星間連合からの新たなメッセージと勇者
「何かお手伝いできることは?」
「私は大丈夫です!ロスミアが何か相談したいことがあると…」
ロスミアさんはこの村のコンビニ店員。代々コンビニの運営を任された末裔とでも言えばよいか。
コンビニと呼んでいる店はいつから存在するのか、おそらく星間連合の配下にあると思われる謎の販売施設で食料品から宇宙戦艦まで多種多様な商品を買うことが出来る。
その際に必要なのが共通金貨と呼ばれる物理トークンで、これを得るには劣獣を狩り、魔泉といわれるコアと交換する必要がある。
魔泉をレジの買い取りコーナーに入れるとトークンと交換できるのだ。
この星はちょっと変わっていてこのコンビニを中心に人が一定数集まり、それぞれ集落として機能するだけとなっており、国などは存在しない模様。
星全体がどのような構造になっているのかは不明。
近所にはドローンを放って様子を伺っているが、大体数十人規模の村が徒歩2から3日程度の距離を保って点在する程度。
それ以上索敵範囲を広げるのは星間連合を刺激すると思い自粛している。
そんな村を活性化するために新たな農機具の購入を勧めたのだが、どうも村人たちは新たな畑の開墾に消極的なようで。
村の食費のほとんどはハルミルさんの劣獣退治で補っているようだがそれは彼女が搾取されているだけなのでどうにかして改善しなければならないのだが。
僕はハルミルさんとアヒルちゃんのいる畑を後にし、ロスミアさんのいるコンビニへと向かった。
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「サブローさま、わざわざ来ていただいて申し訳ありません」
「何かお困りだと聞いて」
「はい。実はレジにメッセージが表示されたままになって消し方が分からないのです」
「メッセージですか?」
どうみてもPOSレジにしか見えないレジを拝見させていただくとオレンジ色のアラート画面が立ち上がっている。
「星間連合からの全体メッセージですね。内容は…」
詳細ボタンを押すとちょっと長めの文章が表示された。
「ああ、星喰いの討伐に関して正式なアナウンスが出たという通知のようです。何故今になって…」
システムメールには星喰い討伐のメッセージが届いていたが、あれだけでは足りなかったのか?
「星系周辺部へのシフトゲート増設計画とシフトドライブの増便ですか…」
シフトゲートとは超長距離の移動を一瞬で行うための装置で、シフトドライブはシフトゲートを使ったジャンプ航法の名前となっている。
対になったシフトゲートの間を亜空間接続し、空間をシフトして移動するのでこのネーミングになっているのだとお魚婦人から聞いたような気がする。
星喰いに船やステーションが襲われる心配がなくなり、今まで以上に物流や人の行き来を加速させるようで。
アラート画面は特に問題なさそうなので消しておく。
「これで大丈夫ですね。もしまた表示されたら遠慮なく呼んでください。内容を確認しますので」
「でも、お忙しいのでは…」
「いまはちょっとだけ暇ですね。忙しいと言っても任せられる仕事はどんどん回してますので」
大森林野営地やぬるすらいむ討伐地点への物資運搬は完全にアヒルちゃん便に任せてしまっている。
職員の大掛かりな移動が無い限り、僕の出番は当分無いのだ。
「他に何かお困りのことは?」
「大丈夫です。店番のアヒルちゃんのおかげで店の外に出られるようになって助かっていますし」
今もレジの傍らに執事スタイルのアヒルちゃんが立っている。
ロスミアさんの父母はコンビニに立つだけの体力もなく、彼女一人で店を回しているので外出もままならなかったと。
ここの店番もアヒルちゃんたちには人気スポットの一つらしい。
今は緑色のアヒルちゃんが「ぐえ」と鳴いてお客さんを待っている。
コンビニに来るのは村人か外からくる冒険者風の旅回りの人。
劣獣を倒して日銭を稼ぐ職業があり、殆どが村での閉塞的な生活に嫌気がさしたか、あるいは別の理由で村に留まれなくなった方々ということで割と荒くれ者が多い。
ロスミアさんはそんな客の相手をして今まで何度も怖い思いをしたというが、アヒルちゃんが店に立つようになってからは一切トラブルが無くなったと喜んでいる。
この前も高圧的な態度を示した汚客二人をアヒルちゃんが締め上げ、販売システムが反応して身分証をアカバン状態にした。
身分証が使えないとシステムに預けた共通金貨が取り出せないだけでなく、店の利用そのものが出来ない状態となり、誰かに手数料を払って売買を代行してもらうしかない。
そんな奇特な人が居ればよいのですが。
まぁ、食うだけならその辺の野草や小動物でも狩れば食いつなげるという話ですし。
せっかくコンビニに来たので何か目新しい商品が追加されていないかメニューをダウンロードしておく。
宇宙船がちょっと気になるのですが共通金貨三千万枚からというハードルが。
どこか稼げる迷宮のような場所は無いのでしょうか?
まぁ、宇宙船が無ければ作ればいいという話もありますけれど。
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「お帰りなさいませ、エイトさま」
ずいぶんと日が傾いた時間となってしまったが、ファンタジー世界側での情報収集を終えてライスリッチフィールドへ戻ってきた僕。
オパール王妃はずっと膝枕をしてくださったようで大変申し訳なく。
膝枕されているとオパール王妃のご尊顔が全く見えないんですよね。山脈のせいで。
この山脈、姫さまには受け継がれるのかが非常に謎ではありますが。
「先程サブロニアからエイトさま宛に使者が来ておりました。明日、昼過ぎに議場へお越しいただけるかという内容でしたが」
何かあったのだろうか?明日は特に予定は入っていない。ドワル支部長の尋問と迷宮で助けた少女の調査がありますが。
とりあえず行けると回答だけしておこう。




