第20話 - ムザキの影 - 呼吸を止めた息子
第2巻 - 第8話
[ナレーター:すべての悲劇には波紋がある。すべての壊れた人間は、その周囲に自身の傷の破片をまき散らす。今日、私たちはその破片の一つと出会う。人の形をしているが、武器のように痛みを携え、破壊こそが唯一意味を持つ言語だと確信している男。ここから物語は「悲しい」という段階を超え、「危険」な領域へと足を踏み入れる。]
体育館の影
月曜の夜、ほとんどの生徒が帰宅した後、リユラは居残りをして片付けを手伝っていた。スバラシイの最新の「究極奥義の披露」によって、窓が3枚割れ、バスケットゴールに天井タイルが突き刺さるという事態になっていたからだ。
「どうしてこうなるんだ?」リユラはガラス片を塵取りに掃き入れながらぶつぶつ言った。紫色の髪は乱れ、黄色い星のヘアクリップはかろうじて留まっている状態で、曲がった赤いボウタイは埃だらけだった。
体育館は、彼の掃除の音――ほうきの柔らかな音、ガラス片の鳴る音、そして建物が夜の静寂へと沈んでいく遠い唸り声――以外は静まり返っていた。
その時、聞いた。足音。ゆっくりとした、慎重な、どこか違和感のある足音。リユラが振り返ると、見たこともない人物が体育館の入り口に立っていた。
長身で、6フィート(約180cm)ほどだろうか。スポーツで鍛えたのか、それとも食べることを忘れて痩せ細ったのか、引き締まった体格。日光をほとんど浴びていないかのような青白い肌。黒髪が、感情を遮断することを覚えた者のように、注意深く無表情な顔にかかっていた。
だが、その目。その瞳を見た瞬間、リユラは息を呑んだ。
「空っぽのガラス」。そうとしか表現できない目だった。悲しみでもなく、怒りでもない。ただ……空虚。ひどいことが起きたのに、誰も後片付けをしようとしない廃屋の窓を覗き込んでいるようだった。
その男は、ジェレミー高校とは違う制服――ダークブルー――を着ており、注意深く動かない。動きは注目を集め、注目は痛みをもたらすと知っている者の静けさだった。
「あの」リユラはいつもの明るさを装って言った。「何かお手伝いしましょうか? 学校は閉まっています。誰かを探しているなら……」
「ヤカズィク・ムザキを探している」その男は言った。声は柔らかいが、どこか脅迫的で、割れたガラスをベルベットで包んだような響きがあった。リユラはほうきの柄を握り締めた。
「先生ですね。以前の生徒さんか……」
「息子だ」男の言葉は、静かな水面に投げ込まれた石のように響いた。
「息子?」リユラは瞬きをした。「ムザキ先生に息子さんが?」
「『いた』だ」男は訂正した。「過去形だ。彼が父親であることをやめたのは、まともに機能することをやめたのと同じ時期だ。噂が本当かどうか確かめに来ただけだ。彼が――」少し間をおいて、「――何者であるにもかかわらず、まだ教師を続けているのかをね。汚らわしい殺人者が」
「殺人者」という言葉を、まるで壊れた家電を論じるかのように無機質に言い放つその態度に、リユラの心に冷たいものが宿った。
「名前は?」リユラは慎重に聞いた。
男は答えるべきか思案するように少し首を傾げた。「カイジュ」と最後には言った。「カイジュ・ミヌワ。母が去った後、母の姓を名乗った。失敗作との縁を切るにはちょうどよかった」
[リユラの独白:まずい。危険信号だらけだ。父親をモノのように語る口調。目の奥の空虚さ。意志の力だけで暴力を抑え込んでいるかのような、あの張り詰めた静けさ。この人物は危険だ。目に見える暴力性ではなく、気づかぬうちに忍び寄り、すべてを破壊し尽くす種類の危険だ。]
「なぜここへ?」リユラはほうきを置き、それとなくカイジュと学校の奥の間に立ち塞がった。
「観察するためだ」カイジュは単純に答えた。「彼がまだ人間を演じ続けているのかを確かめるために。あの12人の死が、実際には何か意味を持っていたというふりを、まだ続けているのかを確認しにね」彼の空虚な目がリユラを射抜いた。
「君は彼の生徒か。教えてくれ、彼はまともに教えているのか? ちゃんと機能しているのか? それとも、教室の前に立って、心の中では焼け死ぬ子供たちを反芻しながら、ただの動きを繰り返しているだけか? 彼らの死には意味があった。僕の人生を地獄に変え、僕の家族全体に影響を及ぼした意味がね」
その言葉は残酷なほど理性的だった。「彼は……」リユラは言葉を探した。「彼は苦しんでいます。でも、努力しています。毎日学校に来て……」
