境界の地で占いをしてもらう勇者
「先ほどぶりです」
本日2度目のログインの為、十六夜さんのスカート下には転送されなかった。
「ひな達は先にななや旅館に行くと言っておったぞ」と十六夜さんが。
ひなちゃん達は日中に滞在時間をほぼ使い切っているので温泉を優先したのだろう。
「勇者殿!」
サバンナさん達と無事合流出来た。
彼女達にもVRゴーグルを渡してあり、うちに泊りに来なくとも境界の地へと来られるのだ。
「温泉に入りながら話をしましょうか?」
今日もななや旅館に行く予定である。最近海底温泉はすっかりご無沙汰しておりますが、姫さま達はななや旅館の大広間で寛ぐのが好きなようで。
海底温泉のある温泉ホテルにも大広間はあるのですが一度も利用したことが無いんですよね。
バックヤードのメニューを見ると海鮮コース料理を食べられるプランがあるそうで、一度は味わってみたいと思うのですが。
刺身の船盛だったり、魚の蒸し焼きを目の前で作るお一人様コンロを見たかったり。
今日はななや旅館に向かうことに。もう姫さま達が歩き始めているのであわてて後を追った。
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「昨晩はすいません」
「いえ、お気になさらず」
七夜さんに昨晩来られなかったことを謝罪。ここに訪れ、外の様子を話すのが日課となっていますので。
管理用AIとしてこの世界を見始めてから外界との接続を断たれているという話で、少しでも気晴らしになればと外の世界の様子をいろいろな方法で伝えているのですが。
「今度時間が合えばライスリッチフィールドを案内しますが…」
彼女達も仮初の体を作ることで短時間であれば外界へと顕現が可能。
十六夜さんや無月さんもその方法でしばしの観光を楽しんでもらったことがある。
DSOVRであればもっと簡単に行けるのですが、七夜さんにあの殺伐とした世界を見せるのはどうかと思いますので。
はじまりの街を一周するだけでも良いのかな?
「益田よ、遅かったな」
社長達は既にお風呂から出ており、浴衣姿で土産物屋を冷やかしに。
ここ、来るたびにラインナップが増えているような気がするんですよね。
「では僕達も…」
七夜さんもご一緒に露天風呂へと繰り出すことに。
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あまり殺伐とした話もどうかと思うので昨日の捕り物に関してはちょっとぼかして伝えることに。
十六夜さん達の世界観って分からないんですよね。
いったいどんな文明が関与して未来予測装置たる彼女達の人格を構成したのか。
時が経ちすぎていて彼女達にもその記憶は無いと。
未来予測装置としての漠然とした記憶があるだけで、一体何のために未来を予測していたのかも謎であると。
十六夜さんは預言書として魔導結界内部にある5か国、そして精霊国、妖精国、魔人族へも神託を送っていた。
これを始めたきっかけも分からないという。
そして僕を呼んだのも未来予測装置として僕が関わることでこの世界の未来に良い影響を与えるのだという結果が「見えた」からだと。
ちなみに何をすればよいのかというヒントは一切もらえない。単純に見えないと言われているのですが。
何か重要な事を聞いたような記憶もあるのですが思い出せないんですよね。
ちなみに七夜さんも未来視が出来るという話でしたのでちょっと僕の事を見てもらったのですが…。
「いくつもの事象が重なり合い、結果が一つに収束しません。このような未来は初めて見ました」
不確定要素が多すぎるんでしょうか?
「勇者さま!占いですか?ひめゆぶにも占い師さんが出てくるのですが」
聞けば主人公が外出中にいかにもといった感じの占い師に呼び止められ、料金はいらないから占いをさせろと迫る話があるそうで。
「たしか…『これほど女難の相が色濃く出ている男は初めて見た。近いうちに刃傷沙汰になるやも知れぬ』…と言われて」
まぁ、そうでしょうね。
ひめゆぶの主人公は送還にくっついてきたお姫様に翻弄されるところからスタートし、学校生活でも多数の女性に言い寄られ、挙句の果てには別の異世界からやってきた魔王を名乗る幼女に迫られるという波乱に満ちた人生を歩んでいるようで…あれ、誰かに似ていないか?
姫さまはこの占いに興味津々といった感じで七夜さんに未来視をしてもらいたいとお願いしたのですが…。
「やはり未来が一つに収束しません。基本的に悪い事は起こらないのですが」
どこかで因果律がねじ曲がっているのだろうか?まぁ、悪い結果は出ないという事なのでそこは一安心といった感じで。
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うちのこ達も占いをというので「おみくじを引きに行きますか?」と声をかける。
七夜さんに無理をさせるのもちょっと忍びないと思い、温泉ホテル裏にある神社へ向かうことに。
社務所などは無く、おまもりやおみくじの自販機が並んでいるだけですが。
そういえばアミューズメントビルのゲームコーナーにもおみくじを引けるゲームがあったなと思い出し。
今度利用してみようかな。確か文鳥がおみくじを運んでくる様子を模したゲーム機で、機械仕掛けの文鳥がそれっぽい動きをするような気が。
暗くなった海岸を懐中電灯を頼りに神社へと向かう。
返すつもりだったどてらをまた借りての移動となった。
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「勇者さま!超ウルトラ大吉?が出ました」
なにそのインフレした大吉。
姫さまは何を引いても大体大当たり以上の結果が出るんですよね。
ほかのみなさんも殆どが中吉以上を引けたようで何より。
「おねえさんだけ大凶ってどういうこと!エイト君、やりなおしてもいいよね?」
みっちゃんさんはみっちゃんさんらしいモノを引いたようで。
「一回だけですよ。何度も引き直すのは罰が当たると言いますし」
ちなみにおみくじを結ぶ場所も用意され、何もなかったところにみっちゃんさんのおみくじが巻かれた。
「気を取り直して…」
がこん。と取り出し口に現れたカプセルは何とも言えない呪われそうな色合いのまだら模様。
「超大凶?どうして!おねえさんわるいことしてないのに!」
引き直す前の方が良かったという最悪のケースに。
「みっちゃんさん。占いですから現実になるとは限りませんし」
「悪い事が具体的に書かれているの!行動のところにどぶにはまって泥だらけになるとか」
それ、いつもの事ですよねと喉まで出かかったけどなんとか我慢できた。
みっちゃんさんは半べそになっておみくじを結んでいた。
僕は僕で吉?とクエスチョンマークがついてました。疑問形なんだ。




