囮として③
指定された座標についた。
そこには3つの死体があった。
1つは頭がない、1つは体が黒く焦げている。1つは顔を恐怖に歪ませ、腹に3つ、胸元に1つ風穴が空いていた。
死体はすべて冷え切っていた。
遅かった。
遅かったが、死んだ奴らの仕事を引き継ぐくらいはしないと、罰が当たる。
「大地操作」
地面を操作する魔法で大きな窪みを作り、その中に滑り込む。
そして、どんどんと窪みを線上に伸ばしていく。
遮蔽物を作るために、ジグザグと曲がりくねりながら広げ、部隊に座標を送り、連絡する。
『本部、こちらドラゴ部隊、簡易的な塹壕を作成、一部の兵士は一旦後退し、物資の補給を求む。』
物資を要請すると大体3秒後、念話石から綺麗な女性の声が聞こえてきた。
『こちら本部、了解。軍用トラックで物資を送る。死ぬなよ。』
簡単なやり取りだが、とても重要な意味を持つ会話だ。
補給一つで生きるか死ぬかが決まると言っても誇張にはならない........はずだ。
とりあえず、俺がやるべきなことは部隊全体へ報告、軍用トラックが安全に塹壕へ移動できるように援護。
2つとも平等に大事だ。どちらかを欠かすと、誰かが死ぬ。
まずは報告だ。報連相は社会人としての責務だ。
......今は社会人ではなく、社会の犬といった感じだがな。
念話席を口に押し当て口で息を吸い、連絡する。
『塹壕作成完了。補給が軍用トラックにて行われる予定。』
『了。1班がトラックを護衛する。』
『了』
トラック護衛の担当班までスムーズに決まった。
さすが伍長クラスの兵士だ。俺みたいな上等兵クラスでは真似できないレベルの動き方だ。
頭の中が戦争のために作り変えているのだろう。
俺は昔の生活を捨てきれていなかった。
昔の生活に未練たらたらだ。
みんなは凄い。今の生活と向き合っている。
見習いたいものだ。
tips
念話石:薄い円盤のような形をしています。所々に紫色の文様が刻まれていて、文様の効果によって遠隔による会話を可能にしています。
魔道補助用杖:一般の杖よりも豪勢な装飾が施されていて、国の豊かさを象徴しています。魔術講師を補助する役割がありますが、耐久性が劣っており、蹴り一つで簡単に折れます。兵士の階級が上がるたびに耐久性が向上します。ウィラス(現在の主人公)が所有している杖は耐久性が低いです。




