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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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ぽーしょん作りの難しさを改めて認識する勇者

「預言書の勇者様、この話一度ギルド内で検討させていただきたく」


商業ギルド長は今すぐにでも導入をしたいが薬の調合を依頼している薬師に相談してから決めたいと。


「ぽーしょんを作るにあたり、煙と匂いの問題はどうしても避けられない。ぽーしょんを煮詰める場所はどうしても人里離れた山あいとなり、人手の問題や輸送のための費用も割高となる。この小屋ならば街中にあっても何の問題もない」


トメばぁが窯を熱するのにたいまつの木を燃やし、黒煙の中をてぬぐい一枚顔に巻いただけで作業をしているのを見て熱源の対策、そして独特の藁を煮詰めたようなにおいがまき散らされないよう集塵と消臭には万全の備えをしてある。


「冒険者が消費するぽーしょんは薬師がその身を削って作り出す命の水。冒険者からは価格を下げるようにと再三言われ続けているが、元となる薬草がいくら無尽蔵に取れようと加工が難しいということを理解しないのだ」


ぽーしょんの元となる万能ねぎ似た植物はすこし日当たりの良い場所ならいくらでも生えてくる。


一帯を丸坊主にしようが3日も立てば元通りに生えそろうという脅威の生命力。


これを煎じて分離した液体が体力や魔力を回復させる緑のぽーしょんになり、沈殿物はすりつぶして丸薬に加工して胃腸薬となる。


これを刈り取るのも冒険者の仕事の一つであり、駆け出しは通過儀礼の一つとして森に入るのだ。


ちなみに草刈りだけ続けても十分に暮らしていけるだけの収入を得られるよう買い取り価格が調整されている。


おまけにギルド貢献度稼ぎにも使えるようお膳立てされているのだが、最近は薬草の納品が減少傾向にあるという。


これは僕のせいでもある。


南の平原迷宮という初心者向けの管理迷宮が出来たことで草刈り要員がそちらに流れ、ぽーしょんの製造をかろうじて維持できる程度しか薬草が納品されないのだとか。


おまけに今は宝箱フィーバーの真っ最中でさらに納品が減っているという。


このままだと薬師に仕事が依頼できず、彼女達が転職する恐れもあると。


身を削って働くよりも多少賃金が安くても安全で快適な仕事場に流れるのは止められない。


この薬草小屋があれば離職者を引き留める材料にもなるだろうという話だが、今までの作業環境から突然新しい技術に乗換えろというのも問題があると。


「でしたら一度この小屋を試してもらって使い勝手などを聞くのも良さそうですね」


商業ギルドでも検証したいというので薬草小屋はそのまま預けることに。


扉は生体認証で開くようにし、ひとまずギルド長を追加しておいた。


内部の細かい説明は薬師を集めてから改めて行う事に。


日程が決まり次第屋敷に連絡をいただけると。


ちなみにぽーしょん作りが出来るのは女性だけらしいです。長年の伝統なのか、それともあの異臭がたちこめる黒煙だらけの空間に耐えられるのが女性だけなのかは謎ですが。


---


「「ますたー、あたためちゃんかんせいなの」です」


何のひねりもないネーミングの電子レンジの試作品が完成した。


ターンテーブル無しのごく普通の業務用電子レンジをモデルとしており、魔帯石製なので庫内は見えないがその他はコンビニレンジそのままとなっている。


某S社製がベンチマークされ、温め時間の書かれたボタンが上部にならぶシンプル設計。


試しに冷たくなった大きなおいもさんを皿に乗せて庫内に入れ、1分ほど温めて取り出す。


揚げたてとまでは行かないがほくほくと湯気の出るおいもさんが出現。


ちなみに電源は地下のサブリアクターから取っている。


いつぞやスロットマシンなどを動かすために作ったポータブル電源にも対応しているとの事で野外でも使える親切設計。


もしかして火を起こせないような大雨の日でも温かいものが食べられる野外調理にも使えるのではと適当な事を思ってみたり。


「勇者さま。これは大変便利なものです!おかあさまに報告いたします!」


これ、社長にも報告しておいた方が良いかな。


電子レンジを試作しましたとおいもさんも一緒に撮影してメッセージを飛ばしておこう。


姫さまはこだわりのアングルでブツ撮りをして、目にもとまらぬフリック入力でなにやら説明を書き添えてからオパール王妃にメッセージを送ったようだ。


ちなみにあたためたおいもさんはいつの間にか消えていました。


誰だと思ったらおなかがぽっこりしたナビゲーションピクシーさんが空中を漂っておりまして。


どう考えても体の大きさと食べた量が釣り合わないんですよね。胃袋が亜空間なんでしょうか。


---


『また益田が妙な事を…』と社長から電話がかかってきた。


むしろ今まで何故作らなかったのか不明なのですが。忙しすぎて気が回らなかったんですかね。


ほどなくオパール王妃がお付きの隠密メイドさん数名と共にお屋敷に姿を見せ、早速あたためちゃんの視察が始まった。


「エイトさま、これは食べ物を食べごろに温める魔導具という認識で間違いないでしょうか?」


余分に買ってきたおいもさんをサンプルにほくほくにあたたまる所を見ていただいた。


「はい。食べ物に限らず、飲み物も温められるのですが…」


やろうと思えば料理にも使えるが今回はあたためなおしに特化した作りとなっている。


今まで食べ物をあたためるには煮直すか、焼き直すかくらいしか方法は無く、間違いなく味は落ちる。汁物は煮詰まり、肉は固くなり。


例外は二日目のシチューくらいだが、あれはそのままやると雑菌の温床になるのでやめた方がよい。


こちらの世界には浄化の魔導具があるのでその辺は大丈夫なのだが。


菌も魔獣として分類されるようで…。


「サブロー、もしかして熱燗もいけるのかにゃ?」とシロさんが熱い視線を送ってくる。


どうしてそちらに流れるのでしょう。そういえば熱燗なんてボタンもありますよね。


これ双子が付けたんだろうか?

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