キクヒメにビアサーバーの説明をする勇者
まずはおおえだちゃんのおうちを管理する干物精霊に連絡を取り、これから自動販売機の回収に向かうことを伝える。
すぐに村長さん宛に干物精霊が飛んでくれるという話だった。
村長さんに通信用魔導具をお渡ししようとしたのですが、このような古代遺物は恐れ多くて預かれないと言われ、仕方なく干物精霊に伝令を頼んでいるのですけれど。
本人たちは仕事が貰えたと言って喜んで飛んでいったようだ。20人ほど。
そんな大勢で押しかけたら村長さんが卒倒するのではと思ったのですが、刺激に飢えた干物精霊達を止めることは出来なかった。
行くたびに魔獣の出現疑惑を掛けられるのはもしかして干物精霊達が原因では?とも思ったが、基本的に精霊を縛るのは無理な話なので。
その辺は妖精族も似たような感じだと聞いたような気がする。
自販機の積み込みをカモフラージュするため、ビットレーラーで飛ぶことにした。
とても便利なインベントリの存在はごく一部にしか開示していない。
オリジナルのアヒルちゃんにもインベントリが備わっているが僕のインベントリは主にDSOVRで獲得した謎武器が大量に詰まっている。
いくつかの武器は使えそうな人にお譲りしているが、出した分だけ補充されるという謎仕様のため無くなる気配は無い。
おそらく存在Nが勝手に追加していると思われるのですが…DSOVRに顔を出さなくとも何故か増えているような気がして仕方ないです。既に300種類を越える武器類が。
そんな頻繁にあちらへ顔を出しているわけでは無いのでサイレント追加されているのだろうか。
記憶に新しいところではマシンガン付きの防弾紳士傘だろうか。あれは見た記憶が無かったので。
いつものように護衛のシロさん、どりあーどさんを伴ってハマトーメン村へと飛ぶことに。
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30分ほどで到着した海沿いにあるハマトーメン村。
さっそくおおえだちゃんのおうちに入ると本日は管理貴族の宿泊も無く、お子様達が自習室で勉強中のようでした。
そして周囲を干物精霊に囲まれた村長さんがお待ちに。
「本日はホテルの備品を取りに来ました」
先に伝えておいたので問題ないだろう。
「その…精霊様がとても興奮なされているのですが、魔獣の襲撃では…」
「道中はぬるすらいむをいくつか倒しただけで問題はありません」
倒したといっても通常の50センチサイズの太いミミズのようなタイプ。
初心冒険者でもぶん殴ればなんとかなるぎりぎりのサイズではありますが。
これ以上のサイズとなると魔導障壁を張り、通常の物理攻撃は一切利かなくなるのですけれど。
魔獣が出たといってもハマトーメン村からは相当離れた場所なので気にすることは無いと何度も伝えているのですが、村長さんの心配の種は尽きないらしい。
早速メイド寮に置くコンビニ自販機、そしてご注文の有った利き酒自販機とトルネードビアサーバーなどをサクサク取り出すことに。
おちょこの自販機も忘れてはいけない。このおちょこは使用後も分解されずに残るようだ。
自販機から取り出したお弁当は時間が来ると容器が自然消滅するのだが、おちょこの自販機は設定で切り替え可能なようで。
おちょこの柄はランダムとなっており、これを集めるのも楽しいかもしれない。
一応魔導結界内の5か国分、そしてレイヤーの異なる3か国へ配る分も合わせて出したのでロビーの一角が自販機まみれとなってしまった。
そんなことをしていれば当然のようにハマトーメン村のお子様達にロックオンされるわけで…こればかりは飲ませるわけにはいかず。
猫耳の女の子が僕によじ登ってきて何をしているのかと尋ねてくる始末。というか何でこの子はこんなにも懐いているのか本当に分からない。
ハマトーメン村で行われた結婚式のフラワーガールをやる際に僕がちょっと教えたときからこんな感じなのですが。
後から姫さまに匂いチェックでバレるのは確実なので先に申し開きをしておこう。
