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ハニコの悲劇:第12話 - すべてを代償にした解決(アーク・フィナーレ)

シークレット・アーク - ボリューム・フィナーレ - [閲覧注意: MA23+]


[ナレーター:あるフィナーレは爆発と共に訪れる。しかしこの物語の終幕は、激しい動揺のあとに、物事が恒久的な形へと落ち着いていく独特の静けさの中にあった。それは校長室での告白から3週間後の火曜日の朝。パンの焼ける匂い、鉛筆の削りかす、そして自分たちの場所を取り戻した二人が、隣り合って「ひどい芸術」を作り出す音と共にやってきた。これはハッピーエンドではない。解決した結末でもない。ただ「真実」の終わりだ。何かが失われ、何かが残される。そのどちらもが、もう一方を打ち消すことはない。すべてを代償にした解決へ。そして、その先に続く「それでも、ここにいる」という日々へ。]


第一部:3週間後

3月。2月の凍てつく寒さは和らいでいた。春にはまだ遠いが、冬の終わり特有の、灰色が薄くなり光が数分長く留まるような季節。

ジェレミー高校は、起きた出来事を「学校らしく」処理した。大半の生徒は表面的な事実しか知らず、事件は静かな事務的効率性をもってファイルに閉じられた。


全校集会。ジェレミー校長は、安全と生徒の健康について、外交的で慎重な言葉で語った。ハニコの名前は一度も出なかった。その必要はなかったからだ。

リユラは列に座り、この数ヶ月の重みを感じていた。解放感ではない。解決でもない。ただ、「これは現実に起きたことであり、今、対処されている」という公的な承認を、心のどこかで受け取っていた。


彼は、隣に座るミヤカとサブラシイを見た。ミヤカはジャケットのポケットに鉛筆を忍ばせ、サブラシイは左頬の火傷の痕を隠すことなく、まっすぐ前を向いている。それを見て、リユラの心に居座っていた冷たい塊が、ほんの少しだけ溶けた。30%ほど温かくなった感覚。彼はそれを口には出さなかったが、重い感情の記録として胸に刻んだ。


第二部:ヒーロー部

木曜日、午後3時半。

ヒーロー部室は完全に復元された。新しい5人目のメンバー――あの情熱的な歓迎に耐え抜いた1年生と、居場所を求めてやってきた2年生――を加え、部室は再び賑わいを取り戻していた。


サブラシイは描いていた。以前の、失うことを恐れるような慎重さは影を潜め、代わりに「描くことが自分そのものだ」という無鉄砲な情熱が戻っていた。新作『キャプテン・アノーイング』。今回の敵は影のような怪物だが、彼は武力ではなく「過剰なポジティブさ」でそれを圧倒している。


「効果音がストーリーより場所取ってるぞ」とリユラが指摘する。

「効果音こそがストーリーなんだよ!」とサブラシイが宣言する。

「ミヤカ、言ってやれ!」

「兄さんの言う通りよ」ミヤカは顔を上げずに応える。「効果音がストーリー。ストーリーが効果音。理解できないならそれまでね」

「理解できないな」とリユラ。

「「知ってる」」二人の声が重なった。


ミヤカが描いているのは、あの「影のヴィラン」ではなかった。それはもう、スケッチブックの前のページに閉じられ、終わったことだ。彼女がいま描いているのは、光の漏れる窓、開いたドア、そして中で好き勝手に過ごす「多すぎる人々」がいる家。

「これは僕たち?」サブラシイが聞く。

「みんなよ」ミヤカは答える。「ただの私たちじゃなくて、全員」


第三部:癒えるもの、癒えぬもの

鬱屈とした影は、劇的に消え去りはしなかった。

それはやってきた時と同じように、小さな変化の積み重ねで去っていった。毎朝デスクに置かれる、ジッパーの開いた筆箱。シリアルではなく、ちゃんと食べられる昼食。

ミヤカは週に2回、スクールカウンセラーに通い始めた。命令されたからではなく、自分から望んで。彼女はそこで、「製造された温もり」を失ったことへの悲しみを口にした。カウンセラーは「その悲しみは理にかなっている」とだけ言った。対象がどんな人間であれ、彼女が感じた温もりは本物だったのだと。


サブラシイの回復はより爆発的だったが、その底には「知性」が宿っていた。喜びが永遠ではないと知った者の、今この瞬間を選択する強さ。彼はまだ時折、物音に肩を震わせる。それでも、彼はキッチンに立ち、夕食を作る。毎日ではないが、少しずつ、その回数は増えていた。


第四部:リユラが背負うもの

リユラはこの件に関して、一度もジョークを言わなかった。

痛みや苦しみを笑いに変えてきた彼にとって、この1年は唯一の例外だった。キッチンで倒れていた親友の姿も、5週間空っぽだった隣の席も、ジョークにするにはあまりにも生々しく、あまりにも人間に近すぎた。

彼はそれを、不格好な形のまま背負い続けることに決めた。解決するのではなく、背負いながら生きていく。それが、彼なりの事件との向き合い方だった。


彼は部室のテーブルの端で、下手くそな落書きをした。

「何よそれ」ミヤカが覗き込む。

「キャプテン・アノーイングの相棒、『キャプテン・アデクエット(平凡)』だ。適当なジョークを言って、そこにいるだけで役に立つ」

「それ、お前じゃん」サブラシイが笑う。

「知ってるよ」

リユラは小さく、しかし本物の笑い声を上げた。


エピローグ:ポストクレジット

3つの情景が、同時に幕を閉じる。


1. キッチンの引き出し

深夜。サブラシイが一人で水を飲みにキッチンへ降りる。彼はかつて倒れていたその場所に立ち、暗い窓の外を眺める。引き出しを開ける。そこには一通の手紙がある。彼はそれを読まず、ただそこにあることを確認して、再び引き出しを閉めた。キッチンは、ただのキッチンに戻っていた。


2. スケッチブック

ミヤカの部屋。彼女は「家」の絵の左上に、窓から外を眺める小さな人物を書き加える。窓から差し込む朝の光。彼女はスケッチブックを閉じ、筆箱の口を開けたままにして電気を消した。壁の向こうから、兄のテレビの音が聞こえる。いつもの、確かな方向を示すコンパスの音。


3. 待合室

街の反対側。ハニコが施設の硬い椅子に座っている。膝の上のバッグには、あの4枚の「真実」が書き込まれた紙が入っている。

彼は飾ることのない、疲れ切った表情で窓の外の中庭を見つめている。

「『それでも、ここにいる』ことがすべてだ」というジェレミー校長の言葉を思い出す。

それが本当かどうか、彼にはまだわからない。答えは今夜出るものでもない。

しかし、彼は椅子に座っている。彼は、まだここにいる。


物語は、綺麗な解決も完全な癒やしも提示しない。

ただ、一人の少年が椅子に座り、そこに留まっている。

それが、すべての始まりになる唯一の場所だから。


外では街が無関心に動き続け、夜は朝へと向かっていく。

彼は椅子に座り、ただ、そこにいる。


[シークレット・アーク:ハニコの悲劇 - 完]


追記: 卒業まであと1年。この出来事は、以後彼らの間で二度と語られることはなかった。忘れたからでも、癒えたからでもない。ある種の傷跡は、夕食の席で語られる物語にしないことで、その尊厳が守られるからだ。

「それでも、ここにいる」

当時の彼らにとって、それは十分すぎるほどの勝利だった。

沈黙は、彼らがその後「普通の日常」を生き抜くために勝ち取った、聖域なのだ。


[次のアーク - 「大学編」へ続く]

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