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黒騎士は自由に生きてみたい  作者: カルバリン
23/32

第23話 黒騎士、再び勇者と遭遇する


「ちぃ!!まだ追いかけてくるぞ?!何人いるんだありゃあよ!?」


「もしかしたら『影』に所属している魔族全て投入してきたのかもしれませんね…!」


「つべこべ言ってないで走りな!敵の数が多いんだから!っと!」


飛んできた火球をフライパンで叩き返すエマ。


3人はあれからずっと走って逃走していた…流石にゲイルの元の姿は目立ちすぎるからだ。


「しかしよぉ、このまま行けばヴィトアニアだぞ?不味くないか?」


ヴィトアニアは魔族に敵対行動を取らない国で魔族も侵攻の対象にしていない国だ。


「ヴィトアニアには今勇者が向かっていると報告がありましたから。今回はそれを利用させてもらいましょう」


「…いくらなんでも関係ない人や国を巻き込むのは感心しないねぇ」


「…エマ、まぁ良いじゃねえか。その勇者とやらを拝んでみるってぇのもアリだと思うがな?要は魔族が攻めてきたって思われる様な事態にならなければいいんだろ?」


「アンタは黙ってな!って言いたい所だけど………まぁ仕方ないかねぇ。別にアタシもフィリアを殺した勇者とやらが憎くない訳じゃない。その本人が居るっていうのなら…」


「…ただまぁ、流石に私も出来ればヴィトアニアを巻き込むのは避けたいと思ってはいたので一応対策はしていたんですが…ベル君の存在が…」


エレノアはフィリアが死んだと知らせを受けた後、すぐに勇者に部下を派遣して監視していた。

どうやら向かった先がノックスの街だという事を最後にその部下とは連絡が途絶えてしまっていたが。


正直今の状態は想定外というしかない。

見透かされていた自分に腹が立つが今はまず最大のイレギュラーが追って来ている。


「ベル坊をなんとかしねぇとな。ありゃ間違いなくベル坊なのか?」


「…はい…恐らく。魔王は何らかの手段でリーニアの魔術を解除したみたいですね…。今まではフィリアがいたから放置していたみたいですが流石に黒騎士が死んだという事を悟らせたく無かった様ですしね。黒騎士が勇者と相討ちになった事を知った下級兵士はみな不審な死を遂げてますから。」


そう、私に知らせにきた兵士も不審死していた。情報局にあった記憶水晶は私が秘密裏に複製した物以外は全て処分されていた。


…だがまさか新しく黒騎士を仕立てあげる事は予想していなかった。

…あの魔王ならやりかねないという考えに思い至らねばならなかった!


「だがよぉ…ならなんでリーニアは復活させない?」


「…アンタはそれだから脳ミソまで筋肉で出来てるって言われるんだよ、エレノアの話ちゃんと聞いてたのかい??…そんなの決まってるじゃないのさ!何の為に偽の遠征を仕組んだりフィリアを人質に取ったりしたって思ってんだい…リーニアには勝てないと分かってるからじゃないか」


「ですね。多分今リーニアを解放すると確実に魔王は殺されますからね…しかもフィリアが死んだという事実がリーニアに知れたら……世界が滅びる可能性もありますよ」


冗談の類いではない。事実人族の勇者が居た所でリーニアに勝てる訳がないし、リーニアが最も得意なのは広域殲滅戦(・・・・・)だから。


「…普通なら笑って冗談だろ?って言えるんだがな。リーニアに至っては本気でやりかねん。なんせ俺達ドラゴンレイスの頂点と言える竜神王様ですら『アレが人格者だから世界は滅びておらぬ。幸いにな…』なんて言うくらいだからな」


「…そこにきてベル君までとなればまず間違いなく魔王は楽に死ねないと思いますよ。ついでに世界が滅ぶくらいには」


それに…もしリーニアがそうすると言うのなら…私は喜んでその手伝いをする。


「…とりあえずベルは何とか救ってあげたいねぇ…フィリアが死んだ事すら分からず魔王に使われるっていうのは…余りにも不憫だよ」


エマの言葉にゲイルとエレノアが頷く。


「…ですね、暫くはこの辺りでベル君や『影』と戦いながら勇者とやらがくるのを待ちましょうか。それなりに派手に戦っていれば向こうから来るでしょうし」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「ゲイルさんとエマさんが生きてたのか…変なあだ名があった事には驚いたけど…ゲイルさん達が追われているなら私は行くべきだ」


今回は黒騎士装備は自重しよう。じゃないと私だって事が分からずに襲われたらキツイ。


そうと決まれば早く行こう、ハベルさんの許可は下りているらしいし…。


あ…でも私ってよく考えたら黒騎士の鎧以外ってなんか持ってたっけ?


…………うーん。…屠殺の鎧…これは呪われてるから駄目………黙示の戦鎧(アポカリプス)……これも呪われてる………これなんか良さげ!普通のシャツに魔導文字が書かれていて魔術に対する反魔導結界の常時展開に品質保存の魔術が込められている…それになによりこの文字?がなにやらとてつもなく神秘的な雰囲気で良いね!Fool wear(馬鹿は着る)………?何て書いてあるか分からないけど何故か惹かれるわ!!


ん?…あ!これ良く見たら『さーべいじふぁんぐ!』と同じ印がある!…詳しく鑑定してみようかしら……


◇選ばれし者のシャツ◇


レアリティS


付与魔術 反魔導結界 品質保存


さぁ!君は選ばれた!!今こそこれを装備する時だ!


