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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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巨大闘技場での激しい戦いと勇者

「あれ?何か聞こえる?」


金色の大きなドアの向こうから何か重いものをぶつけ合うような鈍い音が絶え間なく聞こえる。


聞こえるというより、ドアそのものが揺れているような。


ドアの取っ手らしきものに手を触れると、ぎしぎしと音を立ててスライドする。


ドアの向こうはとてつもなく広い空間で天井までは数十メートルほど。


部屋は直径200メートルほどの円形で天井からぶらさがった多数の照明器具?いや篝火か?


赤く燃える火によって照らし出されたまるで闘技場のような場所に音の発生源が存在した。


丁度闘技場の中央付近にいるのは牛の頭を付けた浅黒い二足歩行のモンスター。


身の丈は5mほどあり、全身が筋肉の塊にも見える。


ミノタウロスか?ライスリッチフィールドには存在しない牛魔人。


片手に持ったこん棒というには太すぎる物体を振り回し、目の前にいる人物に叩きつける。


その牛魔人の前にいるのはどうみてもマッスルキングさん。


迫りくるこん棒の一撃をだんびらで叩き落し、牛魔人に攻撃を加えるがことごとく弾き返されている様子。


だんびらとこん棒が打ち合わされるたびに衝撃波が発生し、闘技場全体を揺らす。


今声をかけるのは危険と判断。


そもそも何故戦っているのかが全く分からない。


マッスルキングさんのはるか後ろ。闘技場の壁に目を向けると一人の人物が磔にされているのが見えた。


深緑の慈悲のバイザーでズームすると10代くらいの少女だろうか。両手両足に鎖を巻かれ、壁に吊り下げられているのだ。


位置関係からすると、マッスルキングさんが少女を守るために牛魔人と戦っているようにも見えるのだが。


あそこに介入するとなると引っ張ってきたケーブルが邪魔になるな…。


ここまで飛ばしたドローンは部屋の外で待機させ、何か変わったことが無いか確認させている。


予備のドローンを1つ取り出し、回線を接続し直す。


まずはあの牛魔人を止めないと。


---


「ふん!」


深緑の慈悲のパワーアシストを使い、横から牛魔人のこん棒を押さえつける。


「婿殿!」


「マッスルキングさん、お帰りが遅いのでお迎えに上がりました。一体どういう状況なのですか?」


牛魔人が暴れようとするのでみぞおちに一発いいのを喰らわせる。


「ぶもっ!」


どこかのライダーではないが深緑の慈悲のパンチは航宙戦艦の装甲すらぶち抜くことが可能。


うっかり倒さないよう十分に力加減をしたうえでのパンチは都合よく牛魔人を昏倒させた。


ようやく静かになった闘技場。


気絶してひくひくする牛魔人をまずは縛り上げ、身動きが取れないようにする。


「婿殿、助かりました。これほど手強い魔獣は見たことが無く」


マッスルキングさんが何故ここにいて、牛魔人と戦っていたのかを聞くことに。


---


「迷宮罠ですか…」


「初級の迷宮と侮り、うっかり罠を踏み抜いてしまったようで」


「そもそも罠を仕掛けた覚えもないのですが…」


南の平原迷宮は姫さまと僕が作った人造迷宮だ。


ある程度の制御は可能で、出てくる魔獣の難易度調整等はMPTモンスタープラントツリーに学習させ、オートマチックに行われる。


この迷宮にも罠を仕掛けようと思えば可能だが、そもそもが迷宮の順路が変わるという極悪仕様の為、新たに罠を設定するのは避けていた。


「婿殿がつくった罠ではないと?」


「その罠ですが、夕べの大雨で迷宮の一部が壊れていたようで」


大雨によって壁の一部が壊れたと思われるが、何故この空間につながっているのかは不明だ。


そもそもここは何処なんだ?という感じで。


「見たところ、結界の外にある古代迷宮のようにも見えますが…」とマッスルキングさんが。


確かに魔素濃度の高さは一般迷宮とは比較にならないほど濃いよな。


そう言えば何か忘れているような。


「マッスルキングさん、後ろの壁にいる少女は?」


「私がこの部屋に入った時には既にあの状態で…部屋に入るとこの魔獣がどこからともなく現れ襲い掛かってきたので応戦を」


この部屋に入ることで発動する罠のようなものなのか?


「見たところ普通の人族のようにも…ちょっと違うようですね」


よく見れば背中から白い翼を生やし、頭には幾何学模様のヘイローが見える。


「天使族ですかね…どうしてこんな場所に?」


牛魔人はその場に放置し、まずは磔になっている人物の救助をすることに。


---


「なんとも禍々しい枷ですね。こんなものをつけられたら普通の人だったら間違いなく…」


どす黒いオーラがにじみ出る枷を両手両足につけられ、少女はうめき声すら上げられない状態。


「インベントリに何か入っているかな…」


こういう時は存在Nが何かしら便利グッズを提供してくれるものだと信じている。


「万能キー?」


使い切りタイプの開錠グッズがダース単位で出てきた。


手枷と足枷に鍵を使うと、何事もなかったかのように外れた。


「なんかもう存在自体が禍々しい気が…調べるまでも無いか」


外した枷は深緑の慈悲で踏みつけ、二度と使えないよう砕いておく。


なんか悲鳴みたいなものが聞こえた気がしますが。


「マッスルキングさん、とりあえず外に出ましょう」


「婿殿、出口が分かるのですか?」


マッスルキングさんは入った場所が分からなくなり、何かに吸い寄せられるようにしてこの部屋へとやってきたという。


彼を誘導したのは一体誰なんだ?


「入口からワイヤーを引っ張ってきたので辿れば戻れると思いますが」


それにオートマッピングもしてあるので特に問題は無いと思われる。


ここの迷宮にも改変があれば別だが、外との通信はつながっているのでワイヤーは無事。つまり改変は起こっていない。


牛魔人は縛ったまま放置プレイをしてドローンに見張らせる。


急ぎアヒルちゃんATVを準備し、外へ向かうことに。

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