迷宮前広場の屋台巡りをする勇者
仮結成のグループが迷宮を出た時点で連絡をもらえるよう依頼し、遅いお昼を食べにお屋敷へ戻ろうとしたのだがシロさんが迷宮前の広場にある屋台から目を離さない。
「おさかなおいしそうにゃ…」
屋台に出る魚はタングラート周辺で取れた魚の燻製焼きか、川魚を井戸水でしばらくさらして沼臭さを減らした香草焼きがメインである。
お屋敷で食べる魚の殆どがタングラート産の燻製焼きで、たまに川魚が出ることもあるがそもそも数をそろえられないという理由であまりない。
屋台で焼かれているのは燻製のようで食欲をそそる香ばしい香りが漂ってくる。
「どりあーどはあれを食べたい」
彼女はイモの素揚げを指さした。
ジャガイモに似たもので、ライスリッチフィールドで栽培されているというが、畑は見たことが無い。
火が通りやすいよう細い短冊状に切られ、ほくほくとした感じに揚がっている。
「じゃあ僕はぶるーぶるの串焼きにしようかな」
三者三様と言った感じでお昼が決まり…どりあーどさんは僕から魔力を吸い上げるというメインディッシュがあるのですが。
姫さま達には屋台で食事を済ませると連絡を入れ、早速買い出しに。
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「サブロー、この燻製当たりにゃ!」
シロさんはすこし大き目の燻製焼きを2匹買い求め、お嬢様らしからぬお作法でもって食べている。
いわゆる丸かじり。
「おいもおいしい」
どりあーどさんは岩塩で味付けしたイモの素揚げをもくもくと召し上がってる。
冒険者用に非常に量が多いのだが地球で買うよりははるかに安い。
僕は牛串…これもステーキが刺さっているのかという感じのおにくさまと格闘を。
赤いアロハとジーンズ、メイド服、そしてバニーメイドといったこの場にふさわしくない服装の3人がめずらしいのかあちこちから視線が飛んでくるがまぁ慣れたものだ。
どりあーどさんは周囲に気づかれない程度に魔蔦をのばし、僕から魔力を吸いあげている。
今日は迷宮探索ということで随分と体を動かしたせいか、吸われる魔力もいつもより多い。
ちなみに迷宮探索時、二人にもアヒルちゃんATVを貸し出しているが、基本は児童操縦なので何ら問題は無い。
それに二人ともライノービークルや戦車の運転経験があるので手動でも大丈夫ですが。
「うみゃー!」とシロさんが吠えている。
猫人の方ってお魚を前にするとどうして人が変わるんでしょう。
うちのエリオさんも普段はおとなしいのですが、お刺身を食べたときはそれはもうよろこんでましたし。
山の中の村では刺身なんてまず食べる機会は無いでしょうし。
機会があればタングラートに行って刺身パーティーを開こうかと思いますが。
後は境界の地の温泉ホテルにあった船盛も気になっているのですけれど。
「サブロー、ごみ捨てて来るにゃ」
「お願いします」
シロさんが木皿や串をもってゴミ捨て場へと。
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僕達が食事休憩を終えても先程保護した少女が目覚めず、事情を聞きたいグループも迷宮から出てくる気配が無いので一度お屋敷へ戻ることに。
迷宮内に放ったドローンの映像解析ではグループの特定までは出来ず、アイドルの出待ちのようなことをするのもどうかと思ったので。
冒険者ギルドは身動きの取れない人間を迷宮内に放置した疑いでグループのメンバーを拘束するという話だったので、連絡が来てから行動しても問題ないだろう。
ちなみに管理迷宮内には一定間隔で脱出穴が設けられており、さながらトンネルの非常口かと思う装飾が施されている。
そこに飛び込めば医療スタッフが待ち構える迷宮出口まで一瞬でワープするらしい。
僕はまだ試したことが無いので何とも言えないのですが。
ただ、これを利用すると最低でも3日の入場規制がかかるというペナルティがあり、冒険者は自分の体調とペナルティを天秤にかけての行動となる。
このペナルティもモンスタートレインを誘発させての使用となるとさらに重くなるとかで。
迷宮がどういった基準で判断しているのか、謎に包まれている。
ちなみに意識のない人間を投げ入れることは不可能で、誰かが抱えていかなくてはならない。
もしかしたら一緒にペナルティを受けるのが嫌で放置したのか?
一歩間違えば魔獣の餌食にされ、大けがを負った状態で迷宮から排出されることになり、あまりにも人命を軽視した行動は到底許されるものではない。
この件は大森林の洞窟にいる冒険者ギルド長にも連絡を入れてある。
詳細を聞きたいというので後で行くつもりですが。
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お屋敷に戻るとまだ誰も帰っておらず、派遣メイドさん達が庭の手入れをしているところでした。
庭と言えば月下の白百合が爆発的に増えてちょっとした花畑状態になっているんですよね。
人里離れた草原にひっそりと咲くと言われている幻の花がチューリップ畑のようになっているのはちょっと異常と言いますか。
この花の価値について知っているのはごく一部。派遣メイドさんたちはちょっと珍しい百合の花程度にしか伝えていない。
この花をどうにかしようという人はそもそも雇い入れていないので問題は無いのですが、まさかレジェンダリー級の薬草が生えていますよとはとても言えなくて。
適当に株分けをして他の国でも栽培をしてもらおうかなと考えていますが。
そういえば錬金術を扱う人とは会ったことが無いんですよね。トメばぁはあくまでも薬師でしたし。