制作 米好き過ぎ太郎


注)フィリアには名前以外日本語で見えてます。


やっぱりこれも名前は読めるけど内容や説明、全てが読めない………しっかしこの文字…どこかで……


なんか最近見たことあるけどなんだったかな…………うん、忘れた。


とりあえずこれを着ておこうかな。


一応路地裏に入ってから指を鳴らすと着ている服と選ばれし者のシャツが入れ替わる。


ふふふ、何だかこう…凄く私に似合ってる気がするね!


そうして満足気に路地裏から出てきたフィリアは颯爽と街を出ていった……。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ノックスの街付近の街道にて…


『………』「……………」


「…なぁ、別にイルミナを責めるつもりはないからいつも通りにしてくれよ…」


『…でも…』


「俺は別に昔の事を知ってる訳じゃないからな。だからこそハッキリさせるために帝国に戻ろうって言ったんだ」


『…わかったよ。キョウスケがどんな選択をするかは分からない、でも帝国での話次第でキョウスケがどう動いても私はキョウスケの味方だから…それだけは信じていて欲しいかな』


「ああ、信じてるさ……ってあれは…?」


キョウスケの視線の先で鮮やかな赤髪を靡かせて疾走していたのは……


「黒騎士?何処に行くつもりなんだ…?」


キョウスケの視線に気がついたフィリアは立ち止まるととても嫌そうな顔を浮かべる。


キョウスケは嫌われたもんだなぁと苦笑いしながらフィリアの所まで行くと声をかけようとして止まる。


「……なによ??」


「い、いや…何か困り事なら俺に何か出来る事が無いだろうかと思ってさ。急いでどこかに向かってるように見えたから」


キョウスケは咄嗟に誤魔化す。


…言えない。

君が着ているシャツに『馬鹿は着る』と書いているなんて。


気になる……とても気になるんだが…彼女は一体何を考えてこんな服を着てるんだ…?!


「ねぇ!さっきから人をジロジロ見てきてなんなの?…それと、あんたに刺された恨みまだ晴れてないからね?見てよ!刺された所未だに治ってないんだからね?!」


フィリアがシャツを捲り上げて肌を見せる。


「ちょ!?見せなくていいから!俺が悪かった!だからシャツを戻してくれ!」


全く…などとブツブツ言いつつシャツを戻したフィリアにキョウスケは再度口を開く。


「とにかくあの時はああするしか無かったとはいえ刺したことには変わり無いから謝る…すまなかった。……これで許せないのなら俺の事も刺してくれて構わない」


頭を下げるキョウスケにフィリアはため息を吐く。


「…はぁ。別にいいよ…実際そんなに怒ってる訳じゃないし…じゃあ急ぐからまたね」


「ちょっと待ってくれ、さっきも言ったがもし俺に手伝える事があるなら……」


「…無理よ。あなたは魔族と敵対するのでしょ?私は今から同族に追われている魔族…私の知り合いの所に行く。そこにあなたがついて来て何が出来るの?私の知り合いも殺すの?」


フィリアが険しい顔でそう問いかける。


「……俺は…困っている人を助けたい」


「…ならまずは勇者っていう肩書きをなんとかすることね。人族の勇者が魔族を助けた…なんて噂が広まればどうなるかくらい分かるでしょ?」


「…それでも、俺は君の助けになりたい。」


『……やっぱりキョウスケは…』


小声でイルミナは呟く。


「だから俺にも手伝わせてくれないだろうか…?」


うーん。駄目って言ってもついてきそうだなぁ。勇者だから振り切るのも難しいかな…なら…


「……わかったよ、ただし私の知り合いに手を出したら…わかってるよね?」


頷いたキョウスケを見てフィリアも頷く。


「おっけ。なら急いで行くよ…あと私はフィリア、フィリアスカーレットよ。…勇者君あなたは?」


「そういえば自己紹介してなかったな、俺はキョウスケだ、そして聖剣イルミナ…は知ってるんだよな?」


「えぇ、イルミナとは昔散々殺しあったからね。まぁ最後は私が勝ったけど。」


「…イルミナを殺したのは…フィリア…なのか?」


『あはは、違うよ!確かに黒騎士には負けたけど殺された訳じゃない、まぁ両手を切り飛ばされたけどね』


「そうだったかしら?もうかれこれ300年位は昔の事だから忘れたわね」


『ま、あなたが止めを刺さなかったおかげで今こうして聖剣として存在することが出来てるんだけどね』


「二人とも普通に言ってるが…恨んだりとかないのか?」


『「別に」』


『お互いに命懸けで戦った訳だしそれに関しては思うところはないよ。たまたまあの時は私がそうなっただけだしね』


「…私は隸属されてたし別に人族に恨みがあるわけでもないからなぁ」


「そういうものか」


「そういうものよ。…ってのんびり話してる場合じゃないか…ちょっと嫌な予感がしたから急いで走ってたのに」


「…嫌な予感?」


「…そう、長く生きてきたけど私の勘は良く当たるんだよね。多分…今回も…」


流石に黒騎士の鎧を持ち出す事にならなければ良いんだけど…。


『キョウスケ、フィリアの言ったことは正しいかも…私の魔力探知に反応があったよ…少なくとも3つ…いや4つは強大な魔力反応がある』


「なに?本当か?」


『間違いないよ、ここから南に反応がある』


「南か…急ぐよ!」


「わかった!」


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