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第21話 - リユラ vs カイジュ - 心が崩れる体育館

第2巻 - 第9話


[ナレーター:コントロールが「監獄」に変わる瞬間というものがある。感情を遮断することが、保護ではなく窒息に変わる時だ。今日、私たちはその監獄がひび割れるのを見る。何も感じないことを学んだ人間が、突然すべてを一度に感じてしまった時、何が起こるかを目撃する。警告:それは暴力的で、痛々しく、誰も無傷では終わらない。]


すべてが違和感に満ちた日

水曜日は、嵐の前の気圧のような空気を伴ってやってきた。天気の嵐ではない、人間的な嵐だ。緊張が空中に蓄積し、何かが壊れなければ収まらないような気配。

リユラは学校に足を踏み入れた瞬間、それを感じた。星型の黄色い瞳は、灰色の冬空を映し出している。紫色の髪はいつも以上に乱れ、曲がった赤いボウタイは、風変わりさではなく「降伏」を意味するような角度でぶら下がっていた。


[リユラの独白:何かがおかしい。空気が重い。ガーゼ越しに呼吸をしているような息苦しさ。宇宙そのものが、来るべき大災害を待って息を止めているみたいだ。]


ムザキ先生はホームルームに現れなかった。代わりの代用教員は、ジェレミー高校へ足を踏み入れたすべての人生の選択を後悔しているような、怯えた若者だった。

「ムザキ先生、どこだろう?」ミヤカがささやいた。「分からない」リユラは答えた。「でも、嫌な予感がする」。休憩時間にヤカミラがスマホを見せてくれた時、その予感は確信に変わった。昨夜の防犯カメラの映像だ。不鮮明だが、何かが映っていた。

カイジュ・ミヌワ。校門の外に立っている。去ろうとはしない。まるで人生を変える決断を下そうとしているかのように、何時間も校舎をじっと見つめていた。


「まだいる」ヤカミラが静かに言った。「校内のどこかに。気配を感じる」「科学的にそんな……」リユラが言いかける。

「知ってる」ヤカミラが遮った。「でも当たってるはずだ。トラウマはトラウマを認識する。あの子供は、きっかけを待っている歩く大惨事だ」。チャイムが鳴った。

4時間目:体育。体育館。もちろん、そうなる。


[ナレーター:ジェレミー高校のあらゆる主要な衝突は体育館で起きる。この建物における「トラウマ指定アリーナ」のようなものだ。入り口に看板を立てるべきだろう。「警告:感情崩壊の恐れあり。自己責任で入場すること」]


暴力の前の静寂

バスケットボールの練習という、単純で平和なはずの授業だった。しかしリユラが体育館に入ると、そこに彼がいた。カイジュ・ミヌワ。まるで自分自身の人生の観客であるかのように、観覧席に座っていた。まだあの別の学校の制服を着て、あの災厄を予感させる空虚な静けさを放っていた。


体育館の端と端で、二人の視線がぶつかった。カイジュはゆっくりと立ち上がった。攻撃的でも友好的でもない、計測されたステップで観覧席を降りてくる。

「リユラ・シコ」彼は言った。会話の声量と変わらないのに、体育館中に響く声。「親切がすべてを解決すると思っている子供。父を助けられると信じている生徒。僕も、みんなも救えると思っているんだろ」


10フィート(約3メートル)前で彼は止まった。

「観察していた。君は本物だ。認めてやる。君は実際に心を痛めている。演技じゃない。だから君は、信じられないほど勇敢か、さもなくば信じられないほど愚かだ」


「何のためにここに?」リユラは鼓動を抑えながら声を平坦に保った。「父親に会いたかったのなら、わざわざ――」

「会ったさ」カイジュが遮った。「今朝だ。学校の前で待ち伏せして、彼が出てくるところをね」

彼の空虚な瞳に、痛みの記憶のようなものが一瞬揺れた。「父は僕をまっすぐ見た。自分の息子をね。そして、何をしたと思う?」


沈黙。

「何も。5秒くらい見つめてから、目を逸らして歩き去った。僕が幽霊か何かのように。何年も前に存在を消して、父がついにそれを受け入れたかのように」

カイジュの拳が握りしめられる。

「その気持ち、分かるか? 認識されたと同時に切り捨てられる気分。自分の家族が、自分を『修復不可能な損失』と分類したと悟る気分が」

「カイジュ――」リユラが慎重に一歩踏み出す。


「来るな!」爆発するような叫びだった。リユラが彼から聞いた初めての、生身の感情だった。「近づくな。慰めるな。理解しようとするな。お前には理解できない。お前には友達も家族もいる。お前を見て怯えない人間がいるんだから」

