女戸主
母方の家は今は故郷の隣町、両親が結婚したときは少し離れた村の、山の中だった。子どもの時に何度か行く度に、「山の中だなあ」と思っていた。今ではその想いがさらに強くなっている。
母の父方は兵庫県から、母方は福井県から入植している。
母の父方の曽祖父母は兵庫県の同じ村で生まれて結婚し、大正5年生まれの祖父(三男)までの少なくとも三男一女を儲けた後、北海道に渡って少なくとも一男を儲けた。入植したのは山間の、あまり条件の良くない土地だ。有力な地主が所有する土地の小作農ではなかった、ということなので、金銭面以外の理由があったのかどうかはわからない。三男だった祖父が家を継いだので、長男次男については消息が判らない。
この土地は離農して数十年になるため、山林に戻っている。
母の母方の4代前、高祖母は福井県の人だった。連れ合いに先立たれたか何かで女戸主になり(旧民法下では限定的な存在)、明治40年に多分同じ村にいた曽祖父母夫婦を養子にした。その後、曽祖父母は長男次男とたぶん高祖母とともに明治43年までに北海道に入植。高祖母は北海道の土となった。大正8年に祖母が五女として生まれた。
曽祖父は別の家の戸主だったが廃家し、高祖母の養子となっている。詳細は判らない。
どちらの明治末期〜大正初期の入植なので、大凶作が影響した可能性はある。食い詰めて北海道に流れてきた、典型例だったのかもしれない。子孫はそれぞれ残っているが、農家を継いではいないようである。