彼女達にはちょっと高級なお土産クッキー缶が買える自販機を出してそれでお茶を濁すことにした。
後から金額設定をして管理貴族の方々のお土産用にするつもりですが。村の人荷は無料で使える非接触カードをお渡しすることに。
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アヒルちゃん2足歩行フォークリフトによってお酒関連の自販機を積み込み終わり、後は各所に配るだけとなった。
まずはコーガの出先領地からですかね。最近はキクヒメさんとも会ってないですし。
豊漁はいまだ続いており、出漁は2日おきとなっているらしい。どこの生け簀も満杯で輸送するにしても加工するにしても手一杯だと。
キクヒメさん達は獲れすぎた魚が出来るだけ値崩れしないよう他の藩と帳簿上での魚種交換というレートコンバートを毎日のように繰り返しているのだとか。
このレートコンバートに欠かせないのがタングラート独自の通信装置、光の文となる。
原理はモールス信号に近いもので、入力したテキストが暗号化された上で光の点滅に置き換えられ、大体20キロごとに設置されたタワーによって順次中継をされるというもの。
弱点もあって濃霧の際は一時的に使えなくなるというのだが、人の足やはとぶさと呼ばれる伝書猛禽による通信よりも圧倒的に早く、大量の情報が送られる。
1通200文字くらいが1万リーンというが、この金額を出して利益が数百倍は変わってくるというのだから恐ろしい。
そんなことを考えている間にコーガの出先領地へと到着。
いつぞや破壊してしまった修練場にビットレーラーを降ろすことに。
あれ以来、ライジンさんは僕につっかかってくるのを完全に止めたようだ。
なんというか遊びに行くたびに絡んでくる親戚のおじさんみたいな雰囲気でしたが、ちょっと僕が手加減をミスって修練場に巨大なクレーターを作ってしまったので。
キクヒメさんからも禁止令が正式に出され、今はあいさつをかわす程度でしかない。
ライジンさんの剣の腕を純粋に学びたいとは思うのですが、その前のお遊びがいけなかったんですよね。
彼の孫であるござる侍から教わるというのもアリですが。
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「わがつがいよ。元気そうでなによりじゃ。例の物は?」
「今からお出ししますね」
ライジンさんは例によって留守らしい。また何処かのご婦人宅に入り浸っているのかもしれないが…。これもキクヒメさんから禁止令が出ているが本人は守ろうとはしない。
まぁ、ライジンさんがいなくて好都合だったかもしれない。
何しろ彼の大好物、お酒が絡む話なので。
出先領地の玄関先にある自販機の隣に利き酒の自販機セットとトルネードビアサーバーを設置。
動作権限はキクヒメさんのみ。
トルネードビアサーバーにはジョッキの自動洗浄装置もついており、内部には50個ほどのジョッキがストックされているので足りなくなることは無いだろう。
早速お試しとばかりにビールに口を付けるキクヒメさん。ジョッキに黄金色をしたビールが満たされる様子に目を奪わていた。何気に光りますし。
「なるほど。こちらの自販機で飲むものより辛口で口当たりもよい。どういうわけかのう」
僕にお酒の事を聞かれても謎なだけなので、多分加熱処理をしていないからでは?と適当に答えておいた。
ビアサーバーの中身は完全ブラックボックスで樽やガスボンベの交換も不要となっている。
それは利き酒の自販機も同じで、どこからお酒が湧いてくるのかは謎だ。
「ふむ。飲む順番を間違えたようじゃ。一度口をすすいでからもういちどためすとするかえ」
ビールの口では日本酒は飲めないらしい。僕には理解できないので何ともですが。
「じゅる…」とシロさんがわざとらしくつばを呑み込む。目が完全に虎なんですが。
まだ日が高いですし、僕の護衛なのでどうか夜まで待っていただきたく。
回る場所はいくつか残っていますし。