彼の呼吸が荒く、浅くなっていく。


「僕は6年間、何も感じないように訓練してきた。何も必要とせず、誰にも期待しないように。自分を石に変えたんだ。冷たくて、硬くて、安全な石に。それなのにここに来て、父がまだ溺れているのを見て……埋めたはずのすべてが這い上がってきたんだ」


体育館は静まり返った。全員が悟った。暴力に見えるが、実は「崩壊」の真っ只中にある、恐ろしい何かが起きていることを。


制御が砕ける時

カイジュが動いた。殴るでも蹴るでもない。ただ、よろめくような一歩を踏み出し、次の瞬間、彼は叫んだ。怒りであり、悲嘆であり、6年分のトラウマの出口だった。


「クソッ!」近くのバスケットボールを掴み、衝撃的な力で壁に投げつけた。壁が凹む。

「こんなの感じるのは嫌なんだ! 何かを必要とするのも、全部嫌いだ!」

ボールがもう一つ。もう一つ。壁が震える。生徒たちは逃げ惑い、教師たちが駆け寄るが、この「暴力に見える崩壊」を止める方法を誰も知らなかった。


リユラは動かなかった。「カイジュ」恐怖をこらえ、声に力を込めた。「それを感じてもいいんだ。怒ってもいい――」

「よくない!」カイジュは折り畳み式の金属椅子を掴み上げ、体育館の床に叩きつけた。雷のような轟音。「何もよくない! 父は壊れてる! 僕も壊れてる! 世界は回り続けてるけど、こんなの何の意味があるんだ!」


椅子をもう一つ掴み、備品室へ向ける。「カイジュ、やめろ――」リユラが進み出た。最悪のタイミングだった。

カイジュが回転し、椅子がリユラの頭めがけて振り下ろされた。殺傷目的ではないと、リユラは瞬時に理解した。距離を強いるための威嚇だ。


リユラはしゃがみ込んだ。椅子の風切り音が耳をかすめる。「近づくな!」カイジュが叫ぶ。「全員、近寄るな! 助けなんていらない! 修復なんていらない!」

彼の声が完全に枯れた。「……父に見てほしいんじゃない。父に『僕をどう見てほしいか』を分かってほしいだけだ」


彼は椅子を持ったまま膝をついた。喉の奥から絞り出されるような嗚咽が響く。

「ただ、選んでほしかった。一度だけでいい。死んだ生徒じゃなくて、生きている息子を選んでほしかった。過去じゃなくて、今を選んでほしかった。痛みを伴っても、向き合おうと努力する方を選んでほしかったんだ」


彼はリユラを見上げた。その目はもう空虚ではなかった。感情が溢れ出し、溺れていた。

「でも父はできない。永遠にできないんだ。そんなの、もう大丈夫なフリをするのは疲れたよ。強くいるのも、疲れたんだ……」


その時、体育館のドアが勢いよく開いた。

ムザキが立っていた。息を荒くして。シャツは乱れ、ネクタイは消え、その目には恐怖と希望の両方が宿っていた。

「カイジュ」名前だけを呼んだ。


父と息子は、破壊された体育館の中で見つめ合った。6年間の距離と痛み、言えなかった憤りが、その一瞬の眼差しの中にあった。


[ナレーター:これだ。すべてが癒えるか、永遠に壊れるかの分岐点。二つの漂流者が、ようやく手が届く距離にいる。勇敢に手を伸ばすことができるなら。]


起こり得なかった会話

「父さん」カイジュの言葉は壊れていた。「今朝、僕を見たね。僕を見て……」

「ああ」ムザキが荒い声で遮った。「見た。だが……何と言えばいいか分からなかった。何年もお前を失望させてきた後で、どう近づけばいいのか」

彼は一歩踏み出した。「お前を見た時、頭をよぎったのは『お前は僕がいない方が幸せだ』ということだけだった。僕のトラウマから自由な人生を築いたお前を、再び汚す権利などないと思っていたんだ」


「そんなこと、父さんが決めるな!」カイジュが立ち上がり、椅子が音を立てて転がった。「父さんの罪悪感で僕の人生を選ぶな! ここに来たのは僕だ! 父さんを見ようと決めたのは僕なのに、父さんは……僕をゴミのように通り過ぎたんだ!」


「お前はゴミじゃない」ムザキの声が変わった。より強く、実在感が伴った。「お前は僕の息子だ。僕が自分の悲しみに埋もれて親として機能できず、苦しませた息子だ。お前を部屋から追い出し、トラブルの中でも支えの手を差し伸べないような親に……一人で罪悪感を背負い込ませてきた、最低な親なんだ」


