第28話 秘密兵器
気合を入れ直した竜頭だったが、大南と渋川のコンビとの1対2は流石に厳しく、少しずつリードを許してしまう。
柿野原22-18帝調
「むぅ……」
竜頭は声にならないうめき声をあげる。大南と渋川のコンビに翻弄され、終始若干劣勢のまま第1セットの終盤となる。
「行くぞぉ!」
相変わらず大南は元気であり、疲れは一切見えない。さらに、柿野原コートは大南と渋川が前衛に上がり、このまま第1セットは柿野原が獲得しそうな勢いだった。
しかし、帝調には秘密兵器がいる。
その名も、細薪瞬燃
彼がベンチから立ち上がる。
そして、帝調の前衛選手と交代。
「なにやってんだ」
細薪は竜頭に冷たく言い放つ。
「すまん」
竜頭も短い返答。しかし、そのやり取りで、帝調コートの雰囲気が変わる。
「誰だぁ?あの細いやつは」
大南は彼のことを全く知らないが、渋川は彼こそ帝調のキーパーソンだと考えていた。
細薪は竜頭以上の選手だと、渋川は確信していたのである。
柿野原のサーブ。それを竜頭がレシーブする。セッターから、細薪に対してセンターにオープントスが上がる。
容易に3枚のブロックをつけられる状況となる。
柿野原の前衛3人が、細薪のスパイクに合わせて跳ぶ。
ズッドオォォン
柿野原22-19帝調
「!?」
細薪は、3人の遥か上から、スパイクを叩き込んだのである。
(予想はしていたが、大南を軽く超られたか)
渋川は細薪のスパイクを目の当たりにし、若干の興奮を覚える。
(さて、ここからが勝負だな)
アタック、トス、レシーブ、ブロック、どれをとっても竜頭を上回る選手。しかし、なぜ彼が地方大会でスタメン出場しないのか、渋川は疑問に思っていた。
(考えられる可能性は3つ
・怪我をしていたのでスタメン出場できなかった。しかし、怪我をしていたという情報もなく、怪我をしていた雰囲気もテレビに映る姿からは確認されなかった。余程隠すのがうまいのか
・あまり他校には見せたくなかった。しかし、地方大会は余裕で勝ち上がってきたわけではないので、これほどの選手をスタメン出場させなかったのは不自然
・単純に体力がない。しかし、これほどの選手が体力不足で試合に出続けられないということがあるのか)
渋川は仮説が3つあった。そして、彼は次のプレーを決める。
「さて、答え合わせだ」




