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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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キクヒメから自販機を強請られる勇者

「預言書の勇者様、すこしよろしいでしょうか?」


ドローンの監視映像を一通り見終わり、大雨の後に必要そうな物資を見繕っているとデュアリスさんから声を掛けられた。


「はい。何でしょう?」


「申し訳ございません。せっかくお部屋をご用意していただいたのですが皆、ここで横になると…」


空港のラウンジにありそうなソファはパーソナルスペースを取りたいだろうと思い、多めに出している。


3人掛けを1人で占有できるくらいには。


見れば既にソファで眠りに付いている方が多数。


「僕は構いませんが、あそこで横になって体が休まるのですか?」


「普段は板張りのベッドで仮眠を取っておりますので、このように寝心地の良い場所があれば文句は無いと…」


坑道内での作業はかなり過酷で一度最深部に潜ったら3日は中に籠るのだとか。


内部には中継ステーションのような場所がいくつも作られ、そこで食事を取って眠るらしい。


湿気の多い環境なので綿入れのふとんなどは使うことも出来ず。


ちなみに消耗品を運ぶためだけの人員もいるそうで…。


ここで働いている人族の多くは見るからにドワーフという体形の方が殆ど。


一応人族に分類されるようだががっしりとした筋肉質で小柄な体格とひげもじゃの風体というのは小説などの創作物に出てくるドワーフそのもの。


ちなみに女性もひげもじゃである。


森の民のような分かりやすい種族名は無く、僕が勝手にドワーフと呼んでいるに過ぎない。


坑道で働く一般的な人族はそれほど多くない。


以前は借金奴隷として大勢の村人が騙されて働かされていたのだが、今は殆どが元の村へと戻っている。


解放されたにも関わらず、ここに残って仕事をしている人もいるのですが。


もしかするとエリオ村近くの廃村で暮らしている方々と事情が似ているのかもしれない。


出稼ぎという名目で借金奴隷として登録されたのは村に課せられた税の代わりとして働きに来た人が殆どで、もしかすると村に帰っても居場所がないと思われる。


「体を休められるのでしたら大丈夫ですけれど…」


出来ればお風呂に入って温まっていただきたかったのですが、命からがら逃げてきてようやく一息ついたところで睡魔に襲われたのかもしれない。


部屋の方はそのままにしておこう。


そういえば自販機は生やせるのかな…。空港のラウンジに有りそうなものは大体出せそうですが。


---


「ここでお酒を出したら大変な騒ぎになりそうだよな…」


ジョッキを置くと下からトルネードのように自動的に注いでくれるビアサーバーなんてものがリストに並んでいる。


これは初見かもしれない。


おおえだちゃんのおうちシリーズには自販機はあれどドリンクサーバー類はソフトドリンクしかなかったような。


もしかするとアップデートが入って追加されている可能性もありますが。


明日、何事も無ければハマトーメン村に行って自販機を何セットか持ち帰ろうと思っていたのですけれど。


空港ラウンジにも似たような自販機はあれどコンビニ自販機は無さそうなんですよね。


ドリンク類もお酒がメインですし…。なんというか酔っ払い製造機みたいな感じになりそうな。


観光スポットにありがちな日本酒をおちょこ1杯楽しめる自販機も各種揃っており、鬼をスレイする銘柄とよく似た物や物騒な名前の付いたお酒もいくつか確認。


これ、マッスルキングさんへのお土産にしようかな…。


オパール王妃もけっこういける口なんですよね。


『わがつがいよ。それは何じゃ』


ちなみに視覚情報はブロードキャストされており、自販機の一覧も当然のように配信を見ている方々の目にも。


そういえばキクヒメさんも相当な酒豪でしたね…。


「日本酒…シャリから作ったお酒の試飲サーバーですね。コインを入れるとちょっとだけお酒が出るんですが」


「びーるもよいがシャリ酒も飲んでみたいぞ」


こちらではシャリ酒と呼ぶらしい日本酒。


ちなみにほぼどぶろくである。白い濁り酒がメインで清酒は見たことが無い。


コーガの出先領地にまた新たな自販機を生やすことになりそうだ。


バックヤードで日本酒の自販機を何台か取り出し、インベントリへと格納を。


これもサブリアクターがあれば無限にお酒が楽しめるようで。元のお酒がどのように出てくるのかは完全ブラックボックス化されており謎となっている。


坑道から避難してきた方には申し訳ないが給水器だけ設置させてもらうことに。


お酒は街に戻ってからお楽しみいただければと。


避難所は若干落ち着いてきたのでゴードンさんに今の様子を伝えに行かないと。


---


グランディオーラ王城付近の雨足はまだ強めとなっており、足元は数センチほど冠水を。


城内を流れる雨水路からは黒く濁った水が溢れんばかりに流れている。


この国には作物を育てるための土壌がほぼ無く、雨水に交じるのは砂が殆どなので茶色く濁ったりはしない。


鉱山都市ゆえ、夜でも人通りがあるはずが今夜は巡回の兵士くらいしか見かけない。


王城近くに設置したポイントへ深緑の慈悲を移動させ、ゴードンさんのところへ向かっている最中。


今のところはこれといって被害は出ている様子は無いが、魔導街灯の光も雨にさえぎられるほどの荒天ゆえ、詳しい事は何もわからない。


モーショントラッカーを起動させ、要救助者がいないか確認しているが今のところは問題なさそうだ。


報告が終わったら御夕飯を食べないと。姫さま達を待たせているので。

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