↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この電車、家に向かってません  作者: 杜田 英法
【プロログ】不気味な帰り道
PR
2/4

誰もいない電車

 電車が動くと、バランスが崩れそうになる。必死につり革につかまり、顔面からこけるのを避けた。この車両には空いてる席がない。


「今池に到着したら、席は空くだろう」と近くの席で待つことにした。次の駅に到着すると、真横の席に座っていたおじさんが立ち上がった。僕はすかさず、その席に腰を下ろした。鞄を膝に載せて、抱きつけるように座ると暖かい。


 また眠気が押し寄せる。疲労に負けた意識は、ゆっくりと遠のいていく。今度は本当に寝ちゃうかも。まあいいや、家はまだ遠いから。


 *


 僕は目を覚ます。電車の窓の外には薄暗い壁が流れている。起きたばっかりで少し息がしづらいけど、咳払いをしたらすっきりした。何回か瞬きをした瞬間に心臓が跳ねた。


「ん?」


 何かがおかしい。


 誰もいない。


 さっきまでほぼ満員だった電車には、今や僕しかいなかった。そんなはずない。


 そう心の中で唱えながら、鞄を背負って立ち上がる。ずっと寝ていたかのように足が少し震えた。


 歩き回っても電車は蛇の抜け殻のように、誰もいない。僕だけが取り残されたのか?なぜ終点で起こしてくれなかったんだ?


 ガタンゴトン、ガタンゴトン。


 車輪と線路がぶつかり合っている轟音が今にも響いている。


 床が揺れる中、僕は車両から車両へと渡りながら運転席を目指した。電車がまだ動いているのなら、誰かが運転しているはずだ。


 だが、電車の端にある運転席を覗いても誰もいない。それでも電車は走り続けていた。


 心臓を右手で押さえながら近くにあった鉄柱につかまる。


 深呼吸、深呼吸。そう自分に伝えると、ずんと背中に重りがのしかかったように、立っているのが辛い。震えながらも周りを見ると、上にある電子看板はまだ光っていた。


 路線図が表示されている看板を見上げる。


『第一試練』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。