「来ることは『生きる』こととは違う」カイジュが遮った。「ただの緩やかな死だ。信じてくれ。何年もそれを見てきた。彼は、躊躇なく人を殺しかねないタイプの人間だと分かる。だから彼の人生は地獄で当然なんだ」
彼が一歩踏み出した。リユラは動かなかったが、本能が後ずさりしろと叫んでいた。
「事故の後」カイジュが続けた。声はまだ柔らかく、それゆえに恐ろしかった。「父は人であることをやめた。悲しみの機械になった。起きて、泣いて、壁を見つめる。いない誰かに謝る。その繰り返し。何年も何年も。あの愚かな死んだ生徒たちのために」
彼の拳がわずかに震えた。リユラが初めて見た、彼の中の生々しい動きだった。
「母は努力した。本当に、必死だった。セラピー、投薬、サポートグループ。良い妻であろうとした。でも何をやっても無駄だった。彼は沈み続けた。そして僕たちは、彼と一緒に沈められたんだ。父のトラウマを中心に自分たちの人生を回すことを強要され、僕たちのニーズは見えないものにされた」
カイジュの声にトゲが混じる。
「事故が起きた時、僕は11歳だった。11歳で父を失ったんだ。死によってではなく――死の方がまだマシだった。罪悪感に、幽霊に、父が寝言で呟く12人の名前に、僕は父を奪われたんだ」
「それはさぞ……」リユラが言いかけた。「やめろ」カイジュは鋭く言った。「共感するな。理解しようとするな。理解なんて欲しくない。理解は何一つ変えない」
彼が近づくと、空虚な外見の下にある、注意深く制御された怒りがリユラにも分かった。まるで凍った湖の底で燃え盛る炎のように。
「母はやがて去った。死体と結婚しているようなものには耐えられなかった。僕は母について行った。苗字を変え、やり直した。父の人生の一部だったことなどなかったかのように振る舞った」
彼の目が細められた。
「だが、トラウマからは逃げられない。それはついてくる。感染する。DNAの一部になる。僕は父が自分自身を破壊するのを見て育った。感情は危険だと学んだ。関心を持つことは崩壊につながるのだと。生き残るためには、何も感じないのが一番だと学んだ」
カイジュの手がポケットへ動いた。リユラは身構えたが、彼が取り出したのはスマートフォンだけだった。
「3日間、この学校を観察している」カイジュは画面の写真をリユラに見せた。ムザキが登校する姿、帰る姿、誰もいない教室で座り込んでいる姿。すべて遠くから望遠レンズで捉えたものだ。
「データを収集し、パターンを観察している。彼が本当に回復しようとしているのか、それとも崩壊の時を待っているだけなのかを予測するためにね」
「それは……」リユラは声を硬くした。「ストーカー行為だ。ひどすぎる。そんなこと――」
「何が『いけない』?」カイジュの表情は変わらない。「自分の父親を観察してはいけないのか? 彼が再び失敗するタイミングを予測して、巻き込まれないように自己防衛してはいけないのか?」
彼はスマホをポケットにしまった。
「君は親切なやつだな。前向きでフレンドリーでいれば人を助けられると信じているようなタイプだ。父も君を気に入っているんだろう。君の存在が生きる理由にでもなればいいと思っているのか? 父が家族を地獄に突き落としておいて? 今や、そのトラウマは僕と母にまで及び、僕は今、その間抜けが死ぬところを見たいんだ」
カイジュがさらに一歩詰め寄った。目の周りの疲れの筋がリユラにも見えた。
「一つ理解しておくべきことがある。父は修復不可能なほど壊れている。君が何をしようと、君がどんな光を差し出そうと、無駄だ。彼はブラックホールなんだ。君の親切をすべて吸収し、何一つ返さない。君が彼と同じくらい空っぽになるまで、奪い尽くすだけだ」
「そんなことは……」リユラが抗議する。
「本当だ」カイジュは冷たく言い放った。「僕は知っている。何年も試したからだ。完璧な息子になろうとした。良い成績を取り、問題を起こさず、寄り添い続けた。その結果がどうなったと思う?」
彼の声が、囁きに近いものまで落ちた。
「幽霊の機嫌を損ねないように爪先立ちで過ごす子供時代だ。死んだ生徒たちに勝てなかった母。そして僕自身のプロフィールには『情緒的解離』、『信頼障害』、『トリガー次第で暴力の可能性』という言葉が刻まれた」
最後の一言が、脅迫のように空中に漂った。
「誰かを傷つけるつもりはない」カイジュは説明した。その口調が、そうではないと示唆しているにもかかわらず。「ただ観察しているだけだ。記録しているだけだ。僕が縁を切った決断が正しかったと、自分自身に証明するために」
