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黒騎士は自由に生きてみたい  作者: カルバリン
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第21話 黒騎士…その正体


「Gyooooooooo!!!」


漆黒の全身鎧を纏う黒騎士が咆哮を上げる。


あれは一体…まさかフィリアが生きていた??


「フィリア…?」


フラフラとした足取りで近寄るエレノアだったがそれをエマが止める。


「…ありゃ様子がおかしいでしょ?…あたしが行くよ」


『いや、俺が行く。何か嫌な感じがすんだよ』


「なにいってんだい!あんたが戦ったら手加減なんて出来やしないだろ?…もしあれがフィリアで正気を失ってるっていうのなら…ぶっ叩いて思い出させてやるまでさ!」


フライパンを片手にエマは腕捲りをしてから黒騎士と対峙する。


「…さて、あんたがフィリアかどうかその兜をひっぺがして見てやろうかねぇ」


『…………………』


黒騎士は剣を構えることもせずその場に佇んでいる…。


「…来ないのならこっちからいくよ!『ファイアランス』」


エマが駆け出すと同時に詠唱した炎の槍が黒騎士目掛けて放たれる。


黒騎士が炎の槍を剣で切り払い爆発する中からエマが飛び出しフライパン…『ブラッディスキレット』で黒騎士を殴る。


ドゴンッというフライパンで殴ったとは思えない音が響き渡るが…


「なんだい…やるじゃないか!」


黒騎士は左腕でフライパンを受け止め、エマを剣で薙ぐがエマは黒騎士の胴に蹴りを打ち込んだ反動で距離を取るとさらにファイアランスを詠唱して黒騎士に追撃をかけていく。


「こいつも持っていきな!!『エクスプロード』」


ファイアランスの炎に包まれる黒騎士にさらに上級魔術…エクスプロードを叩き込むエマ。


爆発系呪文の中でも威力が高いエクスプロードは黒騎士がいた場所を中心に物凄い爆発を巻き起こして焼き尽くしていく


『…かみさんよぉ、焼き尽くしてどうすんだよ…フィリアだったら…』


ゲイルの言葉にエマは首を振る。


「…あの程度じゃ駄目みたいだねぇ」


爆炎の中から悠々と歩いてくる黒騎士を見てゲイルはエレノアに念話で話しかける。


『エレノアちゃん、いつでも動けるようにしてくれ。やっぱ嫌な予感が当たりそうだ…いざとなったらかみさんとエレノアちゃんを連れて逃げる』


黙って頷くエレノア。


エマと黒騎士はゲイルとエレノアが話している間物凄い速さで打ち合いをしていた。


エマはブラッディスキレットで剣を防ぎ、竜族だけが使える竜魔法で強化した拳で殴る。

だがそれを黒騎士は籠手で受け流しそのまま体当たりを仕掛けてエマを弾き飛ばす。


「ちぃ!!…おかしいね…最初よりも反応速度が上がって来てるじゃないか!」


そのまま突っ込んでくる黒騎士は剣を十字に振り抜き斬撃を飛ばしエマをその場に留まらせ連続で剣撃を浴びせていく。

次第にエマの身体に剣が掠り始めた時、黒騎士の動きに乱れが生じ始める。


『グ……ガ……………』


低い唸り声を上げる黒騎士が地面を抉りながら放つ剣…だがどうにもおかしい。


中身が本当にフィリアならエマさんについていってるのは分かる。フィリアは黒騎士として今まで私とは比べ物にならない強敵…歴代勇者達と死闘を繰り広げて勝利しているから。

だけどあの動きはフィリアにしては精細を欠くというかまるで別人…

しかも動きが身体に合っていないのか剣技と体裁きにズレがある。


「おかしいですね。…理性を失っている状態だからなのか…それともやはり…」


「…もしフィリアならあたし達を襲うなんてしないとは思いたいさね」


またエマさんのスキレットが唸り、黒騎士がガードに使った剣を叩き折るとそのまま黒騎士を吹き飛ばす。


「…さてと、兜の下の顔を拝ませてもらうとしようか。フィリアだったらいいんだけどねぇ…」


エマは黒騎士の近くに歩いていくと兜を脱がそうと手を伸ばした瞬間…


『……フィリア?……フィリア……オレガ…』


黒騎士の手元が歪み亜空間から剣が引き抜かれた。


「…?!」


『エマ!!?』


黒騎士が引き抜いた剣から爆発的に魔力が溢れだす。


『…スベテヲキリサケ…レーヴァンティン…!』


「しまっ……!!」


「エマさん!?…いけない!『アイスウォール』」


エマの前に氷壁を造り出したエレノアに合わせてゲイルがエマを尻尾で凪ぎ払う。


黒騎士の剣から放たれた魔力の斬撃はエレノアが造り出した氷壁を数舜で貫通して大地を切り裂きながら進みその先にあった大岩を粉砕して消える。


『ありゃあレーヴァンティンだぞ?!やっぱりフィリアなのか?!』


「いや、違います……あれはあの時リーニアが…」



ベル君ならフィリアをずっと守ってくれるって思ったからね、ベル君に預けたの。


リーニアのあの言葉が本当なら…あの黒騎士は……!


「…ベル君…?」


『………アアァ…』


「…外道魔王……!!よりにもよってフィリアが死んだら次はベル君を……!」


ゆっくりと立ち上がる黒騎士をエレノアは唇を噛み締めながら見つめ、吐き捨てる。


『…ベル…だと…?…………エレノアちゃん、逃げるぞ。どのみち俺達にゃベルをどうこうできねぇ。かみさん拾って一旦離れる!』


ゲイルが翼を広げるのを見たエレノアはすぐにアイスウォールを詠唱して黒騎士を氷壁の中に閉じ込める。


「…ごめんね、ベル君」


エレノアが背中に飛び乗るのを確認したゲイルは力強く羽ばたき空へと舞い上がる。


『しっかり掴まってな!!』


ゲイルは一旦高度を上げた後、エマが倒れている場所目掛けて急降下してエマを咥えると全力でその場を離脱していった。


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