暴走するルティリナと勇者
ヴァネッサさんから直接お聞きする事もほとんどないのですが、念の為に健康状態などを見させていただくことに。
シロさんと共に診療所へ向かうと身支度をしているというので少し待つことに。
もう起き上がっても大丈夫なんでしょうか?
「どうぞ」と職員の方から声がかかったので診療所に入るとおそらくギルドで用意されたであろう当たり障りのない緑色のワンピース姿の女性が。
「預言書の勇者サブローです。今回は災難でしたね…。犯人は捕まったと聞いていますが」
「ヴァネッサです。預言書の勇者様に助けていただいたことはギルドの方から伺っております。あのまま迷宮に放置されていたら…」
もしかすると斥候の使うマントは魔獣に見つかりにくくするための理由もあったかもしれないが、戦利品を横取りするために気絶させるのは罰則を課せられて当然の行為だ。
「巡回中に見つけられて良かったです。本来得られるはずだった報酬と金色の箱についてはヴァネッサさんにお渡しできるとのことですので」
ポーターとしての収入はわずかだろうか金箱で得られる収入は少なく見積もっても数年分となるだろう。
「どうしてわたしのところに…」
「あの迷宮で箱が立て続けに出ること自体が異常なので、何かしらのトラブルなのでしょうが」
今日は姫さま達にそのあたりの検証もやってもらうつもりだ。
引率含め5人で回ってもらう予定だが、戦闘時に一人は後方で見守ってもらい、宝箱がその人物に出るかの検証を行う。
「このあとどうされます?宿に戻られますか?」
「その…一人でいるのは…」
迷宮に置き去りにされたのが堪えているのか。
「でしたらしばらくうちに来ませんか?いつも誰かしらいますので。ああ、女性ばかりですので大丈夫ですよ。男は僕一人ですが部屋には近づきませんので」
姫さまに相談しないとならないかもしれないがこのくらいは僕が決めてしまっても良いだろう。
ついこの前も一人お預かりしてお屋敷で待機してもらってますし。
シロさんが何か言いたげな感じではあるが…。
「シルフィール殿下にはシロから伝えるにゃ」
ひとまずヴァネッサさんがうちでお預かりすることにし、まずは定宿に荷物を取りにいってもらうことにした。
その間、姫さまたちにはもう少し待機をお願いすることに。
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ヴァネッサさんには派遣メイドさんを一人お付けして今日はゲストルームで過ごしていただくことに。
リビングは発令所に変更してあり、迷宮内の様子が丸わかり状態でちょっとお見せするのはどうかという。トラウマをほじくりかえさないよう注意を。
「姫さま、お待たせしました。それでは探索を開始しましょう」
いつものように5人グループを4つ作り、それぞれ異なる入口から迷宮へ侵攻する。
入り口付近は冒険者の数も多く、無益な争いを避けるために途中をスキップして深層へと移動を。
うちのこは全員アヒルちゃんパワードスーツ着用なので移動もスムーズだ。
隠密メイドさんは何故かパワードスーツを拒否されるので守りの魔導具だけは身に着けてもらっている。
『アルファチーム、エンカウント!』
早速姫さまのチームが会敵したらしい。発令所から通信が入り、マップに状況が表示される。
敵の数は5体だがマルチロック女児ワンドレーザーの敵ではない。
赤い点は即座に黒となりマップから消失。
しばらくすると姫さまのチームが動き始めた。
ちなみに僕はデルタチームに参加中。
今のところ最初の敵まで1分くらいの場所にいるのですが。
「リーダー。敵はまだ?」
「ルティ、もうちょっとだからフレイルを振り回さないで!」
一人だけ非常にやる気の子がいて…やるという字が多分「殺」のほうですね。
アヒルちゃんだけでもオーバーキルなのにどうして鈍器を携えているのか。
はうはうどっぐってこんなにも好戦的だったのか…。ああ、そういえば一人好戦的な人がいましたね。うちでお預かりしていますが、今日は別のグループにいらっしゃる。
『デルタチーム、エンカウントまで30』
薄暗い通路の先を拡大すると魔獣らしき影が複数見えた。
「ルティ、ステイ!ステイ!」
「魔獣即せんめつ!」
あーあ…走って行っちゃった。どうしていう事聞かないのかなあの子は。
多分僕達がつく頃には戦闘が終わっていそうですが。
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「ルティ、一人で出すぎない事。囲まれたら大変でしょう」
「大丈夫。これでぶんなぐればなんとかなる」
このフレイル、実はDSOVR産のモノで非常に禍々しい装飾が施された骸骨仕様となっている。
何のゲームがモチーフになっているのかちょっと分からない。多分B級ホラー作品だろうとは思うんですけれど。
そんなものでぶん殴られた魔獣は跡形もなく消し飛び、魔導結石と戦利品が散らばっているだけで。
こんな状態でも経験値は等分されるというので非常に謎なんですが。
この場合の経験値は魔獣から得られる魔素量の事で、冒険者はこの魔素を吸収すると徐々に強くなれるというしくみだ。
やろうと思えば接待プレイやレベリングも可能なのだが、この事を知っているのは例によって世界で数人ほどという機密事項。
「リーダー!箱が出た!」
ちらばる戦利品の中に手のひらサイズの白い木箱が。これだと検証にならないよな…。




