第10話 無敗への特訓
「以上が、俺も含めた俺たち全員の課題だ」
道二は部員たちを前にして衝撃の課題を言い放った。
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10秒前ーー
「それでは、これからの課題を発表する」
道二はいつになく真剣な表情で部員たちの方を向く。
「これから先の俺たちの課題は、原野のサーブをレシーブできるようになることだ」
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現在に戻るーー
「いいじゃないか」
そう答えたのは、もちろん原野である。
「野球でも、速い球に目を慣らす練習はよくやったからな」
原野はウンウンと頷く。しかし、他の部員たちは絶対嫌という雰囲気を前面に押し出している。
「俺は事前に原野のサーブをレシーブしてみたが、腕が痺れる程度で済んだぞ。野球のボールならともかく、表面積の大きいバレーボールなら骨折することはないし、原野のサーブの精度なら、顔面に当たることもないだろ」
「本当にそのサーブの精度は信用できるのか?」
骨折が治った折田が疑い深く質問する。
「信用できないなら、今ここで実演してやろう」
そう言うと、原野はカラーコーンをコートの中央に置き、自らはネットを挟んで反対側のコートに行き、ボールを持つ。
バゴオォォォォォン
放たれたボールは、吸い込まれるようにカラーコーンに当たり、弾き飛ばす。
「い……1回だけじゃ信用できねえよ」
「ほう……1000回でも10000回でもやってやるが?」
「やってみやがれ!」
そう言うと、折田はカラーコーンを立て直す。
バゴオォォォォォン
当然のようにカラーコーンは弾き飛ばされる。
「まだまだぁ!」
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3分後……
「折田、もういいか?」
「ゼエ……ハア……もう……いい……十分……わかった……」
休むことなくカラーコーンとボールを拾い続けたせいで、折田は完全にバテてしまっている。
「おいおい、もうバテたのか?」
原野はつまらなさそうに嘆く。
「というわけで、早速やるとしよう」
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原野がコントロール重視(それでも最遅140km/h)のサーブを打ち込み、それを他の面々がレシーブする。原野は構えられたところに寸分の狂いもなくボールを打ち込み続けている。が、全員まともにレシーブできず、ボールはあっちこっちへ飛んでいく。
休憩も挟みながらこの練習を時間いっぱいまで続け、この日の練習は終了となった。
この練習によって全員がプロ以上の実力をつけることになるとは、この時は誰1人として考えもしなかったのだった。