彼は振り返り、去ろうとしてドアの前で立ち止まった。「父に、僕がいたと伝えてくれ。まあ、どちらでもいいが。何一つ変わらないだろうからな。父が僕を息子として見るのをやめてから何年も経つ。僕は彼の失敗リストの一つに過ぎない。なのになぜか、感情がこの愚か者を放っておけないんだ。ただ、さっさと死んで墓場に腐り落ちてくれればいい」
「待ってくれ!」リユラが呼び止めたが、カイジュはすでにいなかった。暗闇の中に溶け込む煙のように、冬の夜へと消えていった。リユラは誰もいない体育館に一人残され、鼓動は激しく、頭の中は問いと懸念で渦巻いていた。誰かのトラウマが、注意深く制御された危険という形で顕現するのを見るのは、あまりに恐ろしいことだった。
[ナレーター:これがカイジュ・ミヌワの登場である。生存戦略として感情を閉ざすことを学び、痛みを計算された拒絶へと武器化し、父親のトラウマを毒のように継承した息子。彼は悪人ではない。正確には、もっと複雑だ。空っぽになることこそが安全であると確信してしまった被害者なのだ。]
すべてを変えた報告
リユラは職員室にムザキを見つけた。冷めたコーヒーカップを、まるでそこに答えがあるかのように見つめていた。
「先生」リユラは慎重に切り出した。「誰かが見えていました。あなたを探しに」
ムザキの手がカップの周りで震えた。
「誰だ?」
「カイジュと言いました。カイジュ・ミヌワ。彼は……」リユラは躊躇した。どう伝えればいいのか分からない。「彼は、あなたの息子だと言っていました」
コーヒーカップがムザキの手から滑り落ちた。
静かな部屋にはありえないほどの衝撃音を立てて床に叩きつけられ、茶色の液体が溢れた。リノリウムの床に広がるそれは、まるでこぼれ落ちた思考そのもののようだった。
ムザキはそれを拭おうともしなかった。ただ、何事もなかったかのように。いつもの何倍も空ろな目で、広がるシミを見つめていた。
「カイジュ……」彼は囁いた。「彼がここに? なぜ?」
「あなたを観察していると言っていました……あなたがまだ、壊れたままであることを確認するために」
ムザキは笑った。恐ろしい音だった。鋭く、壊れていて、ユーモアの欠片もない。
「壊れたまま……。そうとも、私は永遠に壊れたままだ。そして彼は……」彼の声が震える。「誰よりもそれを知っているはずだ。僕が壊れるのを見ていた。教師として失敗したことを処理しようとする一方で、父親としても失敗したのを見ていた。生きている息子より、死んだ子供たちを選んだ僕を見ていたんだ」
彼は、罪悪感の上に罪悪感が積み重なったような目でリユラを見上げた。
「彼が去ったことは責めない。母の姓を名乗り、縁を切ったこと。それは健全で、賢明な選択だ。私は毒だった。僕が触れるものすべてが灰になる」
「そんなことは……」リユラが試みた。
「いいや」ムザキが遮った。「君には分からない。事故の後、僕は親として機能できなかった。カイジュを見ると、死んだ12人が重なって見えたんだ。彼は11歳で、生きていて、成長していた。僕は彼が生きているという事実に、嫉妬したんだ」
その告白は、嘔吐するように吐き出された。ひどく、そして必要なものだった。
「親としてこれ以上の失敗があるか? 関係を壊すとはこのことだ」彼はゆっくり立ち上がり、こぼれたコーヒーを視界に入れないようにして歩いた。
「もしカイジュがここにいるのなら、それは和解のためではない。僕がまだ生徒を救えず、良い父親にもなれない、あの壊れた失敗作であるという答え合わせのためだ」
ムザキはドアへと歩いた。その動きは機械的だった。
「彼を助けようとするな、リユラ。僕たちの関係を直そうとするな。壊れたままのほうがいいこともある。永久的な距離もあるんだ。分かったな、子供」
彼は去った。リユラは職員室で、こぼれたコーヒーを見つめながら、積み重なったトラウマの重みを感じていた。親たち、その子供たち、そして今、リユラ自身の心にも、双方に対する二次的な悲しみが溢れていた。
[リユラの独白:思ったよりずっとひどい。これは一人だけの悲劇じゃない。世代を超えたトラウマなんだ。癒えない父親が、感情を閉ざし孤立するパターンを息子に感染させている。僕には……二人を助ける方法なんて分からない。ここまで深く刻まれた傷に対して、果たして助けなんてありうるのかすら分からない。]
決して起こらなかった対決