彼が近づく。

「どう償えばいいのか分からない。お前が望んだ父親にはなれない。だが……努力はさせてほしい。もし許されるなら、手遅れでないのなら」

カイジュが笑った。苦々しく、鋭い笑いだ。「努力? 6年経ってから? 僕が『父さんなんて要らない』と自分に言い聞かせることを学んだ後に?」


「彼らは知らない他人じゃない」ムザキが静かに言った。「救えなかった生徒たちだ。僕が死なせた……」

「父さんは何も殺してない!」カイジュが叫んだ。「バスの運転手が心臓発作を起こしただけだ! 事故だったんだ! 父さんの唯一の罪は、生き残ったことと、その生存で周囲を破壊し続けたことだけだ!」


言葉が空中で呪いと真実のように交錯した。ムザキは、物理的に殴られたかのようにふらついた。「……そんな風に考えたことはなかった」と彼はささやいた。

「当然だ」カイジュの声が危険なトーンに変わる。「そう認めることは、自分が『溺れることを選んだ』と認めることになるからだ。自分の罪悪感を、愛する家族より優先したと認めることになるからな……」


静寂が支配した。すると、ムザキは予想外のことをした。

その場に座り込んだのだ。体育館の床に。

「お前の言う通りだ」彼は言った。「すべて、お前の言う通りだ。罪悪感が罰だと信じ込んでいた。そしてその過程で、お前をも罰したんだ。僕の自己破壊の巻き添えにした」


彼はようやく、ただ見ているのではなく、自分の息子を「見た」。

「この6年間を取り戻すことはできない。盗んだ子供時代を返すこともできない。だが……今からそばにいることはできる。もし望むなら。もし、まだ僕を見捨てていないのなら」


カイジュは凍りついた。構築したはずの防壁が、リアルタイムで崩れていく。「信じられるか分からない」と小さな声で言った。「また僕を壊さずに受け入れられるのか、分からない」

「当然だ」ムザキが応える。「簡単に信じるな。僕はまだ、信頼を得ていない」


彼はゆっくりと立ち上がった。二人の傷ついた人間が、体育館の真ん中で立っている。

「もしかしたら……」ムザキが恐る恐る言った。「とにかく努力はできるかもしれない。小さな一歩を。期待はせず、ただ……何か残っていないかを探すために」

カイジュの顔が歪んだ。希望、恐怖、怒り、憧れが混ざり合う。「父さんが嫌いだ」と彼は言った。「ああ」とムザキ。「僕もだ」「父さんがまだ必要な自分が嫌いだ」「僕もだ」「今、泣いている自分が嫌いだ」「構わない」


そしてカイジュは完全に崩れた。暴力的にではなく。積み上げてきたものが重すぎて、手放すしかなかったかのように。

ムザキが前に出て、息子を抱き止めた。二人は体育館の床で、漂流者が流木にしがみつくように抱き合って泣いた。

「すまない」ムザキは繰り返し言った。「全部、すまない。お前を捨てて、幽霊を選んで……」

「黙って」カイジュが涙の中で言った。「黙って……ただ、そばにいて。それだけでいいから。お願いだ、そこにいて」


ムザキはそうした。リユラは涙を流しながらそれを見ていた。心臓を締め付けられるような、痛々しいほど映画的な光景だった。


[リユラの独白:これがゆっくりとした癒やしの姿だ。完璧でも、きれいでもない。成功するかどうかも分からない。ただ二人の壊れた人間が、壊れたまま同じ場所にいることを選ぶこと。安全よりも可能性を選ぶこと。痛みを伴うかもしれないけれど、努力すること。]


教師たちが生徒を誘導し、体育館から人が去っていく。しかしリユラたちは残った。彼らには、誰かの勇気を証言することが必要だと分かっていたからだ。


努力の余波

20分後、二人は観覧席に座っていた。もはや泣いてはいなかったが、手を離せば再び失ってしまうかのように、しっかりと繋いでいた。

「癒えたわけじゃない」ムザキが静かに言った。「まだ壊れているし、12人の名前を背負っている」

「知ってる」カイジュが応える。「僕も、いい息子になれるか約束できない。また失敗するかもしれない」

「それも知ってる」

「なら、どうする?」カイジュは繋いだ手を見つめた。

「努力する」最後にはそう言った。「失敗するかもしれないと分かっていても。諦める方がずっと疲れるからだ」


彼は父親を見た。その目は、もはや空虚ではなかった。用心深いが、確かな希望が宿っていた。「小さな一歩だ」カイジュは繰り返した。「期待はしない。ただ……努力するだけ」

