フリードリッヒ国王のお願いと勇者
『勇者さま、お怪我はございませんか?』
先程のギルド職員による襲撃の様子はブロードキャストされており、姫さまから問合せが。
「僕は大丈夫です。深緑の慈悲を纏っていたので並大抵の事ではかすり傷一つ負いませんから!」
深緑の慈悲の強度はフォースムーンの実戦で実証済みであるが、まだ誰にも見せて居なんですよね。
見る人間の精神を汚染しそうな禍々しい怪物ばかりでこれをモザイク無しで流していいものかまだ判断がつかないといいますか。
悪意の煮凝りとでも言おうか、本当に殺意しかなかったですしあそこの空間。
一体何をどうすればあんなテーマパークが出来上がるのか設計者を小一時間問い詰めたいという話は何度かしていると思う。
『もふもふさまは大丈夫か!』
ユークレスさんは僕を襲ってきたもふもふさまの心配を。
「けがはしていません。無力化する際に意識を失ったので王宮の診療所へ運んでもらいました」
おそらく大教会による洗脳が原因と思われる意味不明な行動は彼女達の意図するところでは無いと思われるので。
大教会の魔導具で狂わされた人たちは基本的に無罪とされ、しばらくの間保護観察処分となる。
大教会の幹部は別だ。
あいつらは自分の意志で大教会の教えに沿って僕に嫌がらせを仕掛けてくるのだ。
洗脳では無いのでリングやメダルを分解しても僕への敵意は変わらない。
なので全員独房へと押し込め、気が変わるのを待っているのだが誰一人として取引に応じた人間はいない。
幹部と言えば十三夜ちゃんは何故か分からないけれど最初から友好的な姿勢のまま。むしろネコが懐いた感じでうちの一員として主に大教会メンバーの捜索時に力を貸してもらっている。
今回ももしかしたら出番があるかもしれないので声だけでもかけておくか。
商業ギルド長は相変わらず何もしゃべらないというので一度休憩を挟み、僕が半ニールほど直接聞き取りをすることになっている。
ギルド長にかかりきりというわけにもいかないのだが、何かしらの手掛かりが得られれば良いのですが。
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「預言書の勇者様、昼食の用意が出来ております」
あてがわれた部屋に戻ってドローンの索敵状況を確認しているとラダさんがお昼を食べてくださいと呼びに来てくれた。
「坊ちゃまがどうしても勇者様と食事を取りたいとわがままを申しておりまして…」
「僕はかまいませんが…」
「サブローモテモテにゃ」
フリードリッヒさんは何故かは不明だが僕の大ファンらしい。
おそらく幼少期に読んだ勇者本の影響、それもラダさんが先々代の国王から賜ったという由緒正しき勇者本に心惹かれ、事あるごとにその本の一節を持ちだしては僕を称えるというなんともむず痒いというか…。
本に書かれた勇者像が僕そのものだと大興奮していらしたのを思い出す。
前の勇者、みっちゃんさんがもえをお供に各地の魔獣を鎮圧して回ったとのざっくりとした記載があり、本の挿絵の様子が僕そっくりだと何度も見せていただいております。
多分今日の昼食もそんな勇者本から話が出るのではといった感じで。
そう言えばシンゲツさん達に声を掛けないとならないんでしたが、お昼ご一緒出来るかな?」
「ラダさん。シンゲツさん達も同席していただければと。従者の星の調整日程などを詰めさせてもらいたく」
「かしこまりました。実は坊ちゃまといつも昼食を一緒にとっていただいておりますので」
特に心配は無かった。
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「お久しぶりですシンゲツさん!」
いつぞや会ったときはセーラー服っぽい姿だったが、今はメイド服を着ていらっしゃるシンゲツさんたち。
31人の幼女が集まると壮観ですね。
彼女達がこの姿になってしまったのは僕のせいなのですが、特に困っている事は無いというのが救いか。
アトレーンの客人として正式に向かい入れられ、たまに従者の星の整備工場を覗きに行く以外は基本的に王宮内で簡単な手伝いなどをして過ごしていると。
その為のメイド服なんですかね。なんかちんまりとしたお姿が愛らしいといいますか。
うちのシースやレーネもちんまりしてますが。
「勇者殿!商業ギルドで襲われたと聞き、心配しておりました!」
フリードリッヒさんが少し遅れて登場し、僕が怪我をしていないか非常に心配してくれた。
例えあのまま魔獣化したところで人間ベースの脅威なので何とでもなりますが。
さすがに100mを越えるようなろっくわーむだったりすると戦略を考えないとならないですけれど、あれは本当にイレギュラーだったと思いますので。
「ご心配をおかけしました。けがはありませんので」
「あいかわらず危ないことをしておるようじゃの」とシンゲツさんからも心配されてしまった。
「襲撃される頻度は下がっているので以前よりは随分と安全ですけれど」
フラグになるかもしれないが、大教会による襲撃自体は鳴りを潜めている。
最後の襲撃はペンギン型ゴーレムによる強襲くらいか。
あれもミサイル攻撃がちょっとうっとおしい程度で大海原を渡る民が遺した戦闘機を使って推進機の一つを破壊して終了。
パイロットは絶対に脱げないスーツを着せられたおきつねさまでしたが、無事に保護をしてうちの一員となっている。
大教会の刺客はだんだんと大雑把になってきており、おきつねさまも割のいい仕事に食いついた冒険者だったという。
なりふり構っていられないのかもしれないですが。
ああ、そういえば大教会が狙っていたと思われるヨシゴイ型ゴーレムの解析がまだでしたね。
社長には話したんだっけな?いろいろありすぎて忘れいている。
ちなみに今日のお昼はおさかながメインで、シロさんが僕の分も狙っているので早く食べてしまわないと。




