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第40話 - 影が語る時

第4巻 - 第4話 - [閲覧注意: MA17+]


[ナレーター:忍耐強いから影で待つ者がいる。計算高いから待つ者がいる。そして、他人の苦しみを見ることが、自分自身の苦しみを和らげる唯一の手段だから待つ者がいる。今日、ジサツ・バラは待つのをやめる。今日、「死の薔薇スーサイド・ローズ」は影から踏み出し、リユラの人生に直接介入する。今日、最も危険な敵は「殺そうとする者」ではなく、「なぜ死が慈悲に感じられるかを理解させようとする者」だと誰もが知ることになる。幼少期の繋がりが現代の武器へと変わる瞬間へようこそ。影が語り出す時へようこそ。ジェレミー高校、最後の怪物の登場だ。]


第一部:終わりを感じさせた朝

月曜日。3年生の第2週目。リユラはまたもや不眠の夜を過ごし、疲弊しきって登校した。ヤカミラの夢、父のナイフ、救えなかった人々……。


[リユラの独白:ジョウユウはまだ入院中、パンは午前4時に一人でパンを焼き、オワリは兄の愛を必死に追いかけている。僕は自分を保つのが精一杯なのに、皆を助けようとしている。セラピーでは「他人より自分の癒やしを優先しろ」と言われる。でも、溺れている人がいるのに自分だけ助かるなんて、そんなの自分勝手じゃないか?]


今日の学校は何かが違っていた。嵐の前の気圧のような、不気味な静けさ。ミヤカが血相を変えてリユラに駆け寄ってきた。「これ、見たの?」


彼女が示したのは、午前3時に投稿された匿名のアカウントによる写真だった。そこには、自室の窓越しに撮られた、泣いているリユラの姿があった。


キャプション: 「兄を救えなかった生存者。内側で壊れながら、強いふりをしている彼を見て。自分が溺れながら、他人を助けようとする彼を。いつになったら敗北を認める? いつになったら、どうせ死ぬ人間に手を貸すのが無意味だと理解する? もうすぐだ。すぐにな。 ——S.R.」


「S.R.……スーサイド・ローズ(死の薔薇)」リユラは胃の底が凍りつくのを感じた。「ジサツ・バラだ。ヤカミラを知っていた、あの時の……」


第二部:無人の教室での対峙

昼休み。リユラは何者かに腕を掴まれ、空き教室に引きずり込まれた。

そこに立っていたのはジサツ・バラ。白い髪、死んだ瞳、そして彼の足元には、感情に反応して蠢く本物の「影」があった。


「こんにちは、リユラ・シコ」ジサツの声は、メロドラマのように大袈裟だが、同時に残酷なほど本気だった。「君の兄さんの話をしよう。なぜ、より優れた人間ヤカミラが死んで、君のような奴が生き残っているのかを」


ジサツはスマホで昔の写真を見せた。子供時代のヤカミラ、リユラ、そして孤独だったジサツ。

「彼は僕に優しかった。皆が僕を『変人』扱いした時、ヤカミラだけは僕を人間として見てくれた。なのに、君たちは引っ越して、僕はまた独りになった。そして君の家は崩壊し、ヤカミラは君を守って死んだ」


「それは僕のせいじゃない!」リユラが叫ぶ。

「本当にそうか?」ジサツが腕の傷を剥き出しにした。47回の自殺未遂の跡。「僕は47回本気で終わらせようとした。でも死ねなかった。不運な人生、強運な生存。宇宙の最悪なジョークだ」


「助けを求めてくれ、ジサツ。セラピーとか、サポートとか……」

「助け?」ジサツは嘲笑した。「そんなものはない。あるのは苦痛に満ちた終わりなき存在だけだ。でもね、一つだけ耐えられる方法がある。それは、君のような希望に満ちた奴らが、絶望の真実に気づき、崩れ落ちるのを見ることだ」


ジサツの足元から影が広がり、教室を侵食する。

「君はジョウユウを、パンを、オワリを救おうとしている。でも無駄だ。君がヤカミラを救えなかったように、彼らも救えない。僕は君の新しい友人たちを一人ずつ壊していく。希望が一時的なもので、絶望こそが永遠だと証明するために」


第三部:真実を武器に変える夜

夕方、リユラのアパート。友人たちが集まっていた。リユラはついに、これまで隠してきた「真実」を話し始めた。父との戦いで何が起きたのか。


「僕の家族には、特別な『能力』がある。江戸時代から続く血統のレガシーだ」

リユラは語った。自分の体に現れた青いエネルギー、宙に浮く黒い星、そして顔に張り付いた仮面のことを。


「父は言った。『巨大な絶望を、巨大な喜びの演技で隠し通せる者だけが、この力に到達できる』と。それは遺伝であり、心理的なトリガーでもあるんだ。父は赤、僕は青。でも今の僕にはその力は出せない。あの時のような純粋な怒りや絶望の矛盾がないから」


「じゃあ、ジサツはどうしてその力を持っているの? 彼は親戚じゃないのに」ミヤカが聞いた。


「たぶん……父が間違っていたんだ」リユラが答えた。「遺伝は関係ない。あの心理状態――死にたいほど苦しいのに生きる演技をしているという、極限の矛盾を抱えた者なら、誰でも覚醒する可能性があるんだ。ジサツはまさにその条件に合致している」


ジサツは、独りきりの suicide attempts(自殺未遂)の最中に、自力でその力を発現させたのだ。


「今の僕には、彼に対抗する能力はない。でも、戦わない。僕らはただ、人を助け続けるんだ。ジサツが『無意味だ』と言うものを、一つずつ繋ぎ止めていく」


リユラのスマホに通知が届く。退院したジョウユウからの感謝。パンからの、少しだけ前向きな言葉。オワリからの「また話したい」というメッセージ。


「彼は間違っている。助けることは、無意味じゃない」


エピローグ:影の揺らぎ

真夜中。ジサツは自室で影と語らっていた。リユラからの「ごめん」という返信を見つめて。

「君は間違っている、リユラ。助けるなんて無意味だ……証明してやる」


だが、ジサツの影は微かに揺れていた。

なぜなら、彼の心の一部――死を望みながら47回も生き延びてしまったその矛盾した心の一部は、リユラが正しいことを、自分も誰かに見つけてほしかったことを、痛いほど願っていたからだ。


[ナレーター:真実が明かされた。能力の正体は遺伝ではなく、極限の心理的矛盾による覚醒だった。リユラは力を失い、ジサツは強大な影を操る。しかし、能力を持たない人間の決意こそが、最も強い光になるかもしれない。次回、ジサツの最初の本格的な攻撃が始まる。影が襲いかかる。戦いは加速する。ついてきてくれ。]


TO BE CONTINUED...

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