天界総業からの使者と勇者
今から天界総業のブラウンさんがお見えになられると聞き、急ぎ派遣メイドさんを下げていただくことに。
このお屋敷といろいろな別世界が繋がっていることは一部の人間を除いて極秘事項とされている。
マイアさんについてはお屋敷の使用人通路に精霊国との扉があり、半ば公然の秘密のように扱われている。
一応あそこが彼女の自室だとは周知しているのですがどうして使用人通路に部屋があるのかという回答になっておらず…。
後はお魚婦人のいる世界につながるドア、そしてこの前新しく増えた天界への扉。
天界への扉は金色に光り輝き、隠す気など毛頭ない感じでそびえているため、普段は暗幕を掛けてお茶を濁しているのですがそれでも光が漏れているので派遣メイドさん達から何かありそうだなと思われている様子。
本日の派遣メイドさんの業務はこれにて終了となり、夕飯はセントラルキッチンから運ばれてくるカートを受け取ってうちのメンバーと隠密メイドさんで配膳することに。
その辺はいつものことですし、うちの子たちも働きたいというので問題は無いのですが。
エリクサーを飲ませた天使に話を戻す。
手足の枷の後はきれいに治り、他にもちょっとした擦り傷があったがこれも消えている。
そういえばエリクサーを飲ませて大丈夫だったのかと今更ながらに思ったのですが副作用等は出ていない様子なので。
エリクサーの劣化版、神水に似た成分の水は天界でも手に入り、監視している世界にあらゆる病を治す妙薬としてごく少量渡していると聞いたような記憶がある。
なので上位互換であるエリクサーについてはそんなに心配はしていなかったのですが。
ちなみに南の平原に行ってから今までの様子はすべてブロードキャストされており、地球を含め、こちらの国の王族もご覧になられている様子。
今回は内容が内容ゆえにアーカイブの視聴制限を付けさせていただこうかと考えているのですが。
特に牛頭の付いた魔獣のようなアレについては正体が判明するまで秘匿することに。
どうみてもこちらの世界の魔獣とは違いましたし。
マッスルキングさんが苦戦するとはいったいどれだけの強さだったのか。
僕は深緑の慈悲のチートで対応したので。メガトンパンチどころかペタトンくらいは出ますし。
急に弱そうな感じになりますが、ペタトンパンチ。
そんなことを考えていたら、天界に通じるドアの呼び鈴が鳴らされた。
鍵は僕が持っており、あちから開けることはできない。
一応ドアを付けるときの決まり事として天界からはいかなる理由があっても許可なしにこちらの世界へ立ち入らないと。
一応管轄外の世界ということで。
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ドアを開けると先日お会いしたブラウンさん、そして数名の天使が現れた。
まずは保護した天使を見ていただくことに。
「まちがいありません。天界総業の社員です。よろしければどちらで保護していただいたかをお聞かせいただければ」
天使の階級は不明だが、一応社員扱いなんですね。
僕は南の平原迷宮に現れた次元の亀裂とその先にいた牛頭の魔獣?魔人?、そして謎の枷につながれていた天使について説明を。
「この天使は混沌世界と呼ばれる未踏区域の偵察に出していたのですが、まさか捕まっていたとは」
この前来た一級天使の潜在能力はおそらくマッスルキングさんと同等、あるいはそれよりも上と思われた。
後からきたホワイトさん。たしか統括部長だったか。
あの人は正直何者なのか分からない。底が全く見えなかった。
強い事は分かるが、それがどの程度なのか隠蔽しているのが分かる程度で多分僕が全力で立ち向かっても触れる事すら許されないだろう。
ちなみに今目の前にいるブラウンさんも相当の使い手と思われるが、どうも事務職がメインのようで直接戦闘力はそれほどでも無さそうな気がする。
同行している天使たちはこの前の一級天使よりややパワーダウンといった感じか。
多分この天使を運ぶために呼ばれたのだろう。
「詳しいお話は後程。弊社ホワイトを同席させてお伺いすることにします」
とりあえず簡単な治療を済ませた件、彼女を拘束していた枷の事も合わせて伝えておく。
エリクサーは何本か提供することに。今回の枷の後遺症、神水では対応が難しかったかもしれない。
もう治してしまったので検証のしようもないのですけれど。
いつ用意されたのかは謎だがストレッチャーのようなものに載せられた天使を連れ、天界総業の方々は金色のドアの向こうへと消えていった。
「勇者さま、先にお夕食にいたしますか?」
あの様子だとホワイトさんが来るのは何かしらの処理をした後になると思われる。
ばたばたしていて気付かなかったが既に日が暮れ、お夕食を頂く時間となっていた。
セントラルキッチンからは既に料理が運ばれて時間停滞庫に収容されているという話だったので手分けをして配膳することに。
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本日は鳥が中心のメニューとなった。
何故かはわからないが鳥はあまり出ないんですよね。
くろっくばーどと呼ばれるダチョウサイズの魔獣を倒すとドロップする無菌パックのお肉を使っているとの事で、そもそも野生のくろっくばーどはライスリッチフィールド周辺にあまり生息していないらしいというのも理由かもしれない。
スクランブルエッグなどに使う鶏卵は人の手で飼われている半魔獣のくろっくばーどが生んでおり、お肉にすることはあまりないそうで。
例によってお肉の量は半端ない。鉄板の上にふともも1本まるごとといった感じだろうか。
無菌パックになる際に骨などは除去され、食べやすい形で出るのだとか。
くろっくばーどは一度倒しに行きたいなとは思っているのですけれど。




