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第41話 - 何も救えなかった演技

第4巻 - 第5話 - [閲覧注意: MA17+]


[ナレーター:拍手で終わる演技がある。沈黙で終わる演技がある。そして、ステージ上の血と、街を切り裂く救急車のサイレンで終わる演技がある。今日、カナシー・ジョウユウは最後の演技を行う。俳優としてではなく、ショーを終わらせる決意をした一人の人間として。今日、リユラは「助け」が間に合わなかった時の限界を知る。今日、ジサツが最初の本気の動きを見せ、心理戦が単なる比喩ではないことを証明する。今日、誰もが「人を救うことは時に不可能である」という事実、そしてその不可能性を抱えて生き延びることが最も困難な演技であることを学ぶ。すべてが壊れるエピソードへようこそ。「努力」だけでは足りない時へようこそ。]


第一部:終わりを告げる朝

火曜日。3年生の第3週。リユラは午前3時に悪夢で飛び起きた。ジサツの影が友人を飲み込み、自分の青いエネルギーがいくら願っても目覚めない夢。


[リユラの独白:昨夜、みんなにすべてを話した。能力のこと、父との真相、そして今の僕には彼らを守る「怒り」がないこと。ただ悲しくて、壊れていて、普通の人間としての執念しかない。それで足りるのか? そんなものが、いつか報われる時が来るのか?]


午前3時47分。スマホが震えた。


差出人不明: 「起きているな。悪夢か? 罪悪感か? 今日、僕は『助けることが無意味だ』と証明する。君の俳優の友人は、演者が諦めた時にショーが終わることを学ぶだろう。よく見ておけ、リユラ。救われたくない人間を救おうとするとどうなるか。 ——J.B.」


リユラは即座にジョウユウに電話したが、繋がらない。ミヤカに連絡し、30分以内にいつもの仲間がリユラのアパートに集まった。

「ジョウユウはどこだ?」

「学校の劇場だ」ミヤカが断言した。「あそこだけが、自分らしくいられる唯一の場所だって言ってた」


第二部:すべてが終わる劇場

午前4時23分。劇場のサイドドアが開いていた。まるで誘いか、あるいは罠のように。

ステージの上、一筋のスポットライトの下にジョウユウが座っていた。足元には小道具のように散らばった錠剤。そして、彼の手首からは血が流れていた。


「ジョウユウ!」リユラが駆け寄る。

「……もう疲れたんだ、リユラ」ジョウユウの声は、出血と薬のせいでろれつが回っていない。「死ねという何千ものメッセージを読みながら、平気なふりをして演じ続けるのは……もう限界だ」


劇場の暗闇から、ジサツ・バラが姿を現した。彼の足元から這い出す影が、劇場全体を心理的な重圧で包み込む。

「美しいだろう?」ジサツが囁く。「救おうとした結果がこれだ。リユラ、君の助けは単に『不可避な結末』を遅らせただけだ」


リユラはジョウユウの手首を必死に押さえた。「そんなの嘘だ! 君を叩いている奴らなんて、君のことを何も知らない!」

「でも、彼らが僕の『観客』なんだ」ジョウユウが力なく笑う。「観客に拒絶された役者に、何の価値がある?」


救急車が到着し、ジョウユウが運ばれていく。リユラの手は、救えなかった友人の血で真っ赤に染まっていた。


ジサツが近づき、影がリユラを飲み込もうとする。圧倒的な絶望感――「何もかも無駄だ」「死こそが唯一の解放だ」という思考が物理的な圧力となってリユラを押し潰す。

リユラは膝をついた。ヤカミラの死、父の罪、自分の無力……すべてが増幅されて襲いかかる。


しかし、突如として圧力が消えた。ジサツが震えながら立っていた。

「……できない」ジサツが呟いた。「君を本当に壊すことはできない。そんなことをすれば、僕を傷つけた奴らと同じになってしまう。……僕は、ヤカミラが君を命懸けで守った理由を、壊したくないんだ」


ジサツは崩れ落ちた。復讐にも、悪役になりきることにも失敗した、ただの壊れた少年として。

リユラは血に染まった手を差し出した。「……一緒に行こう。病院へ。復讐じゃなく、助けが必要なのは君も同じだ」


第三部:誓いと最悪の告白

3日後。ジョウユウは一命を取り留めた。リユラのアパートには仲間たち、そして退院したばかりのジサツが集まっていた。

彼らは誓い合った。この「能力」のこと、劇場の影のこと、すべてを墓場まで持っていくと。政府や世間に知られれば、彼らは実験体か兵器にされる。社会が彼らを「中二病の妄想」と片付けてくれるうちに、秘密を守らなければならない。


しかし、ジサツが震える声で告白を始めた。

「……謝らなきゃいけないことがある。劇場のことじゃない。もっと前のことだ」


ジサツは2週間前、まだリユラを憎んでいた頃、ある公的機関に連絡を入れていた。

「ジェレミー高校の汚職、隠蔽された殺人、レタスの罪……そして、リユラの父が関わっていた組織の真実。すべてを政府に通報した。証拠を添えて」


リユラの血の気が引いた。

「政府はこれまで、この学校の混沌を『関わると面倒な特殊ケース』として放置してきた。でも、僕が渡した証拠は無視できないレベルだ。彼らは動く。『特殊な調査員』を送り込むと言っていた」


「……いつ来るんだ?」

「もう動いているはずだ。普通の役人じゃない。生徒として紛れ込み、内側から解体する『未成年エージェント』だ」


その時、テレビのニュースがジェレミー高校の「特別調査」開始を報じた。


エピローグ:混沌の防衛戦

「僕のせいだ」ジサツが泣き崩れる。「君の居場所を奪おうとして、学校を、みんなを破滅に導いてしまった」


「いや」リユラが立ち上がった。その瞳には、能力を失っても消えない強い意志が宿っていた。「君も一緒に戦うんだ。この学校を守るために。政府が送り込んでくるエージェントから、僕たちの『家族』を守るんだ」


潜入してくる政府のエージェント対、壊れた生徒たちのfound family(疑似家族)。

権威対混沌。

そして、この嵐の中で、死んだはずの兄・ヤカミラの影が再び揺らめき始める。


[ナレーター:第4巻、終局へ。政府のエージェントがやってくる。ジェレミー高校は閉鎖の危機に。ジサツの犯した過ちが、彼自身が解決すべき最後の課題となる。そしてどこかで、ヤカミラの不可能な帰還が、誰も予想しない形で近づいている。次回:エージェントの来襲。生徒ではない生徒たち。リユラは学校を守り抜き、政府がなぜここまでこの場所に固執するのかという「真の理由」を暴かなければならない。真実の戦いが始まる。歴史が終わろうとしても、混沌は決して静かには死なない。最後まで見届けてくれ。]


TO BE CONTINUED...

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