父は二度、死んでいた
改製原戸籍を読み込んでいて、父の欄に記載事項の訂正があった。
父は二度、死んでいた。
私の父は十年前に亡くなった。すい臓がんだった。
あまり強くないのに毎日晩酌して寝る人が、ある時から飲まなくなった。飲めなくなった。父の姉が亡くなった頃のことだ。病院に行ったらステージ2、手術範囲を決めるためにPET検査を一ヶ月待ち、手術時間4〜5時間の予定が1時間で帰ってきた。腹を空けたら転移と癒着がひどく、ステージ4、切開したのを閉じただけだった。半年持たなかった。
改製原戸籍には、父が生まれて1年足らずで死亡の届け出が出たことになっていて、その8年後に届け出の間違いがどうかは分からないが、「記載事項の訂正」という形で死亡の届けが削除されていた。
父は次男で双子だった。双子の弟が生後1年足らずで亡くなり、届けが入れ違っていたようだ。
双子だったことも、知らなかった。
でも、そう言えば父が弱ってきた時に、母が、「じいさん(父のこと)、『俺は双子だった』って言うんだよ。病気で苦しくって、混乱しているんだろうかね」と電話してきた事があった。また亡くなったあとに、「本家の納骨堂に、『◯雄』って知らない名前の位牌がある」とも言っていた。
父は『△男』、読みのアタマ一音が違う名前だった。
先に亡くなった双子の弟、『◯雄』は三男だった。
父方で残った叔父さんは、なんかの時に四男と自己紹介していて、その時は父が三男だと勘違いしていたから気にも留めなかったけど。
戸籍の間違いが発覚したのは偶然だった、と思われる。たまたま、秋田県に置いてあった戸籍を北海道に移した時に、記載間違いに気づいたのだろう。祖父や祖父の兄が、秋田に帰るのを完全に諦めた何かがあったのかもしれない。でも詳細を知る人は皆、冷たい土の下。




