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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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行方不明のマッスルキングと勇者

「シロさん、夕食はキャンセルでいいですか?」


「もうしわけないにゃー。そうするにゃー」


とりあえずシロさんに水を飲ませ、寝室へと運び込んだ。


おせんたくの魔導はお屋敷に入る前ご自身でやっていただいている。


メイド服に染みついていたおさけくささが一気に消し飛んだような気が。


ご本人からはアルコールのにおいがぷんぷんしますが、女性にそのような指摘をすると刺されても文句が言えないのがこの世界なので黙っておく。


刺されるというのは比喩なのですが、まぁパンチの一発くらいは貰うのを覚悟せよという感じで。


リビングに戻ると何故かオパール王妃の姿が。何かあったのだろうか?


「エイトさま。うちの主人が迷宮から戻ってきておりません。魔導具での呼びかけにも返事が無く…」


南の平原迷宮は出てくる魔獣のランクも非常に低く、冒険者ランク伝説級レジェンダリーのマッスルキングさんが遭難するとは思えないのですが。


「コンピューター。南の平原迷宮内にいるマッスルキングさんを探して」


リビングのモニタに南の平原迷宮に設置してある固定カメラの映像が映し出され、マッスルキングさんの捜索が始まった。


1辺が4キロほどあるこの世界におそらく一つしかない地上暴露型迷宮。


作ったのは姫さまと僕。コーガの豆忍者が遊べるよう迷路型に草刈りをしていたら自然に生えてきた謎の迷宮だ。


ちなみに今まで遭難騒ぎが起きたことは無い。1ニールごとに順路が入れ替わる特殊な迷宮だがインデックス付きの地図を販売しており、道に迷う心配もない。


結界の外にある高難易度の古代遺跡に数えきれないほど潜っているマッスルキングさんが初心者向けの迷宮で迷子になることなどありえないのですが。


『迷宮内のスキャン終了、該当の人物の痕跡はありません』


もしかして外に出た後なのか?


「オパール王妃さま、南の平原迷宮の様子を見てきます。出坑手続きがされているかも確認を」


「どりあーどもいく」


「殿!拙者もお供いたします」


シロさんは酔いつぶれているので代わりにござる侍を連れていくことにした。


---


急ぎアヒルちゃんワンボックスを飛ばしてやってきた南の平原迷宮。


昨日の大雨による影響はほぼ無しと判断され、本日は通常営業中。


まだ水たまりが残る迷宮前広場には大勢の冒険者がたむろしていた。


「マッスルキングさんは…」


大柄な冒険者の中でも頭一つとびぬけた感じのマッスルキングさんを探すのは割と簡単だと思われたが、広場の中に彼を見つけることは出来なかった。


冒険者ギルドの入出坑窓口へ行き、マッスルキングさんが外に出たのかを確認することに。


本来は冒険者、それもB級以上ともなれば個人情報保護の為外部の人間に冒険者の動向を伝えることはNGなのだが一応一国の王が所在不明という事と僕はもう冒険者ギルドの一員みたいなものなのでこっそりと聞くことが出来た。


「出坑手続き前ですか…」


迷宮から外に出た冒険者は冒険者ギルドへ報告を行い、魔獣討伐数の記録と戦利品の提出を行う。


街へ戻る前であればいつ手続きをしても問題ないのだが、マッスルキングさんは外に出た気配すらないと。


たった今は迷宮内の定点カメラのログを探らせているところで、確かにマッスルキングさんは迷宮に入り、順調に魔獣を倒している様子が記録されていると。


だが、ある時点からマッスルキングさんの痕跡がぷっつりと途切れていると監視システムから連絡が入った。


あまりにも不自然な記録にシステムへのハッキングを疑ったりもしたのだが、そういった傾向は無かった。


そもそもが大海原を渡る民の遺した防護障壁ファイヤウォールを備えた高性能マシン。たとえ大教会であってもシステムへの侵入は不可能だろう。


ひとまずマッスルキングさんが消息を絶ったと思われる場所へ様子を見に行くことにした。


オパール王妃と姫さまにはこれから迷宮へ入ることを伝え、3人で入坑手続きを行う事に。


---


「このブロックで間違いなさそうだけど…」


マッスルキングさんが姿を消してから2ニール、4時間ほどが経っており迷宮改変が2回起きているので目的地へ到達するのに時間がかかった。


「監視システム。マッスルキングさんが最後に目撃された時の映像を出して」


深緑の慈悲のバイザーにマッスルキングさんの姿が映し出された。


巨大なだんびらを担いで移動中だった彼は1フレームの間に忽然と姿を消した。


「すこし巻き戻して」


カメラのログを見ると一瞬映像に乱れが生じている。


これは何かしらの魔力的な干渉があったようだが、残念ながらカメラには何が起こったのかまでは映し出されていない。


「なにか感じる…」


どりあーどさんが魔蔦を延ばし、迷宮の壁を探っていると僕に異変を伝えてきた。


「なんだろうこれ…」


肉眼で見るとなにかしら壁にゆらぎのようなものが…。


「みすかすえっくす起動!」


深緑の慈悲に備わった透視機能でその正体を探ると、壁に見えた部分に大きな亀裂が走っているのが確認できた。


ちょうど人がすり抜けられそうなその亀裂の向こうに広い空間らしきものが見える。


「夕べの大雨の影響で迷宮が壊れたんだろうか…」


やみくもに飛び込むのは危険と判断し、ドローンを取り出して先行させることにした。

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