ムザキは頷き、息子を握りしめた。


二人の間には、初めて「不在」ではない沈黙が流れていた。「存在」の沈黙だ。恐怖を抱えながら、共にいることを選んだ人々の静寂。

リユラが近づいた。陽気なホストとしての姿は消え、もっと静かで誠実な何かがそこにあった。「二人とも……」言葉に詰まる。

「いや」二人が同時に言った。そして顔を見合わせ、かすかに笑った。

「だが、ここにいる」ムザキが付け加えた。「それだけでも、何かだ」「それがすべてだよ」カイジュが優しく訂正した。


おそらく、そうだったのだろう。


[ナレーター:私たちは、癒やしの暫定的な始まりを目撃した。トラウマを消し去るのではなく、持ち方を変えるという癒やし。ハッピーエンドではない。だが、誠実な終わりだ。時には、誠実さこそがすべてなのだ。第2巻の感情的なクライマックスは到達した。次は、再構築という遅く困難な作業だ。もし、再構築が可能ならばの話だが。]


安全でなくなった家

帰路はいつもより長く感じられた。

リユラは歩を重く引きずっていた。紫色の髪は疲労で力なく垂れ、星型のヘアクリップも外れかけていた。赤いボウタイは、降伏の白旗のようにポケットからぶら下がっていた。


[リユラの独白:今日は重かった。カイジュの崩壊、ムザキの涙。縫い合わせようとする二人を見て……僕も良いことをしたはずなのに。でも、空っぽだ。骨まで痛いほど疲れた。]


冬の夕暮れが街を包み込む。街灯が一つずつ灯り、空が冷たい紫灰色に染まっていく。

通りの突き当たりに、我が家が見えた。そして、車道のそこには見覚えのある黒い車があった。高級で、入念に手入れされた車。


父の車だ。リユラは立ち止まった。全身が硬直した。

[リユラの独白:ダメだ。今日だけは……。今日だけは、勘弁してくれ。]

拳を握りしめる。爪が手のひらに食い込んだ。一瞬だけ、逃げようかと思った。背を向けて、二度と戻らない……。

しかし、そうすれば母が一人になる。リユラはそんなことは絶対にしない。彼は一歩踏み出した。一歩一歩が、刑執行台へ向かう足取りのようだった。


子供時代を殺した父

ドアを開ける前に、父が現れた。

高身長で、月収以上のスーツを着こなしている。髪は完璧に整えられている。その目は、事情を知らない人間には温和に見えるだろう。だがリユラは知っている。その目が冬の霜よりも速く冷たくなることを。


「リユラ」父の声は滑らかで訓練されていた。「おかえり、息子よ」

リユラは何も言わない。

陽気な仮面、明るい楽天主義、くだらないジョーク。すべてが煙のように消え去った。星型の瞳は暗く硬くなった。表情は、死んだように平坦になった。

リユラ・シコから笑顔を奪える唯一の人間。「挨拶もできないのか?」父の声にトゲが混じる。引っ越しの荷物を抱えていた。

リユラは無言で彼の横を通り抜けた。肩がわざと父の腕を強打する。


中では、母がキッチンに立っていた。表情は作られているが、ティーカップを並べる手が震えている。「ごめんなさい、リユラ。ごめんなさい」と言っているような目だった。

父が中に入り、ドアを閉める。「パチン」という音は、罠が閉まる音のように響いた。

「失礼だな」父の声から偽りの温かさが消えた。「家族に会いに来たというのに……」

「あんたは家族じゃない」リユラは静かに言った。その声には、彼らしさを構成していたすべての要素が剥がれ落ちていた。「あんたは、まだ逮捕されていないだけの人間だ」

父の顎が引き締まる。「あれは事故だ。調査され、無罪となった。裁判所が――」

「金を払った裁判所だろ」リユラが遮った。「公正なんて言葉を使うな。あれは金だ。あんたが得意なのは、金で責任を買い叩くことだけだ」


[フラッシュバック - 夢のような歪んだ光景]

駐車場。真昼の太陽。車で買い物をする親たちの近くで遊ぶ5歳くらいの子供。速すぎる黒い車。衝撃の sickening な音。

アスファルトに叩きつけられる小さな体。7歳のリユラ。黙って震える紫色の髪。叫ぶ母。運転席から降りる父。耳にはすでにスマホ。すでに工作をしている。すでに否定の機械を組み立てている。

