表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/32

第25話 元帥登場

春高本戦

帝調高校vs柿野原高校


満員となり、熱気に包まれた観客席。その観客たちのお目当ては、なんと言ってもインターハイの覇者、帝調高校である。


「頑張れよー!」「今回も頼むぞー!」


帝調高校が公式練習を始めると、歓声が巻き起こる。そんな中でも、帝調メンバーは落ち着いていた。慣れてますよと言わんばかりの表情や態度を示している。


「あれが帝調高校(チャンピオン)かぁ……」


それとは対照的に、柿野原メンバーは大変緊張していた。ただ2人を除いて。


その2人は、トイレにいた。試合前には必ずトイレに入るというルーティンを持っているのだ。


「本日も絶好調なのである!」


「……仕事だ。」


大南(おおみなみ)凰梨(おうり)渋川(しぶかわ)赤秋(せきしゅう)は、このチーム(柿野原高校)をここまで引っ張ってきた2人であり、ワンマンチームならぬツーマンチームで、ここまで勝ち上がってきた。


トイレから出た2人はチームメイトの元へ行き、平常心である姿を見せる。もっとも、大南に平常心という言葉は適切ではないが。


帝調高校の公式練習が終わり、柿野原高校の公式練習が始まると、やはりこの男が騒ぎ出す。


「私はパイナポー元帥である!」


大南が唐突に叫び、会場がザワつく。


「ではゆくぞ!」


会場内では、呆れる者もいたり気にしない者もいたりと、反応は様々である。


ただ、帝調メンバーの間では、大南についての確認が行われていた。というのも、本当にあんなやつがエースなのかという疑いを持つ者が多数出たためである。


「気にするな」


帝調ベンチで声を発したのは、帝調高校のエース、竜頭(りゅうがしら)(ばん)である。彼は2年生になると3年生を差し置いてキャプテンに就任。実力もリーダーシップもチーム内では頭一つ抜け出ており、3年生達からも快くキャプテン就任を認められた男である。


「やることは変わらない」


来年度のU-18日本代表の最有力候補でもある竜頭の一声で、帝調メンバーは気持ちが入る。


柿野原高校の公式練習も終わり、試合開始が近づく。


パイナポー元帥こと大南は、ベンチ内でも騒ぎ立てていた。


「雰囲気はできるんだよな」


誰にも聞こえない声で竜頭がつぶやく。ただ、ウチには必要ないという目で見ていたが。


ーーーー


ー試合開始ー

第1セット


帝調のサーブで試合が始まった。


「任せろお!」


エースであるはずの大南が自ら積極的にレシーブをする。


完璧なレシーブをし、そして助走に入る。


「とうっ!」


大南(エース)に向けて上げられたトスに、大南(エース)が応える。


「パイナポゥッ!」


謎の発声(効果音)と共に放たれたスパイクは、ブロッカーの間を抜き、帝調コートに突き刺さる。


帝調0-1柿野原


会場内が再びザワつき始める。


「なんだ?あいつは」「なんか高かったな」「帝調が先制点を許すとは……」


そんな空気にお構いなく、大南はなにやら変な踊り?を始めた。


上半身は盆踊り、下半身はコサックダンスという、奇妙な舞なのか踊りなのかを始めたのである。


柿野原メンバーはいつものことだと笑っており、なにやら楽しそうである。


「ふざけやがって……」


またも竜頭の誰にも聞こえないつぶやき。


柿野原からサーブが打たれると、竜頭が動く。


「オッケイ!」


竜頭もまた自らレシーブをする。そのレシーブのなんと美しいことか。美しい放物線を描いて、セッターへとボールが送られる。


そして上げられたトスの先にいるのはもちろん竜頭。


放たれたスパイクは、先程の大南と全く同じようにブロッカーの間を抜き、柿野原コートに突き刺さる。


帝調1-1柿野原


その刹那、大南と竜頭の目が合い、火花が散りそうな程お互いを睨みつけたのである。


「やれやれ……」


それを見ていた渋川は、深いため息をつく。そして一言


「……仕事か」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