第26話 青春をすぎし者
帝調1-1柿野原
帝調のサーブをまたも大南がレシーブする。
そして再び大南へとトスが上げられる。しかしそれは帝調側も予想していたのか、素早く前衛3人がブロックにつく。
(切るしかねえか)
渋川赤秋は内心舌打ちをする。そして、大南へのトスを横取りして帝調コートに叩き込む。
帝調1-2柿野原
そして一言
「仕事だ。」
常に騒ぎ立てる大南と、常に冷静な渋川。この凸凹コンビともいえる2人が、柿野原を引っ張ってきたのだ。
そしてサーブ打つのは渋川。
ボールを投げ上げると、落下に合わせて下から拳を突き上げ、天井へ向けて高い高いサーブを打ち上げる。
天井から吊り下げられている照明ギリギリの所までボールは上がると、帝調コートに向かって落下を始める。
「俺に任せろ!」
照明と重なっていたために見えなかったボールが見えてくると、竜頭がレシーブ宣言をし、他の者は攻撃態勢を整える。
「!?」
しかし、ボールは不規則な動きを始める。右へ左へとボールは揺れ、竜頭もそれに合わせて右往左往する。
渋川が打ち上げたサーブはただ打ち上げただけではない。無回転のボールを打ち上げたのである。
さらに、重力によって加速がかかり、揺れ幅も大きくなってくる。
「くっ……!」
しかし、流石は全てにおいて日本トップレベルの男、竜頭である。なんとかレシーブを行い、ボールを上げることには成功する。が、自身も態勢が崩れて攻撃参加は不可能。それどころか、上げるのが精一杯で、全く攻撃に繋がらないボールが上がってしまう。
帝調は返すのが精一杯。柿野原のチャンスボールとなる。
「パイナポゥッ!」
帝調1-3柿野原
大南は返すだけとなったボールに飛びつき、ダイレクトで気持ちの良いスパイクを決める。
そして再びサーブを打つのは渋川。しかし、帝調側も全員レシーブの構えを見せる。
それを見た渋川は内心微笑んだ。全員で拾えば、自分たちなら、あのサーブを拾えると思い、撃沈してきた者たちを散々見てきたからだ。
渋川は再び天井ギリギリサーブを放つーーそして、ボールは落下を始める。
「オッケイ!」「いや、俺ダァ!」「オッケーオッケー!」
右へ左へボールは流れていく中、帝調側コートでは声が響く。
「イテッ」「おっと」「うぉっ!」
全員がボールに合わせて右へ左へと動くので、ぶつかり合ってしまう。これこそ、渋川のサーブの真の狙いである。
チームメイトに対して疑心暗鬼になれば、コンビネーションはギクシャクしてくる。人同士の物理的な強い接触を繰り返せば、ストレスも溜まり、集中力も欠くことができる。このサーブの餌食になってきたチームは数知れない。
「「オッケーイ!」」
ドドォン
落下してきたボールをレシーブしようとした帝調側の二人が激突してしまい、そのままボールも落ちてしまう。
「青いんだよ」
引き際を知らない青春真っ只中のガキ共がーー彼の目はそう語りかけていた。彼自身が高校生であるのにも関わらず。




