珍しいドロップ品を引いた勇者
「勇者さま、本日も迷宮探索の引率お願いします!」
そんなわけで全冒険者ランクで再開された南の平原迷宮アタック。
本日も少し回って宝箱をいくつかゲットしたら引き上げるつもりだ。
いつものように20人を引率し、残りはお屋敷で発令所を担当してもらう。
当初は緊迫感溢れるものだったが、今は日常業務という感じで、そこそこの緊張感をもってややゆるめに。
この前のイレギュラーが発生しない限りは誰も怪我をすることのない安全な狩りとなりますので。
まずは王都にある冒険者ギルド本部へと移動し、引率手続きを経ていつものようにアヒルちゃんスクールバスを使って南の平原迷宮へ。
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本日も迷宮前は非常に混雑しており、おそらくは早朝から潜っていた冒険者が出てきたのだと思われ、出坑手続きと買取所に長蛇の列が形成されつつある。
僕達は入坑手続きを行う窓口へと向かい、引率するメンバーが記載された書類を提出し、しばらく待つことに。
「預言書の勇者様、本日の初心冒険者引率の手続き完了いたしました。まだイレギュラーについては完全に脅威が去ったわけではありませんので引き続き警戒をお願いいたします」
結局のところ原因不明のまま安全宣言が出されてしまったのだが、脅威が見つからない以上は仕方ない。
いつまでも高ランク小人数での討伐に任せるわけにはいかないというので。
まぁ、僕が魔獣の数を制御すればよいのですが、この南の平原自体が非常に魔素濃度が高く、迷宮が暴露する以前は人の背丈ほどの濃い草が生い茂り、おいしーうさーぎの巣になっていましたし。
やっかいな魔獣の巣窟にならないよう間引く必要があるのでコントロールにも限界が。
いつもの手続きが終わったので5グループに別れての探索を開始した。
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『勇者さま!虹色の大箱が出ました!あひるちゃんカートがいっぱいになりましたので外に出ます!』
迷宮に入って30分と経たないうちに姫さまがまた特大のあたりを引いて本日のノルマを達成。
姫さま達はそのまま出口へと向かうという。
大当たりの前にも金箱をいくつかゲットし、カートが溢れそうだというので。
他のグループも今日は割といいペースで銀色や黄色の箱を引いている様子。
「あるじさま、これは何でしょう…」
今日はもえがうちのグループに参加。彼女の持つザ・シードは過剰戦力となるため封印をしている。
この迷宮で振るえば迷宮の壁を全て貫通し、外にまで被害が出るだろう。
出たのは箱ではない。かといって通常ドロップですらない。
「我が魂のケッタマッスィーン2号?どこかで見たような」
いわゆるママチャリが出現し、チェーンカバーに殴り書きで銘が刻まれている。
ケッタマシーンはいつだったかどこかの村の聖堂で埃をかぶっていたのを発見し、聖堂を守るシスターに使い方を教えたんだっけな。
ママチャリとは名ばかりの魔導具で、サイクルアシスト機能と半透明の雨よけが標準装備だったような。
今出たママチャリをアヒルちゃんカートに乗せようと思ったのだがどうも座りが悪い。
「カートを連結するか…」
「ぐえ」
コピーのアヒルちゃんを呼び出してカートを2連とし、そこにママチャリを積載。
「これからはアヒルちゃんカートを複数持たせるようにするかな…」
かといって箪笥ほどもある宝箱を引きずっての戦闘は少々無理があると思われるので大物が出たらその時点で活動終了というスタンスは変わらないですが。
ママチャリは微妙なラインですね。というかこれ乗れる子いるのかな?
みなさんが欲しがるようでしたら双子製作所でママチャリの生産もしないとならないですが。
妙なドロップの後はいくつか小ぶりな白箱と銀箱が出たので目標達成とみなして探索を打ち切ることに。
他のグループからも次々と終了の連絡が入る。
今日の活動時間は2時間、1ニールほどで迷宮改変前に外へ出ることに。
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「このアイテムがドロップを?」
出坑手続きと引率完了、そして戦利品の報告をしている時にママチャリが引っかかった。
この世界には当然のことながらママチャリなどは存在しない。という事になっている。
魔導結界の外にいけばもしかしたらという気もしないでもないですが。
「こちらはギルドでお預かりをさせていただきたく…」
「この後本部に行くのでそこで預けましょうか?」
「そうしていただけると助かります。念の為に職員を一人同行させてください。運搬中になにかしらの変化があった場合の観察記録を付ける必要がありますので」
迷宮から出土した遺物は時間経過で変容することがあり、思いがけない結果を引き起こす危険もあるという。
どう見ても普通のママチャリなので何の心配も無いと思うのですが、こちらの世界の人から見れば異物そのものでしょうし。
受付の方が一人、立会人として同行する事となった。
帰りもアヒルちゃんスクールバスを使う予定なのでママチャリ1台くらいは余裕で載せられる。
ギルド職員の方、スクールバスが出現した時にちょっと腰が引けていましたけれど大丈夫でしょうか?
いつも王都との往復に使っているのでだいぶ慣れてもらえたとは思っていたのですが、実際に乗り込むとなるとまた感じが違うのかもしれないですが。
そんなわけで一人乗客が増えたアヒルちゃんスクールバスは「ぐえい」とひと鳴きして王都へと向かう。




