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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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境界の地でのきき酒会と勇者

「益田、先程のきき酒自販機を早く」


「少しお待ちください。調べますので」


社長もけっこううわばみなんですよね。ヤマさんと同じくらいか。


ちなみに日本酒は専用の冷蔵ケースに多種多様な銘柄がストックしてあるが、きき酒をするにはちょっとばかり面倒である。


ケースの奥にある一升瓶を出すのに手前の瓶を移動させなければならないですし。


この辺がリアルすぎるVRなので仕方ないですが。


「5種類くらいヒットしましたので全部出しますか?」


日本酒ではないがいも焼酎の自販機も何気に入っている。


多分日本の北から南までを大体網羅しているのではという感じのラインナップで攻めていると思われるのですが。


こうして自販機コーナーに新たな刺客が追加されることになった。


僕は一切飲めないので特に感想などもないのですけれど。


境界の地の自販機はコインを投入しなくてもボタンを押すだけで商品が出るようになっている。


投入金額部分は大体「∞」マークが出ており、面倒な商品追加など無しで取り出せる。


この辺は装置内部のメカを再現するためのコストを削った結果だと思うのですが。


自販機の中身は見られないですし。


ちなみに試飲に使うおちょこの自販機も存在していた。


使ったおちょこは持ち帰れるようになっていると思われるのですが、僕自身はそういった試飲コーナーを利用したことが無いので何とも。


自販機を並べるとすぐに社長とヤマさん、そしてかもねぎコンビが群がった。


「ひなちゃんは我慢してね…」


それはもうひどい説教からみ酒になるので、境界の地での飲酒は自粛していただいている。


現実世界ではそれほど飲まないというのですが、こちらに来ると何かタガが外れたりするんでしょうか。


リキュール入りの洋菓子を口にしてひなちゃんと薫先生が大変なことになった事件はつい最近のような気もする。


境界の地の自販機で売られているお菓子は全てチェックを行い、アルコール入りの物は撤去をした。


ウイスキーボンボンなどもってのほかである。子供のころに知らずに食べてひっくり返りましたが…。


アルコールに弱いのはあの事件のせいなのかなと思っていますけれど。


「ひなちゃん。代わりにオレンジの生絞り自販機を出したのでよかったら」


目の前でオレンジを圧搾してカップに注いでくれる自販機を出すとそちらにも社長が。


「これでカシスオレンジを作れんか?」


社長がまた妙な事を…。そもそもカシスってあったかな?


なんというか残念な大人がたむろするスペースになってしまった。


これ、オパール王妃にも声を掛けたほうがいいのかな…。


ななや旅館で寛いでいる時間帯だと思うのですが。


後は派遣メイドさん達にも。成人前の人にはオレンジジュース一択ですが。


派遣メイドさんたちの城勤めは成人前から行われ、僕の傍付にも未成年の子が何人か顔を出す。


いつぞやトランクス一枚で対応したらシロさんにどやされたのですが。


なんというか僕って基本的にモノ扱いされるパターンが多くて新人にも同じように接したのですがそれがまずかったようで。


ちなみに僕の事が派遣メイドさんたちにどう伝わっているかは一切把握していない。


そもそもが預言書の勇者というイメージが勇者本シリーズと呼ばれる書籍で語られるのみであり、殆どの本で天涯孤独の世捨て人は言い過ぎかもしれないが、たった一人でこの世界に招かれた光の女神の代行として書かれている。


中でも異色なのが「お姫様だって異世界勇者とフォーリンラブ」シリーズ。


約25年前に1巻が発行され、外伝を含めると100巻以上の大作となっており、現在も執筆されている。


何故か勇者が世界を救ったアフターストーリーから始まり、どこか別の時空の現代日本で様々な恋愛がらみのトラブルに巻き込まれる謎ハーレムストーリー。


姫様視点で物語が進む。


うちの姫さまはその本の信者と言っても過言では無く、第一巻の初版本を胸ポケットに入れて持ち歩いており、まるで聖書のような扱いを。


通称ひめゆぶと呼ばれるこのシリーズは派遣メイドさん達の必読書にもなっているとか。


頻繁に行われる女子会でもひめゆぶの話題が必ず上がるそうで…僕はそもそも参加できないので概要すら知らないのですが。


話がそれた。


ひとまず全体チャットで新しく設置した自販機の写真を共有しておく。


こうしておけば誰かしら釣れると思うので。


「ポン酒にゃ!」


さっそく第一投でヒットした。釣れたのは妖怪猫娘とでも言おうか。


お酒のみの方々がお見えになられるというので僕は自販機コーナーで待機をすることに。


姫さま達も様子を見に来るという。


今日の境界の地でのお風呂はスキップでもいいかな。


---


「こちらでおちょこを買ってください。後はご自由に。ほどほどにお願いします」


口当たりの良い冷酒はいくらでも入ると父親から聞いたことがある。


新潟で出された冷酒をあおっていたら足を取られたという土産話なのか何なのか分からないがとにかく危険なものだという認識がある。


ちなみに何故新潟に行ったのかは聞いてない。何度も言うが両親の職業は未だ不明のまま。


おそらくは国に関わる重要なポストについているんだろうなくらいの認識。


ただ潜水艦には乗っていないかな?くらいの感じですが。


床屋に行ってくると家族に告げて半年戻らない人もいると何かで見たような気もする。


うちの場合、どんなに長くても1か月で帰ってきてましたし。


またしても話がそれた。


そんなわけでのんべい数人が集まってきき酒会が始まった。


姫さま達は生絞りオレンジジュースの自販機に並んでいる。みんな好奇心旺盛だよな。

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