「事故だ。子供が飛び出したんだ。自分にはどうしようもなかった。ただの事故だ」。しかし、リユラは見ていた。スマホを見ながら運転する父を。脇見を。スピードを。

子供の体が冷たくなる前に、嘘が構築されていくのを。子供の母が到着し、悲鳴が世界を引き裂くのを。

父は、落ち着き払って弁護士と話していた。死んだ息子の傍らで崩れ落ちる母親の横で。


[フラッシュバック終了]


「二度と――」父が制御された怒りで踏み出した。しかしリユラはすでに階段へ向かっていた。自分の部屋へ。自分のDNAを盗人服のように着こなすこの殺人者から逃れるために。


「リユラ!」父が怒鳴った。「話を聞け! 父に背を向けるな!」

リユラは止まらない。振り返らない。無視する。「特別だとでも思っているのか?! あの愚かな友人たちといると自分が立派になったとでも?! お前は『無』だ! 人形遊びをしているだけの奇怪なガキが!」


部屋のドアに手が届く。「あの子供も『無』だったよ! ただの邪魔者だ!」

リユラはドアを叩き閉めた。フレームが震えるほどの衝撃で。

鍵をかける。


父の激昂がドア越しに聞こえる。母の声がそれを切り裂く。「出ていって。今すぐ」

足音。ドアが開く。閉まる。静寂。


崩壊

リユラはドアを滑り落ちた。床に座り込み、膝を抱え、自分自身を繋ぎ止めようとするかのように腕を巻き付ける。

涙が溢れた。

優しい涙ではない。さっきまでの激しい嗚咽ですらない。もっと静かで、ずっと悪いもの。無限に流れ落ちる涙と、肺を傷つけるようなヒックという嗚咽。


父のことを考える。優しさを衣装のようにまとい、過去などなかったかのように振る舞う人物。血と沈黙にまみれた、リユラだけが覚えている過去。

公の場では、リユラは演じ続けた。「従順な息子」。正常な家族のイメージ。彼はいつでもその幻想を破壊できた。証拠はある。機会もあった。あの「愚か者」を刑務所に送れたはずだ。しかし、彼はしなかった。できないからではない。そんなことをすれば、周囲のすべてが崩壊するからだ。偽り続ける方が、真実と向き合うよりも簡単だったからだ。父は殺人者であり、そして、どんな罪も隠蔽するほど賢い人間なのだから。


父の近くにいるだけで、リユラは吐き気を感じた。公の場での演技を終え、家に帰ると、リユラはゴミ箱やどこか人目のつかない場所で吐いた。肉体が、脳が強いられた嘘を拒絶したのだ。

内側では、火山のように憎悪がたぎっていた。この男が自分の父でさえなければいいと、心底願うほどの憎悪。

しかし、表現できない。叫べない。暴露できない。父はあまりに注意深く、賢く、残酷だ。金と法の抜け穴を盾にして、法の網をすり抜ける。リユラは理解していた。法廷で真実をすべて話しても、この男には勝てないということを。


犯罪者は賢く、事態は邪悪だ。リユラは囚われている。軽蔑する殺人者と同居し、横で笑うことを強いられ、埋もれることを拒む過去を抱えながら。


[リユラの独白:カイジュを助けた。ムザキを助けた。二人の壊れた人間をくっつけた。なのに僕はここだ。部屋の中。隠れている。自分の家族を直せないからだ。人間を殺したことに後悔なんてしない父を変えられないからだ。怖くて離婚できない母を助けられないからだ。僕は――僕は――]


手が震える。ドアの外で、母の足音が止まった。木枠に手が触れる。壊れそうな声。「リユラ?……ごめんなさい。話をするだけだと言われたの。あんなふうになるなんて……私が――」

「大丈夫だよ、母さん」リユラは虚ろな声で言った。「もう……寝てよ。お願いだから」

母の足音が遠ざかる。リユラは膝をさらに強く抱きしめ、部屋の闇に向かってささやいた。


「どうして、母さん」声が震える。「どうして、この殺人者とまた一緒に住ませるの?」

答えのない問い。二度と良い答えは返ってこない問い。


窓の外では、冬の夜が静寂に包まれていた。星は雲に隠れ、街灯が長く冷たい影を落とす。

リユラ・シコ――明るいホスト、楽天的な友人、鶏の仮面を被り、トラウマを抱えながらも喜びを選んだ少年は、ただ一人、暗闇で座り込んでいた。誰にも共有できない重荷を抱えて。


あまりに深い痛みがある。あまりに暗い歴史がある。そして、口に出すにはあまりに恐ろしい真実があるのだ。


[暗転] - [リユラの静かな嗚咽が3秒間続く] - [静寂] - TO BE CONTINUED...

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