空転するサブロニア議会に招かれる勇者
今の様子はサバンナさん達にも共有し、ふわもこ生命体に危険はないと伝えてある。
不思議なのが星美の初期データベースに他の管理AIに関する情報が一切なかった事。
これも例の星喰いに対抗するための隠蔽工作なのかと思ったりもしたのですが。
船を一か所でコントロールするのではなく、各セクションにAIを割当ててリスク分散をするための手段なのかなと。
星喰いの能力に関しては既に消失しているために予想しかできないのだが、エネルギーと共に情報を吸いつくし、他の文明との接点を見つけそこを攻撃するようプログラムされていた可能性がある。
ここまで徹底して情報を隠蔽しなければあれの脅威からは逃れられなかったのかも知れない。
本当に気の遠くなるような時間を掛けて破壊の限りを尽くしていた星喰い。
ちなみに吸い出されたエネルギーの行先は不明のままだ。
どこかに星喰いの拠点があり、そこにため込まれているか、もしくは吸収するだけが目的でエネルギーはそのまま捨てられていたのか。
分かっているのはあれはただ一体のみ存在していた点でそれだけは安心材料になるかと。
複数いたら互いを敵とみなし、共食いをしていたと思われるので。
行動原理は単純で高エネルギー体に反応し、相手のエネルギーが枯渇するまで吸い尽くすと聞いたことがある。
当時の技術者は何を思ってこんなものを作り出したのか、本当に謎だらけだ。
ちなみに先程の畜産管制AIにも星喰いが討伐されたことは伝わっていたようだが、特に反応は無かった気がする。
受取った情報の精査をしている途中でそこまでたどり着いていないのかもしれないですが。
大草原の調査は引き続きサバンナさん達にお願いをして、僕達は一度王都へ戻ることにした。
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「勇者さまはそちらでお休みください」
姫さま達のいるツクヨミ神社に顔を出すと、姫さまからそのまま社務所のソファを温める係に任命され、お茶とお茶請けが用意された。
両隣に接待係が座った。いつものようにシロさんとどりあーどさん。
膝の上には黒竜が居る。
「お兄さん、お茶をどうぞ!」
何故かはわからないがフィリーの入れる日本茶がとてもおいしい。
同じおちゃっぱを使っているのに彼女が急須で入れたお茶が非常に美味なのだ。
ソネッタさんも結構なお点前なのですが、彼女が入れたものよりおいしく感じるのは何故だろう。
お茶を飲みつつ社務所のモニタから境内を見守るという仕事なのかさぼりなのか分からない作業が始まった。
僕がここに座っている間にも周囲の状況は刻一刻と変わっていく。
本来であればサブロニアにも顔を出さないとならないが、例の巨大宇宙船の取扱いについて議会でちょっとした騒動が起きているらしく、今のところは僕が口を挟める余地はない。
既に捕まっている科学庁のトップは巨大宇宙船については全く知らなかったと全員口をそろえて供述しているようで、取り付く島もないらしい。
あんな簡単に出入りできるロッカー型の階段があるのに非常に不自然ではありますが。
もしかすると階段の存在には気づいていたが、照明をつけるための方法が見つからず調査をしていなかったか、それとも引き継ぎを行っていく中で漏れが生じたか。
あるいは本当にごく一部の人間しか存在を知らされておらず、何らかの理由で失伝したのか。
サブロニアの議会は次々に見つかる不祥事と未知の存在のせいで空転状態にあり、肝心の星海探査計画の遂行にも支障をきたしているようで。
タマヨさんには何としても場を納めてもらえればと思うのですが。
などと思っていたらサブロニアからメッセージが届いた。
時間の都合がつけばすぐに顔を出してほしいと。
今は超絶暇をしているので姫さまに断りを入れてサブロニアへ意識を飛ばすことに。
「ひざまくらは本来であれば禁止したいところですが特例として30分交代といたします」
姫さまが例によって抽選システムを起動。
シロさんが手ぐすね引いて膝をぺしぺし叩いていらっしゃるのでお言葉に甘えることに。
巫女装束でひざまくらとかとても良いものですね。
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リスポーンポイントとして設定した議場へと転移した僕。
転移とはいっても本当に自分自身が来ているのではなく、仮初の体を作ってそこに精神を移し替えているだけの状態。
徐々に視界と聴覚が戻ってくるとざわざわと騒がしい議場の様子が見えてきた。
「サブロー様!」
議長席にいたタマヨさまから声を掛けられると議場内が突然静まり返った。
まぁ、異形の漆黒鎧が突然姿を現したら怖いでしょうし。
とりあえずヘルメットを跳ね上げて顔を晒しておく。
姫さまからはヘルメットも脱がないでとお願いされているが、仮初の体なので大丈夫だろう。
「タマヨ様、何か問題でも?」
「例の大型宇宙船調査の指揮を誰が取るかで揉めておってな…出来ればサブロー様に先陣を切っていただければと」
下に降りる階段を見つけたのはタマヨさまを守る兵士の一人だったが、実際に降りたのは僕だったということで。
「それに関しては異存はありませんが、他の方は納得していただけるのでしょうか?」
何やらもの言いたげな雰囲気が漂う中、そう切り出したのだが。
「祖先の遺した船を外部の人間に任せるのは…」とお偉いさんと思われる人からそのような言葉が漏れた。
どこのセクションの人だろう。




