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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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対星喰い用兵器への侵入を試みる勇者

サブローが初の宇宙遊泳中、サブロニアのシャトル内は非常に殺気立っていた。


「早くあれを停めろ!」


「無理です。自立モードに入れば敵を倒すまで停まりません」


警備兵によって手足を拘束された科学者がわめく。


「一体どうすれば!サブローさまの様子は!」


「ここからですと遠すぎて観測が出来ません。対星喰い用兵器に取りつくところまでは確認出来ましたが…」


シャトルは万一の事態に備え、試験エリアから離れた場所にいた。


はるか遠方に対星喰い用兵器のエンジンが放つ閃光だけがめまぐるしく動くのが見えるだけ。


その兵器はシャトルから離れる一方となり、現場の様子を確認する事も出来ない。


「サブローさま!」


『タマヨさま、ちょっと今手が離せないのですが何かありましたか?』


通信回線を開くと無事な様子が声で分かる。


「一体何が起こっている!サブローさまは何を!」


『このカブトムシを飼いならそうと思いまして』


「破壊しても良いと!」


『国費をつぎ込んで作ったものでしょうし、出来れば無傷で捕獲して他の用途に使えればと。これから星海に出るのですから護衛艦に加えてもいいのでは?』


お人よしにもほどがある。


見ず知らずの星の為に命を懸けてまでやることではない。


「もし無理だと判断したら即座に破壊を!」


『承知しました。では作業に戻りますので一旦切ります』


---


「深緑の慈悲ってこんな機能があったんだ…」


僕はいま、カブトムシの外殻を走って移動中。


深緑の慈悲の足裏に吸着機能があり、暴れまくるカブトムシに左右されることなく移動が可能だ。


カブトムシは全長100m、厚みは40mほど。


甲板の上をジョギング中なのだが、これといった防衛装置は見当たらない。


普通ならば外殻に取りつかれないよう何らかの攻撃手段がありそうなものなのだが。


もしかすると星喰いだけをターゲットに作られ、その辺りはオミットされているのかもしれない。


張り付いた背中側から腹部へと移動するとメンテナンスハッチらしき場所を発見。


「こんなに簡単に見つかって良いものか?」


罠の可能性もあるが蓋をぶん殴って無理やりこじ開けると機体の内部へと通じる穴が見つかった。


「とりあえず高周波ブレイドだけでも出しておくか…」


内部にはもしかしたら何かしらの侵入防止用装置があるかもしれない。


ヘルメットライトを点灯し、内部へと突入。


ちなみにこの様子はライブストリーミングされ、地球でも見られていると思われる。


視界をふさがないようコメント欄はオフにしてあるのでどんな反応があるのかは後のお楽しみということで。


---


「シース、レーネ。70m級から探知波を出して船体内部をスキャンおねがい」


『『らじゃーなの』です』


防衛装置は無かったが通路が複雑に入り組み、それ自体が侵入防止装置となっていた。


試しに手近な制御パネルからコントロールが取れないか試したが物理的に繋がっていないようで侵入に失敗。


コントロールルームに行く必要が出来たので道を探しているのだが…。


「どうしてコアっぽいものがいくつも…」


神経節とでもいうのだろうか。複数のセクションにエネルギーが集中する箇所があり多分それらを順番に回らないとrootが取れないと思われる。


「先に頭部方向へ…」


ちなみに先程アクセスした制御パネルは乗っ取り済みで船内の明かりを付けたのでヘルメットライトは不要となった。


---


「一応コクピットらしいものはあるのか…」


頭部エリアに入り、こぶしという名の鍵でドアを開けるといくつかの座席とコンソールが並んだいかにも操舵室といった感じの部屋に出た。


モニタはオフにされているので外の様子は分からない。


「ここからrootが取れれば楽なんだけれど」


ひな壇の一番上、キャプテンシートらしきものに座ってパネルにアクセス。


「対電子戦用防御壁300万機起動」


深緑の慈悲の裏には族の里にあった古代のコンピューターのコピーを待機させてあり、ハッキングなどの荒事に使えるようチューニングしてある。


「シース、レーネ。ハッキング用意」


深緑の慈悲からケーブルを引き出し、近くのポートに差し込んでハッキングを開始。


「あれ?何の反応も無いけれど大丈夫なのか?」


これからハッキング戦が始まるのかとちょっとわくわくしていたのに。


もしかして外れの端末を掴まされたのかと焦ったが。


『『るーとだっしゅなの』です』


ほんの数十秒で相手側の防壁を突破し、メイン部分へのアクセスに成功。


「ひとまず停止信号を送って。あとは外部カメラとモニタをリンク」


むちゃくちゃに飛び回っていたカブトムシは一瞬でおとなしくなり、コクピットのモニタに外部映像が出た。


「あれ?ここは何処だ…随分と遠くまで流されたようだけど」


先程の小惑星帯から外れ、外に見えるのは星海だけとなっている。


「ひとまずタマヨさんに無事を知らせないと」


通信機のスイッチを入れ、タマヨさんを呼び出すことに。


---


『なんとか停まりました。現在位置が分からないのでビーコンを出してもらえますか?』


「サブローさま!」


対星喰い用兵器は既に有視界での観測エリアから外れ、パッシブレーダーで機影を追うしかなかったが、その機影が突然停止。


その直後にサブローから通信が入った。


「タマヨさま危険です!ビーコンの信号を追って星喰いが現れる恐れが!」


拘束された科学者がやめさせようと必死だ。


「何を言っておる。星喰いは既にこの世から消されたと何度も説明しているであろう」


「あの者のいうことを真に受けるなど…あのおぞましき怪物は数十万サイクルもの間、星海を荒らしまわっているのです。今になって討伐されるなどありえないこと」


「問題ない。ビーコンを出せ」


信号発信機に火が入ったのは何万サイクルぶりだろうか。


『ビーコン波キャッチしました。これから合流します』


レーダーに写った機影がシャトルへ向けて動き始めた。

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