示された黒目黒髪の人物。


僕をあと20年ほど老けさせたらこうなるのではといった感じの白髪混じりの人物の横顔が。


「サブロー様…。やはりこの星の成り立ちに関りのあるサブロニア一族の末裔…」


タマヨさまがディスプレイの人物と僕を見比べそんなことを。


いや、全然記憶にないですし。そもそもディスプレイの人は50過ぎの方にしか見えないですが。


サブロニアが今のサブロニアとして制定されてから数千年の歴史があるという。


その前にこの星へと入植した際、大掛かりなテラフォーミングが行われた。


作業を請け負ったのがサブロー一族と呼ばれる黒目黒髪の技術者集団。


彼らの働きにより荒れていた星の環境は瞬く間に人の住める安定した物となり、移民船団でコールドスリープしていた一団は予定よりも千年ほど早く新たな大地に根を張れたと。


ここに入植したのは他でもない、星喰いの魔の手から逃れるため。


彼らは自分たちが生きた証を残すため、多くの船団を星海に送り出したという。


その船団の一つがたどり着いたのがこの惑星。


しかし星一つまるごと改装っていったいどんな技術を使ったのやら。


古い文献を漁ると惑星の自転速度まで制御したという内容も出て来るそうで。


元々は8クロックほどで自転していたものを12クロックまで減速させたというのだから驚きである。


大気組成にもかなり手が入っているようで、本来であればスーツなしには呼吸すら出来なかった星だったというのだが。


当時のいきさつがこの船に残っていればと思ったのですが、例によって全テータ削除という状態にあり、かろうじて船の建造時の初期学習データが残るだけと言った感じに。


そして謎の人物、サブロー。


というかサブローさんはどこにいっても歴史の転換期に顔を出されるんですよね。


星間連合ユニオンにもその名は深く刻まれ、ゲン担ぎをするハンター全員がサブローの名を受け継いでいるというのですから。


そのおかげで僕が星喰いを倒したことが広まっても何人いるか分からないサブローさんを片っ端から当たる羽目になったようで。ユニオンとしては宙ぶらりんとなった懸賞金の扱いをどうするか悩んでいるとお魚婦人からちょっと聞いた。


お金をもらったところでファンタジー世界側の生活改善くらいしか使い道が無く、万が一お金を使えばあの星の事が露見するのは目に見えているので。


残念ながらあちらに星喰いを倒したサブローさんはいらっしゃらないので、僕の素性はおそらくバレることは無いだろうと。


串焼きのショージローをもじって適当に付けたくしやきサブローのハンドルネーム、実はつけられるべくしてつけられた名前だったりして?


ひとまずタマヨさんを副管理者に設定したところで本日の調査をお開きにしようと思う。


お付きの人がスーツを着てください!と涙目になってタマヨさんに呼びかけるので、現場はやや混乱しましたが。


船の検証は完全解凍後に改めて行われることとなった。


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