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幸福短歌

幸せになりたくて

愛したわけじゃない

ただ傍らにいられればいい



  *さいごの恋


ゴメンね

これが最後の我儘だから

もう少しだけ手を繋いでいて


送ります

遺書という名のラブレター

それがあたしの最後の愛です


大好きよ

伝えたことはないけれど

あなたがいるから生きてられるの


ペンを持ち

別れの言葉をソッと綴る

「貴方を想い死んでゆきます」と


  *携帯


携帯を握り締めたまま

眠りこみ

翌朝君に必死で謝る


ぼんやりと

鳴らない電話を胸に抱き

あなたの名前をそっとつぶやく


「会いたい」と

願うだけじゃ不十分

メールに書いてあたしに教えて!


携帯の

ちいさな画面を睨みつけ

伝えきれない思いに困る


  *嘘


嘘を吐く

あたしをちっとも怒らないのは

もしかして、ねえ興味ないから?


たとえそう。

虚飾の恋でも構わない

偽物のどこが悪いっていうの


見えなくなる

ほんとも嘘も何もかも

錯綜のなか君が揺らいでく


「だいっきらい」

なんて言葉を信じる気?

それじゃどうやって拗ねればいいの


かわいらしい

私の嘘を見破れない

あなたの鈍さを愛しているわ


吐くならば

バレない嘘にして頂戴

あたしこれ以上泣きたくないの


許せない

嘘ばっかりをくりかえす

最低なひとに別れを告げる


嘘を吐く

君もやっぱり可愛くて

怒る気持を忘れてしまう


  *喪失


壊れてく

空もベンチも街路樹も

愛したあなたの墓標と共に


泡のよに

ぱちり弾けてきえてゆく

さみしい恋にさよならをする


捨ててきた

命のかけらを掻き集め

きみに会うまで生きなきゃと決めた


「行かないで」と

あの時あなたに言えたなら

今でも傍にいてくれたかしら


命より

大切な君を亡くしたのに

死ねない僕を軽蔑するかい?


もう二度と

恋などしないと誓うたび

なぜか最初の彼を思う


一度くらい

フラれたからって人生は

終わらないからダイジョウブ


嗚呼もしも

この恋が叶わないならば

人魚姫のよに泡になりたい


幸福な結末のない

恋に溺れ

目がとけるほどひたすらに泣く


報われない

物語のよな恋をして

馬鹿馬鹿しさにため息を吐く


淡々と

別れを告げるその声さえ

好きだと思う自分を笑う


サヨナラと

笑って離れるのは平気

諦めるのなんて慣れっこだもの


そっと笑う

きみを胸に掻き抱けば

白日夢とてフイと消える


昨日から

意味をなくした指輪はずし

ゴメンねといいゴミに捨てる


離れてく

喪失の虚像ニセモノの

やさしい微笑がぼくを壊す


夢のよに

きえていった愛情は

いつか星になれるのか知ら


  *解、る?


解ってる

きみに俺は必要ないと

だからって離れるつもりないけど


きみがいない

それがどんな絶望か

きみにはきっと解らないんだ


手を放した

その瞬間から目まぐるしく

変質するきみがもう解らない


どうしても

君じゃなきゃダメなのに

なんで解ってくれないんだろう?


ねえ、あなた

すこし聞いてもいいかしら

どうして愛してるなどというの?


なぜかしら

あんなに一緒にいたのに

後ろ姿しか思い出せないの


ねえ、どうして

こんな出逢い方したのかしら

神さまはきっと残酷なのね


聞こえないと

解っているのにくり返し

「ここにいるよ」とつぶやいてみる


  *ねえ、もしも


ねえ、もしも

もっと違う出逢い方してたなら

私恋人になれてたかなぁ?


たとえばさ。

明日も明後日も会えるなら

どんなにいいかってほんと思うよ


きみがいつも

傍にいてくれたならば、と

仮定ばかりを思う日々です


ねえ、もしも

生まれ変わって出会えたら

あの子よりもあたしを選んで

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