その夜、リユラは友人を説得し、カイジュを探し回った。校内の至る所、人目につかずに観察できるあらゆる場所をチェックした。最初に見つけたのはヤカミラだった。正門の外のベンチに座り、まるで標本を研究する科学者のように校舎を眺めている姿だった。
「カイジュ・ミヌワ」ヤカミラが言った。彼の頭脳はすでに脅威レベルを分析していた。「ヤカズィク・ムザキの息子。約17歳。情緒的解離、トラウマ反応、潜在的な暴力観念の兆候あり」
カイジュがその「空虚なガラスの瞳」を向けた。「リユラの兄弟か。彼を殺そうとした男。完璧主義的な孤立から何年も経て、人間になることを学んでいる男だな」
ヤカミラの表情は変わらなかったが、淡い灰色の目に一瞬だけ何かが光った。
「なぜそれを……」
「リサーチした」カイジュは単純に言った。「ここに来る前、ジェレミー高校のすべてを調べた。生徒も、パターンも、機能しているふりをする壊れた人間の集まりであることも」彼はゆっくり立ち上がった。
「君たちは皆同じだ。不幸は仲間を欲しがるから、トラウマの生存者同士でしがみついている。共有された痛みが絆を作ると信じて。だが実際には、傷を感染させているだけだ」
グループの全員が到着した。リユラ、ミヤカ、スバラシイ、シューヘッド、ヘダヤミ。カイジュを囲むように緩やかな輪を作った。敵対的ではないが、そこに「存在」した。「なぜ本当にここへ?」リユラが聞いた。「観察だけじゃない。何か欲しいんだろう」
カイジュは長い間沈黙していた。
「彼を救う価値があるのか知りたいんだ」最後には言った。声は冬の風に消えそうなくらい小さかった。「父をね。事故の前の彼……罪悪感や、生きている家族より幽霊を選んだ男になる前の彼が、少しでも残っているのかを知りたい」
彼の拳が握りしめられる。
「もし残っているなら――寝る前に本を読んでくれて、星座を教えてくれて、くだらない冗談で笑ってくれたあの人が少しでもいるなら――僕が去ったのは間違いだったのかもしれない。父が僕を一番必要としていた時に見捨てたのかもしれない」
その瞳の空虚さがわずかにひび割れ、生の感情が覗いた。
「だが、もし残っていないなら――彼がただ死んだように動いているだけの抜け殻なら――その確認が必要なんだ。立ち去ることが慈悲であって、残酷さではなかったという確信が」
「つまり、彼のためじゃなく自分のために?」ミヤカが静かに言った。「そうね」
「ああ」カイジュは恥じることなく認めた。「自分のためだ。彼のトラウマは6年間僕の人生を定義してきた。もう、それを背負うのは終わりにしたいんだ」
リユラが一歩進み出た。
「その答えが『両方』だったら?」リユラは言った。「壊れているけれど、救い出す価値のある欠片が残っていたら? 昔の父親そのものではないけれど、完全に消えてしまったわけでもなかったら?」
カイジュが目を細めた。
「なら、どうしろと? 人間の残骸と関係を築けというのか? まともな親に育てられる権利があったはずの僕に、子供時代の残飯を食えというのか?」
「かもしれない」リユラは言った。「あるいは、もう一度立ち去るかもしれない。でも、少なくとも『知ること』はできる。推測ではなく、本当の姿をね。疑問に悩まされ続ける何年もの日々より、ずっといいはずだ」
冬の風が吹き抜け、答えの出ない言葉を運び去っていった。
カイジュは皆を見回した。傷ついた十代の若者たちの集まり。そして、彼の空虚さの中に変化が起きた。
「考えておく」最後には言った。「約束はしない。許しもしないし、和解も誓わない。ただ……考慮する」
彼は暗くなっていく夕闇の中へ去っていった。困惑した沈黙を残して。
「予想よりマシだったな」スバラシイが言った。
「そうか?」シューヘッドが返した。「今の僕の目には、癒しと崩壊の淵に立っている人物にしか見えなかった。彼がどちらに転ぶか、誰にも分からないんだ」
リユラは消えていくカイジュの背中を見つめた。
「彼自身にも、分からないんだろうね」リユラが囁いた。「だからこそ、恐ろしいんだ」
[ナレーター:こうして、この悲劇の次なる段階の種は蒔かれた。父と子。それぞれ別の悲しみの海で溺れながら、手を伸ばせば届く距離にいながら、伸ばすべきかどうかも分からない二人。カイジュは、子供時代のトラウマが高校生になって情緒的閉塞として石灰化する姿を象徴している。自己防衛が自己破壊へと変貌する瞬間。痛みに耐える唯一の方法が、何も感じなくなることだと信じきってしまった時。第2巻のクライマックスは構築されつつある。それが壊れる時、関わる者すべてが砕け散るだろう。]
TO BE CONTINUED...




