囮として②
戦場の中、叫び声と魔術の詠唱の声がぐちゃぐちゃに混ざる。
土の塊が宙を舞い、火球が曇った空を照らし、大地は魔法の影響で地形がおかしくなっている。
『[石弾][石弾][石弾]...』
何度も何度も同じ魔法を唱える。
さすがは軍用の杖だ。
魔力が減りにくい。
撃ち続けられる。
万一魔力が枯れても、依存症になるまでポーションに浸って再起する。
無理やりだが理にかなった戦法。
『塹壕作成,援護求む』
左肩についた念話石がメッセージと座標を受信した。
「市販のラジオより全然音質がいいぞ。さすが兵隊様だな。」
ラジオより音質がかなり良い。
……こんなもんに感動してる場合じゃないのに。
「了」
念話石で返事する。
「交代ッ!!」
後ろにいる仲間へ叫ぶ。
後ろに行くから交代しろという意味だ。
チラチラと後ろを警戒しながら後退する。
刹那、相手の魔法陣がこちらを向いた。
交代した味方は気づいていない。
俺はベルトにぶら下がった土壁の汎用型魔法陣紙を無造作に手に取り、味方の足元に投げる。
すると、汎用型魔法陣紙に描かれた魔法陣は発光し、一瞬にして土の壁を作り出した。
「一時的な壁だ。敵からの攻撃が見えたので使わせてもらった。さっさと立て直せ!!」
状況をなるべく簡潔に伝えると味方は「了」とだけ答え、魔道補助用杖を構え直し、壁から飛び出していった。
俺は味方を見送った後、送信された座標へと走った。




